現代人は糖質過多の食生活
null毎日の家事や仕事で忙しい働くママパパ世代、疲れが溜まっていたり、取れなかったりしていませんか? もしかしたら食生活が原因かもしれません。ひょっとして食事を時短のためご飯から、野菜が豊富に摂れそうな紙パックの野菜ジュースに置き換えるなどしていませんか? それが大きな原因かも!?
「慢性疲労を訴える人の大半は糖質を摂りすぎており、血糖値に異変をきたしています。つまり、血糖値の乱高下を呼ぶ“糖質過多の食生活”こそが、現代人の疲労の根本原因なのです。
紙パックの野菜ジュースは“何種類もの野菜が摂れる”と謳っていますが、実は糖質を非常に多く含んでいるのです。
私自身、こうしたものは一切、口にしません。私の水分補給は、もっぱらミネラルウォーターで行っています」(以下「」内、牧田善二医師)
牧田善二医師
AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。1979年、北海道大学医学部卒業。
ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』等のトップジャーナルにAGEに関する論文を第一著者として発表。ベストセラー多数。最新著書は『疲れない体をつくる最高の食事術』(小学館刊)。
急激な血糖値上昇は疲労感の原因に
nullなぜ、そこまで“液体の糖質”を避けるのでしょうか? 白ご飯も糖質がたくさん含まれていそうですが……?
「同じ糖質でも、米飯やパンのような固形物なら、嚙んで、胃で消化して……という時間がかかるため、血糖値の上昇も比較的緩やかです。ところが、液体だと消化の手間がいらないため、すぐにドカンと血糖値を上げてしまいます。
この急激な血糖値上昇現象を、専門的には“血糖値スパイク”と表現します。“血糖値スパイク”が起きると、上がりすぎた血糖値を下げるために、膵臓からたくさんインスリンが分泌されます。そして、そのインスリンの作用で、今度は血糖値が下がりすぎ、疲労感や吐き気などの症状を引き起こすわけです。
“血糖値スパイク”を頻繁に起こしていると、そのたびにインスリンを大量に分泌する必要があり、次第に膵臓が疲弊していきます。やがて、疲れきった膵臓の働きが悪くなって、インスリンを出すタイミングが遅れます。すると、血糖値を下げることが難しくなり、糖尿病を発症します」
なるほど。
消化に時間がかからない”液体の糖質”は、急激な血糖値の上昇である”血糖値スパイク”を引き起こし、それが、膵臓の疲れにつながってしまうんですね。
ジュースやスポーツドリンクには要注意
null「液体の糖質は、慢性疲労の原因になるだけでなく、糖尿病に罹りやすい危険な食材なのです。糖尿病に罹れば、その合併症で腎臓がやられ、さらに疲れやすい体になってしまいます。
気をつけてほしいのは、健康に良さそうな野菜ジュースやスポーツドリンクにも糖質がたくさん含まれていることです」
牧田医師によると、実際に学校の部活動でスポーツドリンクを多飲していた中学生が、いきなり高血糖で
昏倒(こんとう)し、救急車で搬送された事例も報告されているのだとか。
「こうしたケースを“ペットボトル症候群”と呼びますが、若くして重症の糖尿病を発症しているわけで、実に深刻な問題です。
とくに炭酸が入っている飲み物は、清涼感にごまかされ甘さに気づきにくくなります。しかし、ためしに蓋を開けたまま放置し、炭酸が抜けた状態で飲んでみると、砂糖水のような甘さに驚くはずです。
つまり、清涼飲料水は、自分が想像しているよりも遙(はるか)に多くの砂糖を摂ってしまう飲みものなのです」
甘い炭酸飲料、コーヒーチェーンの甘々コーヒー飲料なども危険な飲み物といえそうです。時々リフレッシュに摂取したくなりますが……。
「どうしてもシュワシュワとした飲み物を飲みたいのなら、炭酸水を飲んでもいいでしょう。なんの味付けもしていない炭酸水なら、余計な糖質を摂ってしまう懸念はありません。
水は飲めば飲むほど腎臓に良いということが研究でわかっています。できれば1日2リットル以上の水分を摂るように心掛けましょう」
『疲れない体をつくる最高の食事術』
(著・牧田善二、税込1,650円、小学館)
最新調査では日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労はもはや「国民病」です! 疲れ知らずの名医はその原因を「最大の問題は食事」と指摘。本書を読めば、どんな食べ物があなたを疲れさせているのか、そして疲れない体を作る食材は何かが丸わかり!