二日酔いってそもそも何?
null二日酔いといえば、お酒を飲んだ翌日に、頭痛や吐き気などの症状が起こるもの。改めて、二日酔いとはどういうものかについて教えていただきました。
「二日酔いは、体の処理能力の限界を超えてアルコールを飲み過ぎたことで起こります。体調不良は、体内に残っているアルコールやアルコール代謝物が原因です。本当はそこまで飲まなくてもいいのに、酔ってくると惰性でなんとなく多く飲みすぎてしまい、そういうときに二日酔いになることが多いです」(以下「」内、浅部先生)
また、二日酔いが起こりやすいのは、飲んでいる間にアルコール濃度を急激にアップさせてしまう飲み方だといいます。要するに酔いが回るのが早いと、量も飲みすぎてしまい、二日酔いを起こしやすいということです。
最も酔いが回りやすくなり、アルコールが胃や腸に直接吸収されてしまいやすいのは、胃腸が空っぽの状態でアルコールを口にしたとき。二日酔いにもなりやすいそうです。
二日酔いで吐き気が起こるのはなぜ?
null二日酔いの症状の一つが、吐き気。朝起きてから気持ちが悪い状態が続くという経験をしたことのある人は多いのではないでしょうか。そもそも、なぜ二日酔いで吐き気が起こるのでしょうか。
「二日酔いによる吐き気をはじめとした症状の原因は、実はよくわかっていません。あまり厳密には研究されていないのです。今のところ、二日酔いの症状は、アルコールやアルコール代謝物であるアセトアルデヒドが体内に残っていることによって引き起こされると考えられています。
吐き気については、血中のアセトアルデヒドの濃度が一定値を超えると、身体が緊急事態と判断して危険信号を発し、そうしたシグナルが嘔吐中枢へと伝えられることで起こると考えられています」
「二日酔いで吐き気がひどい」ときの対処法
null気を付けていても飲みすぎてしまったりして、二日酔いの吐き気がひどいときはどうすればよいのでしょうか。
「吐き気がひどく、吐きたくなったら、自然な生体反応に従って吐いてかまいません。ただし、指をのどに入れて強引に吐いて、悪いものを外に無理に出そうとするのはやめましょう。食道を傷めてしまうことになりかねません」
そんな時は、飲み物や食べ物は控えるべきでしょうか?
「吐き気があっても水が飲めるのであれば、水は多めに飲んでおきましょう。これは二日酔い全般におすすめです。ただ、飲みにくい場合は無理に飲む必要はありません。
また二日酔いのときは、タンパク質(アミノ酸)、ビタミンが不足しがちで、特にビタミンB群が不足していることが多いので、サプリなどで身体に補ってあげてもいいですね。
ただ、これを食べれば二日酔いがよくなるといった魔法の食べ物はありません。基本的に、アルコールや、代謝物であるアセトアルデヒドを体が分解するまで、待つしかないのです。
またあまりに吐き気がひどく、水分が飲めなかったり、ものが食べられなかったりする場合は、二日酔い点滴を受ける方法もあります」
吐き気を起こさないために事前にしたいこと
null翌日に二日酔いになり、吐き気に悩まされるのを避けるために、ぜひ事前にできることを知っておきたいものです。そこで浅部先生に、二日酔いになりにくい飲み方を教えていただきました。
自分の適量を上回らないよう心がける
「先ほどもお伝えしたように、二日酔いは自分の限界を超えて飲んだときに起こりますので、自分の適量を知り、それを上回らないようにして飲めば二日酔いは防げます。特に“ちゃんぽん”、いわゆるビールの後、焼酎、日本酒などと多種類にわたって飲むことは、自分の飲んでいるアルコールの総量が把握しにくくなるのでおすすめしません」
飲む前に胃の中に何かを入れておく
「空腹時にいきなり酒を飲むと、腸からのアルコール吸収が速くなるため、二日酔いになるリスクが増します。酒を飲む前に何かを食べておき、アルコールの吸収速度を緩やかにしましょう。
おすすめはたんぱく質と脂質が胃に長時間留まるチーズです。また、飲んでいる最中はたんぱく質、ビタミンB1、食物繊維がおすすめです。例えば、豚肉、納豆、お浸し、サラダ、きんぴらごぼう、切干大根などがあります」
飲んでいる間はこまめに水分補給を
「酒を飲んでいる間は、常に水を飲んでください。水を飲むことで、胃腸のアルコール濃度を薄める効果が期待できるためです。またアルコールには利尿作用がありますので脱水状態になりやすく、それを防ぐためにもおすすめです」
これまで二日酔いの吐き気に悩まされていた人は、ぜひ自分の適量を心がけ、飲む前と飲んでいる最中の対策を実践してみましょう!
取材・文/
【取材協力・監修】
浅部伸一
東京大学医学部卒業後、東大病院、虎の門病院等で研修。国立がん研究センター、自治医科大学、米スクリプス研究所を経て、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科准教授。現在は、アッヴィ合同会社勤務。肝臓専門医。ジャパン・サケ・アソシエーション理事。『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経BP社)監修。