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【医師に聞く二日酔い対策♯5】楽しいお酒のために「二日酔いと食べ物・飲み物の関係」を知っておこう

ついつい飲みすぎた翌日は、案の定、二日酔いに……。朝からお弁当や朝食づくりがある上に、仕事は休めないという中では、つらいものがありますよね。

肝臓専門医の浅部伸一先生に、二日酔いの原因や対策についてうかがっていく企画の第5回目は、二日酔いと食べ物・飲み物の関係についてお届けします。

二日酔いになってしまったら何を飲めばいい?噂のあれはアリorナシ?

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最初に、二日酔いになってしまったあとの食べ物と飲み物を浅部先生に教えていただきました。

「まず、個人差がありますが、残っているアルコールをより早く分解・排泄するために、また、二日酔いの症状を和らげるために水分を摂るのはおすすめです。水分摂取のときには、自分が飲みたいと思う量よりも、少し多めに飲むように心がけるといいでしょう」(以下「」内、浅部先生)

飲むのは基本的に水でいいそうですが、その他のドリンクはどうなのでしょうか。それぞれ教えていただきました。

糖分が入っているものの方がいい?

「水よりもスポーツドリンクなどのほうが飲みやすければ飲んでもいいです。スポーツドリンクの方が胃腸への負担が小さく飲みやすいとは思うので、二日酔いで気持ちの悪いときなどには良いのではないでしょうか。ただ、糖分が入っているものは、2リットル以上飲むのはよくありません。

だいたい500ml~1リットル程度にとどめておきましょう。吐き気がある場合はものを食べたくないでしょうし、少量であれば、多少甘みのある飲み物でもいいでしょう」

浅部先生によれば、甘いスポーツドリンクには糖分が含まれているものが多く、短時間に多量の糖分を取ると、血糖値が上がって急激に糖尿病状態になる危険があるそうです(ペットボトル症候群)。全ての人がなる訳ではないそうですが、一度に多量の糖分を含んだ飲料を飲むことは推奨されていません。

味噌汁はいい?

「いいと思います。味噌はたんぱく質が含まれていますので、水分だけではなく栄養も摂ることができます」

栄養ドリンクは?

「注意が必要です。栄養ドリンクにはだいたいビタミンやカフェインが入っています。カフェインはシャキッとしますが、見せかけ上、元気になるだけです。

カフェインが切れてくると、ばててしまいます。ただし、人によってはカフェインで頭痛が軽くなる場合もありますので、大量でなければ、お茶、コーヒーを飲むことは構いません。

もし二日酔いの日にお休みで寝ていられるならカフェインは摂らずにゆっくり休んでいればいいでしょう」

・・・お酒は?

「二日酔いのときに、お酒は禁物です。絶対に避けるようにしましょう」

二日酔いのときに摂りたい食べ物

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「二日酔いのときには、タンパク質(アミノ酸)やビタミンがおすすめです。特にビタミンB群が不足していることが多いので、サプリメントなどで身体に補ってあげるといいかもしれません。

ただし、それさえ食べれば、二日酔いが治るという魔法のような食べ物はありません。アルコールや、アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドを体が分解するまで待つしかありません」

二日酔いになる前に…食べ物・飲み物で二日酔いを予防できる?

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二日酔いにならないようにするために、食べ物と飲み物で予防できるのだそうです。どんなものがおすすめか、浅部先生に教えていただきました。

胃に長時間留まるもの

「酒を飲む前に何かを食べておき、アルコールの吸収速度を緩やかにすることで、二日酔いになるリスクが減ります。おすすめはたんぱく質と脂質を含み、胃に長時間留まるチーズです。

また、飲んでいる最中はたんぱく質、ビタミンB1、食物繊維がおすすめです。例えば、豚肉、納豆、お浸し、サラダ、きんぴらごぼう、切干大根などをおつまみに選ぶといいでしょう。

一般に脂肪分は胃での滞留時間が長いとされますので、揚げ物などに限らず、オリーブオイル、マヨネーズを使ったサラダや前菜でもいいといわれます。ただし、カロリーには要注意です」

ノンアルコールを意識的に摂取

「酒を飲んでいる間は、常に水やウーロン茶などのノンアルコールのものを飲むことで、胃腸のアルコール濃度を薄める効果が期待でき、二日酔い予防につながります。またアルコールには利尿作用があり脱水状態になりやすいので、それを防ぐためにも水分摂取はおすすめです」

女性はアルコールの処理能力が低い傾向がある

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ちなみに女性は特に、飲みすぎには注意が必要だといいます。

「女性の場合、アルコールの処理能力が男性より低い傾向があるといわれています。そのため、お酒を飲むことによる害が出やすいので要注意です。

最近では、女性の膵炎(すいえん)が増えているといわれています。膵炎といえば、昔は“おじさん御用達”の病気でした。一概には言えませんが、近年、女性の方が増えているということは、お酒の影響もあるのかもしれません。

膵炎は、もっとも恐ろしいがんといわれる、すい臓がんのリスクが高まる病気です。飲みすぎには十分注意しましょう」

浅部先生は二日酔いになったら、「学び」の機会にすることを勧めます。

「二日酔いになったら、ダメな飲み方だったんだ、と学習することが大切です。二日酔いになったということは、自分の限度を超えて飲んだということだからです。次からは学んで、量を減らせばいいのです。二日酔いはそのように学習のための機会ととらえ、繰り返さないようにしましょう」

 

食べ物と飲み物をうまく活用しながら、二日酔い予防と対策を行い、繰り返さないようにしたいものですよね。対策を実践してみて、自分の二日酔いにならない目安が分かれば、お酒との付き合い方もうまくなり、よりお酒を楽しめるようになりそうです。

取材・文/石原亜香利


【取材協力・監修】

浅部伸一

東京大学医学部卒業後、東大病院、虎の門病院等で研修。国立がん研究センター、自治医科大学、米スクリプス研究所を経て、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科准教授。現在は、アッヴィ合同会社勤務。肝臓専門医。ジャパン・サケ・アソシエーション理事。『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経BP社)監修。

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