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クイズ!会議で「発表者」がやってはいけないことは…【踊らず進む!会議のお作法】vol.4

4~6人程度の少人数であっても、参加者それぞれが手を抜かずに役割を全うすることは、会議で目的を達成するためのベースとなります。会議の参加者には司会・発表者・書記……といった役割がありますが、それぞれが仕事をやり遂げるためには何をすればいいのでしょうか?

今回は会議で“発表者”がするべきことについて、チームビルディング・コンサルタントの尾方僚さんに教えていただきました。

クイズ! 「発表者」がやってはいけないことは?

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vol.2「“会議での役割分担”と見極めで生産性アップ!」でご紹介したように、会議には話し合いや議題進行に必要な情報などを参加者に向けて伝えたり発表したりする“発表者”がいます(主催者が発表者を兼ねる場合を除く)。
議題を進めるうえで、重要なカギを握る役割ですね。

突然ですが、ここで質問です。

Q.会議で事業報告や情報共有など何らかの発表をするとき、 “決してやってはいけないこと”は以下のうちどれでしょうか?

a.実体験を盛り込む

b.過程から始めて結論を最後に言う

c.発表の最後にお礼を言う

こう並べると何だかどれもやっていいことのように思えますが、気になる答えは……

A.ズバリ、「b.過程から始めて結論を最後に言う」です。

では、なぜ結論を最後に言うべきではないのでしょうか? まずは、発表者の仕事内容から順を追ってご説明していきましょう。

目的達成に必要な「与えられたテーマ」を把握する

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主催者から発表者に任命されたら、まず以下のことをきっちりと確認しましょう。

・会議の目的

・自分が与えられたテーマ

“物事を決めるため”“情報共有をするため”など、その会議の目的によって内容や話し方などすべてが変わってきます。

裏付けデータなど、「発表を支える資料」を準備

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「なぜこういう議題に発展したのか?」「何のための情報共有なのか」……当然ながら、発表する内容の裏付けデータがなければ、参加者を納得させたり、説得することはできません。

発表の資料に必ずしもそのデータを反映させる必要はありませんが、質問されたときのことを想定して、当日は別紙で自分の手元に置いておくようにしましょう。

会議や発表がスムーズにいくために、また参加者がよく理解するために必要な資料であれば、参加者全員に配布してもよいでしょう。

発表するときの「超・基本の型」とは?

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必要な裏付けデータや資料が準備できたら、発表の内容と構成を考えます。
よくグダグダと過程を話した後に結論を話す人がいますが、それでは言いたいことが伝わりづらく、聞き手の集中力も持ちません。

“まず結論(やテーマ)から述べてから、その根拠を話す”という話の流れは、人前で発表するときだけでなく、報告や連絡なども含めて、人に話をするとき全般の“基本の型”となります。よく覚えておきましょう。

それでは少人数会議で発表するときを例に、アジェンダ(会議の工程表)として理想的な構成と順番、そしてポイントをお伝えします。

(0)自己紹介

4~6人の少人数会議では、参加者は同じ部署やチーム内のメンバーであることが多いもの。でもときにはグループ会社や他部署の会議に呼ばれたり、知らない人が同席する会議で発表するケースもあるでしょう。

そういった場合には、まず本題を発表する前に自分が何者なのか分かってもらうために、最初に会社名・部署名と名前を名乗りましょう。

(1)発表するテーマの開示

発表するすべての項目、すなわち小分けされた結論をひと通り話します。聞き手は大まかな発表内容を事前に知ることができるので、自分にとくに関わりのある部分を把握し、質問を考えながら聞くことができます。

(2)項目ごとの説明(2分以内におさめる)

次に項目ごとの説明に入ります。長さは、1項目につき2分以内で話すのがベスト。3分以上を話を続けると、聞き手が飽きやすくなってしまうので注意しましょう。

(3)項目ごとの質疑応答

とくに情報共有が目的の会議の場合は、項目ごとに質疑応答の時間を設けて、その都度参加者の疑問を解消するようにします。そうすることで、参加者の発表内容への理解が深まっていくのです。

項目の数だけ(2)と(3)を繰り返します。

(4)すべての項目を復唱する

全項目の発表が終わったら、再度すべての項目と決定事項を復唱します。発表の目的や意義を、参加者に再認識してもらうためです。

(5)お礼を述べる

最後に発表の“締め”として、「ありがとうございました」と参加者へ感謝の気持ちを述べましょう。お礼で締めくくることで和やかな雰囲気で発表を終えることができますし、感謝されて嫌な気分になる人はいないですよね。

発表資料や裏付けデータが揃い、上記の型に沿って話す順番や構成が決まったら、当日きちんと話ができるように再度ひととおり目を通しておきます。練習として、声に出して読み上げてみるのもいいかもしれません。

説得力と納得感をプラスする!「発表者のテクニック」

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(1)「具体的なエピソード」を盛り込む

裏付けデータ以外にも、発表に説得力を持たせられるものがあります。それは具体的なエピソードを途中ではさむことです。もちろん、場合によっては自分が経験したことだけでなく、人から聞いた話でもOK。

例えば、「女性はきれいなものが好きなんです」と言うよりは、「私の友人は美しいものが好きで、先日もなんと1客10万円の高級グラスを購入していました!」といった具体的で状況を想像しやすいエピソードのほうが、印象に残り人の心には刺さりやすくなります。

(2)「実体験」を盛り込む

また、単に「赤いチューリップが好き」と言っただけでは、他人は「私は黄色いチューリップが好き」と意見を言えてしまいます。
しかし、「この前公園で見た赤いチューリップが本当にきれいで」と実体験をもとにした話を加えると “話した人自身の情報”になるので、他人が口を挟む余地がなくなり、「ああ、この人は赤いチューリップが好きなんだな」と納得しやすいのです。

発表者の「質疑応答」対応テクニック

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自分が発表した後で質問を受け付けるとき、どんなことを聞かれるのかドギマギしてしまう人も多いでしょう。

しかし、質疑応答でしどろもどろになってしまっては“できない人”という印象を持たれてしまいます。どんな場合でも毅然な態度でのぞみましょう。

(1)あいまいな質問を受けたら「言い換えて確認する」

質問をしている人の発言がだらだらと長くなってしまい、“何の質問なのか他の会議参加者に分かりづらい”、“質問者自身も何を言っているのかわからない”といった状況になるときもあるでしょう。

そんなときは「○○さんのご質問は、●●ということですね」と言い換えてから回答すると、質問した人だけでなく、他の参加者にもわかりやすくなって親切です。

また、進行が途切れることもありません。

(2)答えられなかった質問は「いつどのように回答するか」を伝える

質問内容を想定して事前に裏付けデータを用意していても、まったく別の質問をされることもあります。

そんなときは焦らず、「今は答えられない」ことを正直に伝え、後日いつどのように回答するかを明確に伝えましょう。

 

今回は会議で発表する人の役割などをご紹介しましたが、いかがでしたか? 次回vol.5では、会議の記録係“書記”の役目などについてお伝えします。

 


 

【取材協力・監修】

チームビルディング・コンサルタント

尾方僚

大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。

【参考】

尾方僚(2011)『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)

尾方僚(2007)『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニケーションズ)

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