子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

糖質=悪者なの!? 1日の目安やダイエットとの関係をしっかり解説【知っておきたい!女性の栄養基礎知識#2】

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE

健康管理やダイエットをする上で欠かせない栄養の知識。普段の生活にプロテインやサプリを取り入れている人も増えていますが、どの栄養素が実際にどれくらい必要で、そのために毎日の食事でどんなことに気を付ければいいのか、即答できる人は少ないかもしれません。

そこで、管理栄養士の宮崎奈津季さんに、まずは3大栄養素であるたんぱく質・炭水化物・脂質についての基礎知識を教えてもらいます。第2回は、体を動かすエネルギーとなる糖質について。とかく悪者扱いされがちな糖質ですが、もちろん必須の栄養素です!

糖質ってとっちゃいけないの?

こんにちは。管理栄養士の宮﨑奈津季です。健康で美しくなりたい女性にとって欠かせない「栄養」の知識。何をどれだけとるのが良いのか、そもそもどんな働きをしているのか気になったことはありませんか?

スーパーやコンビニなどでよく見かける「低糖質食品」。糖質=太るというイメージがある人も多いかもしれませんが、実際に私たちの体内でどんな働きをしているかご存知でしょうか。

今回は「糖質」の働きや、ダイエットの観点から糖質とどう付き合うのが良いのかお伝えしていきます。

そもそも糖質って何でしょう?

そもそも「糖質」とは何を指すものでしょうか。

糖質は、炭水化物の一部。炭水化物の中でも、消化ができてエネルギーとして利用することができるもののことです。逆に、炭水化物の中で消化・吸収できずエネルギーとして利用しにくいものは食物繊維と呼ばれています。

糖質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します。糖質は、私たちの体にとって生命活動を維持するために大切なもので、不足すると疲れを感じてしまうことがあります。

また、脳などの一部の組織ではブドウ糖しかエネルギーとして使うことができないため、それらの組織において重要なエネルギー源です。

糖質の計算方法

前述したように、炭水化物は、エネルギーになる糖質と、ヒトの消化酵素では消化されないためほとんどエネルギーにはならない食物繊維に分けられます。

栄養成分表示の例。炭水化物が糖質と食物繊維で分けて表示されています。

炭水化物のうち、糖質がどのくらい含まれているのかを計算するにはどうしたらよいでしょう。

以前からある計算方法の一つとして、炭水化物から食物繊維の総量を引いた値を「糖質」として算出する方法があります。市販で販売されている商品に明記されている糖質量はこの方法で求められているものが一般的です。

また、近年では食品成分表の中に「利用可能炭水化物(質量計)」という項目があり、これは、利用可能炭水化物、いわゆる糖質の摂取量を知りたいときに使用する項目です。(※1,2)

食品成分表に記載がある食材であれば、利用可能炭水化物(質量計)を確認することができます。気になる方は一度見てみましょう。

糖質はどれくらいとればいい?

女性の必要量

日本人の食事摂取基準(2020年版)(※1)では、糖質として摂取量は設定されておらず、炭水化物として設定されています。摂取しているエネルギーの50~60%を炭水化物から摂取することを目標量として設定しています。

必要なエネルギーの量は、性別や年齢、日々の活動量によって異なるため、必要な炭水化物の量には個人差があります。30~40代女性の方で、日常生活の中でデスクワーク中心、かつ通勤や徒歩もある方の場合、目標とする炭水化物の量は約250~300g程度となっています。

この目標量はあくまで目安となります。必ずしもこの数値を目指すということではなく、個人差があることを覚えておきましょう。

糖質はどの食材にどれくらい含まれる?

1日の炭水化物の必要量を250gとした場合、食材にするとどのくらい食べればよいのでしょうか。実際に1食当たりで食べる量から、炭水化物(利用可能炭水化物/質量計)がどのくらい含まれているのか見ていきましょう。

まずは、炭水化物が多く含まれている主食についてです。

・ごはん 1杯(150g) 51.9g
・スパゲッティ 1食分(ゆでた後で200g) 57.0g
・食パン 6枚切り1枚(60g) 26.5g
・いちごジャム(高糖度) 大さじ1(21g) 13.1g

合計 148.5g
(※1 利用可能炭水化物/質量計を参照)

これだけ見ると、かなりたくさん食べてもいいんだなと思いますよね。しかし、炭水化物はこのほかに、間食や甘い飲み物にも多く含まれています。

・いちごのショートケーキ 1カット(120g) 49.8g
・コーヒー飲料(ミルク・砂糖入り) ペットボトル1本(500ml) 41.5g

合計 91.3g
(※1 利用可能炭水化物/質量計を参照)

