大人と子どもの生理周期は、ちょっと違う
null大人の女性の生理周期は、この連載2回目(私の生理って正常?正しい「生理周期」ってどのくらい?)で高尾先生が教えてくださったように、25〜38日が正常と考えます。
でも、初潮を迎えた子どもがすぐにこの周期になるかというと、そうでもないそうで……。
「生理の周期というのは、初潮を迎えてすぐに安定するというわけでもないんですね。生理という変化に、からだがまず慣れることに、少し時間がかかることもあります。
生理が安定してくると正常な周期は、25〜38日というのが私たちの判断基準なのですが、初潮を迎えたばかりの時期は、38日以上開いてしまっても大丈夫です。
初潮を迎えてから3年くらいは、22~45日周期であれば問題ないと考えますし、生理が始まってからしばらくの間は、2〜3カ月に1回だったり、年に数回ということもあるので、あまり心配しなくても大丈夫です」(高尾先生。以下同)
私たちはもう、自分の初潮の頃を覚えていなかったりしますよね。改めて、初潮を迎えてすぐは周期が不安定であることを知っておくと、娘の疑問や不安にも、落ち着いて対応できるのではないでしょうか。
生理日数や量も不安定なもの
null子どもの生理は、周期だけでなく、日数や量、経血の色も不安定なのだと高尾先生。
「大人の生理のような量が、最初から出るとは限りません。最初は少量だったり、茶色や黒っぽい経血だったりすることがあります。そのほか、おりものに経血が混じったような場合もあったり、 日数も、2〜3日で終わってしまう場合も。
生理周期が整うにつれて、大人と同じような日数や量、色になっていくので、こちらも過度に心配することはありません。まずはお子さんと一緒に、よく観察するという習慣をつけるのがいいと思います」
初潮を迎えたばかりのときは、まだ生理人生のスタートを切ったばかりです。親子でゆったりと構えているのがいいのかもしれませんね。
生理周期が安定するのはいつ?
nullでは、どのくらいで生理周期は安定してくるものなのでしょうか? 親としては、目安があると、気持ちが落ち着きますよね……。
「そうですね。だいたい初潮を迎えてから2〜3年くらいで安定してくるといわれています。そのため、それまでは不順であっても心配しなくてもいいでしょう。まだ子宮や卵巣は未発達で、女性ホルモンの分泌は安定していませんから、焦らずにお子さんに対応なさってください。
もし初潮から3年くらい経っても安定しないなどの心配なことがある場合は、婦人体温計で基礎体温を計測したものを持って、婦人科を受診するとスムーズですよ」
初潮を迎えるとはいえ、まだ子どものからだは成長途中だということを念頭においておけるといいですね。どっしりと構えていてあげましょう。
そして、受診の前には“基礎体温の記録”を。連載3回目(私の「生理の日数」これって正常?大丈夫?)でもお伝えしたように、基礎体温は女性の体調を知る大切な指標のひとつになります。朝、体温を測る習慣が日常化している今だからこそ、生理のペースに不安がある娘さんには、“婦人体温計”を勧めてみるのはいかがでしょうか。
生理周期が安定するまでにしてはいけないこと
nullただ周期が安定するまでに、注意することがあると高尾先生。
「生理周期が安定していないということは、排卵が安定していないという意味になります。
この不安定な時期に、無理なダイエットをしてしまったり、大きなストレスのかかる出来事があると、周期がバラつく“きっかけ”になってしまうことがあります。安定したサイクルができにくくなってしまうので、気に留めておいてくださいね」
サイクルが乱れてしまうきっかけにもなるのですね。
確かに、小学校の高学年や中学生になると、自分の体型が気になったりし始めるもの。極端なダイエットなどに走らないように、注意しておきたいですね。
次回は、子どもの「適正な経血量と貧血」についてお届けしていきます。
イラスト/ Naho Ogawa
産婦人科医 高尾美穂
産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。