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ダイエットに関連する数字「体重・BMI・体脂肪率」の読み方を管理栄養士が解説!いくつからが痩せすぎ・太りすぎ?

ダイエットを意識する人の指標となるのがまず「体重」。このほかに、「BMI」「体脂肪率」なども出てきます。体重や体型を管理したいという人は、どの数値をどれくらい意識すればいいのでしょうか。数字にとらわれすぎて過剰なダイエットに走る問題点とあわせて、管理栄養士の宮崎奈津季さんに解説してもらいます。

その1:体重

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こんにちは。管理栄養士の宮崎奈津季です。夏になると「ダイエット」という言葉が気になりますが、体に関する数値にもいろいろあります。それぞれが意味するものなどについて解説していきます。まずは「体重」から。

体重は、最も身近な指標の一つで、「体の重さ」を示す数値です。具体的には、筋肉や脂肪、骨、内臓、水分など体を構成するすべての重量を指します。参考程度ではありますが、令和5年国民健康・栄養調査では、30代女性の平均体重は約54kg、40代女性は約56kgでした。

その2:BMI

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「BMI(Body Mass Index)」は、体格指数と呼ばれており、「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で計算できます。

例:身長160cm、体重50kgの人のBMIは【50÷(1.6×1.6)=約19.5】

日本肥満学会における肥満度分類では、

・18.5未満を「低体重」
・18.5〜24.9を「普通体重」
・25以上を「肥満」

と分けられています。

理想とされるBMIは?

肥満度分類(日本肥満学会)より。

統計上、男女とも有病率の低いBMIの値は22とされています。ちなみに、日本人の食事摂取基準(2025年版)では、30〜40代の目標とするBMIの範囲を18.5〜24.9としています

ここから、体重の適正値は、このBMI22を基準として「BMI(22)×身長(m)×身長(m)」を標準体重としています。

例:身長160cmの人の標準体重は【22×1.6(m)×1.6(m)=56.32kg】

ご自身の身長をもとに一度計算してみましょう。

その3:体脂肪率

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「体脂肪率」とは、体重に占める脂肪の割合のことです。最近の家庭用体組成計では、生体インピーダンス法と呼ばれる方法で、体脂肪率を簡単に測定できます。これは、体に微弱な電流を通し、電流の流れやすさから体脂肪率を推定しているため、体内の水分量や機種によって、誤差が出てしまうことが難点です。そのような背景もあり、現時点では、公的な基準値は定められていません。

測定する際は、平らな床の上に置き、素足で体組成計に乗ること、さらに同じ時間帯・条件で測定して変化を確認するとよいでしょう。食後や入浴後、運動後にすぐ測定するのは避けた方がベターです。

BMIと隠れ肥満の関係

BMIが標準体重の範囲でも、筋肉や骨に比べて脂肪が多い、つまり体脂肪率が高い状態を「隠れ肥満」と呼んでいます。この状態は、近年若い女性に多く見られています

また、どこに脂肪がついているかによっても生活習慣病のリスクは異なります。例えば、内臓の周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満(いわゆるリンゴ型肥満)の場合は、糖尿病や高血圧、脂質異常症を発症するリスクが高くなります。

体重や体脂肪率だけにこだわるのではなく、脂肪のつき方や筋肉量、健康へのリスクも定期的にチェックしておきましょう。

痩せすぎ、肥満のリスク

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肥満のリスク

BMIが25以上の肥満は、さまざまな健康障害の引き金となるといわれています。「肥満症診療ガイドライン2022」では、糖尿病や脂質異常症、高血圧はもちろん、月経異常や女性不妊などが肥満によって引き起こされる、あるいは関連する健康障害としています。これらは、生活の質を低下させることにもつながることも考えられます。

やせすぎにも注意!

「令和5年国民健康・栄養調査」によると、20〜30代の女性の5人に1人は「やせ」、つまり「低体重」であると報告されています。近年、メディアなどで見かける体型イメージから極端なダイエットをする方、日々の仕事や家事、育児などに追われ食事が不規則になっている方も多いのではないでしょうか。そのような背景から、栄養不足につながることも多いのではないかと考えられています。

低体重は、月経不順や骨粗しょう症などの健康面のリスクも高くなります。無理なダイエットによる「やせ」は、将来の健康リスクに影響が出る可能性もあるので、注意しましょう。

身近な指標である体重の増減に一喜一憂してしまうのは仕方のないこと。ですが、体重という一つの数字にとらわれず、BMIや体脂肪率、健康診断の結果なども参考にしながら、短期的でなく長期的に数値をチェックして、総合的に判断することが大切です。

見た目はもちろん大切ですが、健康へのリスクも考えなければなりません。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な毎日を送れるよう生活を整えていきましょう。

 

【参考文献】

・飯田薫子、寺本あい:「一生役立つ きちんとわかる栄養学」、西東社(2019)

・厚生労働省:「令和5年国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r5-houkoku_00001.html(閲覧日:2025年7月10日)

・厚生労働省/健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜「体脂肪率」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-041(閲覧日:2025年7月10日)
・厚生労働省/健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜「肥満と健康」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-001(閲覧日:2025年7月10日)

・厚生労働省/健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜「肥満と肥満症」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-009(閲覧日:2025年7月10日)

・厚生労働省/働く女性の心とからだの応援サイト「やせ」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/skinny.html?utm_source=chatgpt.com(閲覧日:2025年7月10日)

・一般社団法人日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」:ライフサイエンス出版(2022)

宮崎 奈津季 
宮崎 奈津季 

管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。

HP:https://www.mnatsuki.com/

X:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1

※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です

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