さきほどの数値と合計すると、炭水化物の量は239.8gとなります。

さらに、普段の食事にはこれらに加えて野菜や果物、調味料によって炭水化物を摂取しています。これらを考慮すると、炭水化物の量はおおよそ合計250gを超えるでしょう。

実は、炭水化物の量が多くなってしまう要因として挙げられるのは、主食のとりすぎではなく、間食や甘い飲み物によるものの可能性が高いんです。

これらの食品を頻繁にとっているという方は、まずは主食を減らすよりも間食や甘い飲み物を減らしていくことから始めると良いでしょう。

糖質と血糖値の関係 

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。食事中の糖質などから消化吸収されてブドウ糖となり、それが血液に入ると血糖値が上がるという仕組みになっています。

血糖値が上昇すると、ホルモンの働きによりブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用され、血糖値が下がるようになっています。

しかし、ホルモンの働きが悪くなってしまったり分泌が少なかったりすると、血糖値が下がらなかったり、急激な血糖値の上昇により動脈硬化を引き起こしたりと、心疾患や脳卒中のリスクにもつながると考えられています。

血糖値を急上昇させない工夫

血糖値を急激に上げない方法として、「ベジファースト」と呼ばれるものがあります。これは、糖質を摂取する前に野菜を先に食べるというものです。

最近の研究では、野菜だけではなくたんぱく質の多い食品もいっしょにとり、よく噛んで食べることが大切だといわれています。(※5)

急激に血糖値を上げないために普段の食事の中でも食べる順番に気を付けてみるといいでしょう。

GI値とは?

GI(グリセミック・インデックス)とは、食後血糖値の上昇を示す指標で、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示しています。食物繊維が多い食品は、このGIが低い傾向にあります。

GIとは、食後血糖値の上昇を示す指標で、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示しています。食物繊維が多い食品は、このGIが低い傾向にあります。

例えば、白米よりも玄米、食パンよりもライ麦パンなど精製されていないもののほうがGIが低いことが知られています。食後の血糖上昇を抑えるためにこのGIを活用することもできるのではないかと考えられていますが、具体的にどのようにすべきかはまだ研究中となっています(※3、8)。

ダイエットと糖質の関係

糖質制限=ダイエット?

糖質制限と聞くと「痩せるダイエット」のイメージが強いのではないでしょうか。一時期、効果の出やすいダイエットとして大きな話題になりました。

なぜ、こんなにも効果が出やすかったのか。実は糖質制限を行うことで体重が落ちる原因は、水分です。糖質制限を行うと、グリコーゲンと呼ばれる貯蔵物が減少していきます。

このグリコーゲンは1gに対して水分が3g結びつく性質があるため、グリコーゲンが減少すると、体内の水分量がたくさん減り、見かけ上体重が落ちることになります。

つまり、糖質制限をして一時的に体重が減ったとしても、脂肪が減ったわけではないのです。

糖質が極端に不足するとどうなる?

というわけで、糖質制限ダイエットにはとてもリバウンドしやすいというデメリットがあります。

食事から糖質が摂取できなくなると、筋肉や肝臓に貯めていた糖を分解してエネルギーにしますが、それがなくなると次は筋肉や脂肪を分解し、結局は代謝が落ちてしまいます

そのため、体自身が消費できるエネルギーが少なくなり、痩せたからと食事量を戻すとまた太りやすくなってしまうんです。

その他にも、ごはんなどの主食を減らすと、食物繊維の量が減ってしまうため、腸内環境の乱れにつながったり、集中力の低下なども起こりえるといわれています。

糖質は、私たちが生きる上で必要なエネルギー源です。摂取するエネルギーの50~60%を目安に炭水化物としてしっかり摂取するようにします。摂取する量に個人差はありますが、最低でも毎食こぶし1個分程度の主食は摂っておくようにしましょう。

ただし、甘いお菓子や飲み物で糖質を補うのは過剰な糖質摂取につながるためNG。主食・主菜・副菜の揃った食事を心がけるといいでしょう。

【参考文献】
※1 文部科学省:日本食品成分表2020年版(八訂)
※2 香川明夫:八訂 食品成分表 2022、女子栄養大学出版部(2022)
※3 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
※4 香川明夫:はじめての食品成分表 八訂版、女子栄養大学出版部(2022)
※5 矢部大介他:、摂取栄養素と高血糖 4.食後血糖と栄養素摂取の順番、糖尿病59(1):30~32(2016)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/1/59_30/_pdf/-char/ja
(閲覧日:2022年3月15日)
※6 吉田企世子、松田早苗監修:正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学、髙橋書店(2021)
※7 飯田薫子、寺本あい監修:一生役立つきちんとわかる栄養学、株式会社西東社(2019)
※8  関根里恵:糖尿病における栄養食事療法、心身医vol.59 No.4:358~362(2019)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/59/4/59_358/_pdf/-char/ja
(閲覧日:2022年4月28日)

 


宮崎奈津季

管理栄養士・薬膳コーディネーター。
介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。

※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です

HP:https://www.mnatsuki.com/
Twitter:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
連載・特集