ケース1:火傷~花火をするときはサンダルNG!~
null家庭内のケガで多いのが、火傷。
調理中の油のはね返りや、家電製品の水蒸気の噴出口など、日常生活でも火傷の原因はたくさんあります。火傷への1番の対処法は、まず患部を冷やすこと。
「温度の高さと、どのくらい長く接触していたかで重症度が変わってきます。火傷を負ったら、ただちに流水で患部を冷やしましょう。5分〜15分間くらい、程度に応じて水道水で冷やしてください。
服の上から火傷をしてしまった場合は熱くなった衣類を脱ぎましょう。熱くなった衣類が肌に触れている時間が長いと、火傷が進行してしまいます。脱ぐのが難しい場合は服の上から冷やしましょう」(湘南ER・Dr.関根)
早急に冷やすことで火傷の進行を防ぎ、痛みを軽減させることにつながるのだそう。
「しっかりと冷やした後は、患部に白色ワセリンを塗り、清潔なガーゼなどで覆って保護します。水疱をつぶさないように注意してください」(Dr.佐々木)
特に夏に起こりやすい火傷の原因として、「花火」が挙げられるそう。花火をする時は履き物に注意すべきだと言います。
「花火をする時はサンダルや穴の開いた靴などはやめましょう。足に火の粉や燃えカスが落ちて、火傷してしまうケースが多いのです」(Dr.寺根)
花火の際には、足が隠れる靴を履いて楽しみましょう。
なお、火傷症状が治まらなくて、下記の症状が出ている場合には病院に行きましょう。
- やけどした部分が白くなったり黒くなったりしている
- やけどした部分に水ぶくれができている
- 指などの関節が含まれている
- 顔面や陰部が含まれている
- ほんのり赤くなっただけでも手のひらよりもやけどが広い
- 痛みが強い
- 数日の経過で症状が悪化する
日焼けは火傷と同じ
夏は日焼けをしがちなものです。特に海や山などのアウトドアアクティビティーを楽しんでいると、一日中外にいて、ひどい日焼けをしてしまうことも。
「日焼けは軽い火傷と同じです、長時間弱い熱を肌に当てていることによって起こる火傷なのです」(Dr.福井)
対処法は火傷の時と同じく、冷やすこと。
「ほてって痛みがあるときは、水で濡らしたタオルや、保冷剤を包んだタオルを当てて、冷やします。日焼けした肌が洋服とこすれて痛い場合は、患部にワセリンを塗ってください。皮膚が保護され、痛みがやわらぎます」(Dr.福井)
日焼けから肌を守るためには、特に予防が大切です。
「日焼け止めをムラなく、満遍なく塗るようにしてください。目の日焼けも起こりやすいので、サングラスの着用は想像以上に大切です」(Dr.佐々木)
ケース2:熱中症~夏のアウトドアには経口補水液を~
null夏は熱中症に注意が必要な季節でもあります。熱中症とは、暑い環境に体が上手くついていけずに起こるもの。近年の猛暑により、夏のアウトドアでは対策をしっかりしないといけません。
「めまいや立ちくらみなど軽症の症状、頭痛や吐き気などの中等症と言われる症状などが見られます。気温や湿度が高い時、風が少ない時に起こりやすくなります。子どもや高齢者、精神疾患などがある方は、自己管理が難しいため、より注意が必要です」(Dr.福井)
熱中症の症状が見られたら、まずは涼しい場所で休むのが大切。加えて、発汗などで体のミネラル分が失われていることが多いので、塩分の入った水分をとり、体を冷やしましょう。また、熱中症には予防も重要です。
「暑い日のアウトドアには、経口補水液をこまめに飲むことで熱中症予防につながります。ゴクゴク一気に飲むと吐いたりするおそれがあるため、“少量ずつこまめに”を意識して補給するといいでしょう」(Dr.福井)
なお、経口補水液が飲めないお子さんなどには、糖分やミネラルを程よく含んでいるリンゴジュースを半分水で薄めたものでも、代用できるそうです。
ケース3:水辺のトラブル~美しいけど触ったら猛毒!「カツオノエボシ」~
null夏といえば海! 海で気をつけたいのがクラゲやエイなどの海洋生物です。刺された時は、どうしたらいいのでしょうか?
「刺されてしまったら、傷口を海水でよくすすいで洗浄しましょう。このとき真水だと浸透圧の作用で体内に毒が残りやすくなる可能性もあるため、まずは海水で洗ってください。
痛みが強い場合は、患部を40〜45℃の湯に浸けると熱で毒素が分解され、痛みが軽減することもあります」(Dr.寺根)
海水ですすぐのは、ほかの海洋生物でも同様です。また海洋生物の中でも、特に気を付けて欲しいものがあるとか。
「見た目が青くて美しい“カツオノエボシ”は、触りたくなるお子さまが多いと思います。海岸に流れ着いていることもよくありますが、見つけても毒があるので触らないように注意しましょう」(Dr.佐々木)
水遊びでは、子どもからは「絶対に」目を離さないで
海や川、プールなど、水遊びの機会が増える夏。水の事故には予防がとても大切です。
「子どもは溺れやすいので、水がある場所では絶対に目を離さないでください。海や川でのライフジャケットの着用は必須です。また、ライフセーバーがいる場所で遊ぶように心がけてください」(Dr.福井)
また、よちよち歩きの赤ちゃんなどは、水が5cmあれば溺れるのに十分な深さだといいます。
「大人の足のくるぶし程度までで、5cmほどです。『深くないから大丈夫』ということはありません。おうちの庭の簡易プールだとしても、目を離さないでください。子どもは一瞬で静かに溺れます」(Dr.福井)
子どもとの水遊びでは、“絶対”に目を離さないようにしましょう。
【まとめ】夏の怪我・体調不良・アクシデントの予防と対処法
null- 火傷は迅速に冷やすことが大切
- 花火をする時にはサンダルや穴の開いた靴は避ける
- 日焼けは弱い火傷と同じ。日焼け止めで予防すべし
- アウトドアでは経口補水液を常備して熱中症対策を。飲み方は少量頻回を心がけて
- 海洋生物に刺されたら海水で洗い流す
- 水がある場所では“絶対に”子どもから目を離さないで
湘南ER
「湘南鎌倉総合病院」の救急総合診療科(ER)。救急車の搬送台数は日本トップクラス。24時間365日、緊急度・重症度・来院方法によらずすべての救急外来受診患者を受け入れ、最善を尽くした医療を提供することを使命にしている。
左からDr.関根一朗、Dr.佐々木弥生、Dr.福井浩之、Dr.寺根亜弥。
Instagramは@shonan_er
【書籍情報】
『湘南ERが教える 大切な人を守るための応急手当』(KADOKAWA)
専門外がなく、すべてのケガや病気の初期治療ができる「ER医」。
幅広い症例を経験した湘南鎌倉総合病院のER医が、本当に正しい「応急手当」を教えます。
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秋田生まれ。高校卒業後ドイツの大学の舞踊科へ。以後、海外を10年以上放浪し、現在は東京在住。ライターの他、ヨガインストラクターや振付家などもしている。