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すり傷に消毒液は使わない!? 湘南ERが教える正しい応急手当【虫刺され・鼻血・傷】

大人も子どもも活動的になる夏。遊んだり、運動したりしていると、うっかり転んだりケガをしてしまうこともあるもの……。そんな時の応急手当は、正しくできているでしょうか? 「湘南ER」のドクターたちに、お話をうかがいました。

「湘南ER」とは、「湘南鎌倉総合病院」の救急総合診療科 、通称「ER」のこと。重症患者から軽症患者まで、すべての初期治療に対応できるのがER医です。今回は、そんな湘南ERのみなさんに、実はオススメできない手当の仕方や、正しい応急処置についてご紹介します。

ケース1:虫刺され~アナフィラキシー症状が出たらすぐに救急へ~

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長引くかゆみ、痛みにはきちんと対処を。

夏に多い虫刺され、それによってERに駆け込む人も少なくないそうです。

「夏は、ハチやブヨなどによる虫刺されが多いです。虫刺されは、基本の応急手当は流水で十分に洗い流すことが大切です。毒を出そうと絞ったり、吸い出したりする必要はありません。腫れがひどい場合は患部を冷やしてください。また、目に見えるような針が残っている場合は抜いてください」(湘南ER・Dr.福井)

虫刺されによるアナフィラキシーの症状が出たら、すぐに救急車を呼んでほしいと関根先生。

「しばらくして症状が緩和してくるようなら、様子を見てください。そうではなく、刺された直後から息苦しさや吐き気が出たり、刺された部分以外の腫れが見られたりなど、アナフィラキシーの症状が見られる場合には、すぐに救急車を呼んでください」(Dr.関根)

虫さされの反応としては、子どもの方が、大人より大きく腫れることもあるのだとか。

「だんだん腫れが引いていくなら大丈夫ですが、逆に刺された時よりも、数日後に腫れがひどくなったような時は、化膿している可能性があります。そんな場合も病院での治療が必要です」(Dr.関根)

アウトドアへのお出かけの際には、長袖など肌が出ない格好を心がけたり、虫除けスプレーを持ち歩いたりなどの予防策も大切です。

虫除けスプレーなどで虫刺され対策を!

ケース2:鼻血~止まらない場合は?~

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子どもによく起こりがちな鼻血。鼻血を正しく止血するにはコツがあるそうです。

「出血の多くは、鼻の穴の入り口近くが傷ついたことによるものです。なので、小鼻を指ではさむようにして押さえ、圧迫します。血液を飲み込まないようにうつむき、のどのほうに落ちてきてしまったら吐き出します」(Dr.福井)

鼻の穴にティッシュを詰めて止血するのがスタンダードかと思いきや、実は注意が必要なのだとか。

「鼻の穴にティッシュを詰める方も多いと思います。それが一概に悪いとはいえませんが、そのやり方では、出血している部位をうまく圧迫できないこともあります。やり方によってはティッシュが粘膜を傷つけてしまうこともあるので、注意が必要です」(Dr.福井)

そして、病院に行くべき鼻血症状もあるそう。

止血方法を試しても30分以上止まらない時や、立ちくらみやふらつきがある時には病院へ行ってください。鼻血が止まらない場合は、鼻の奥の方で出血しているケースや、お年寄りでは血液がサラサラになる薬を飲んでいる場合などが挙げられます」(Dr.関根)

圧迫して抑えて止血を。

ケース3:傷~すり傷、切り傷に消毒液チョンチョンはNG!?~

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関根先生によると、すり傷、切り傷の応急手当として、ついやってしまいがちな間違いがあるのだとか。

「患部にチョンチョンと消毒液だけ……はダメです。“消毒液をつければ傷口が綺麗になる”と勘違いしている方も多いです。しかし、消毒だけしても、異物を取り除かなければ意味がありません。しっかりと流水で砂や土などの異物を洗い流し、傷口にバイ菌が居座れないようにするのが大切です」(Dr.関根)

特に泥汚れはしっかり洗浄し、惜しみなく大量の水で洗うことがポイントだといいます。

「異物を取り除いたら、傷口にガーゼなどを当て、表面を保護します。ガーゼに白色ワセリンなどの軟膏を塗り、傷口が乾かないようにするのが綺麗に治すコツになります」(Dr.寺根)

傷口は毎日洗浄し、ガーゼも毎日取り替えましょう。また、見た目に傷口が明らかに大きい場合や出血が止まらない時は、医療機関で受診しましょう。

傷口は惜しみなく大量の流水で洗いましょう。

【まとめ】虫さされ、鼻血、ケガなどの対処法

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  • 虫刺されは流水で洗い流す。針があったら抜く。アナフィラキシーの症状が起きていたら、すぐに救急へ
  • 鼻血はうつむいて小鼻を指で挟み、圧迫を。30分経っても止血できない場合は病院へ
  • 鼻にティッシュを詰めるのは推奨されない場合も
  • すり傷・切り傷に消毒液チョンチョンはダメ。しっかりと流水で異物を洗い流して

 

湘南ER

「湘南鎌倉総合病院」の救急総合診療科(ER)。救急車の搬送台数は日本トップクラス。24時間365日、緊急度・重症度・来院方法によらずすべての救急外来受診患者を受け入れ、最善を尽くした医療を提供することを使命にしている。

Dr.佐々木弥生(左)、Dr.関根一朗(中央下)、Dr.寺根亜弥(中央上)、Dr.福井浩之(右)。

Instagramは@shonan_er

 

 

【書籍情報】

『湘南ERが教える 大切な人を守るための応急手当』(KADOKAWA)

専門外がなく、すべてのケガや病気の初期治療ができる「ER医」。
幅広い症例を経験した湘南鎌倉総合病院のER医が、本当に正しい「応急手当」を教えます。

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まなたろう
まなたろう

秋田生まれ。高校卒業後ドイツの大学の舞踊科へ。以後、海外を10年以上放浪し、現在は東京在住。ライターの他、ヨガインストラクターや振付家などもしている。

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