「来週のプレゼンが不安で、他の仕事が手につかない…」ときにやるべきことは?
こなさないといけない仕事は山積みなのに、気がかりなことがあると、なかなか集中できなかったりする。そんなチキンハートな『kufura』編集部のE子。どうしたらいいのだろう?
「行動科学では、“いま必要なことに焦点を当てる”ことを大切にしています。
漠然とした不安は、書き出すことで客観視できます。例えば来週のプレゼンが不安だとしても、客観視したメモを見ると、“トークスクリプトを作ろう”などと、何が準備不足かが具体的に分かります。
一方で、うまくしゃべれるかな、緊張して声が出なくなってしまったらどうしようと不安なのであれば、何回か声に出して練習することで解消できます。
思考に囚われがちな方は、“棚上げノート”に書きこみ、“今の仕事とは関係ないので、後回し後回し”と自分の心の中でつぶやいて、目の前の仕事に集中することも大事です。後で見返すことができるとわかると、安心するんですよね」と冨山さん。
そうか、“棚上げノート”に書いてしまうと、安心して次の仕事に取りかかれそうだ。
「また人は、緊急度が高いことに意識が向く習性があります。目の前の仕事を期限内にやらないとまずいという理由を、あえて自分の中で作ってしまいましょう。そうすると目の前の仕事に集中できますよ」
失敗したときに「くよくよする」のを避ける方法は?失敗から何を学ぶ?
仕事でミスがあったあと、引きずってしまい、仕事が手につかなくなることも。そんな時は?
「失敗したときに悩まない人より、悩む人のほうが成長します。悩まない人は失敗を失敗と捉えないので、一見ポジティブのようですが、また同じ失敗を繰り返すので成長しないのです。
女性はちょっとしたミスで抱え込んでしまったり、くよくよする人が多いです。くよくよするのは人間だから当たり前なんですね。
でもここで大事なのは、自分を責めないことです。“なぜ自分はどんくさいんだろう”とか、“どうして私はここぞという時に失敗してしまうんだろう”と過去の失敗を思い起こしがちです。しかし、“これは、今回の失敗とは関係がない”と思ってほしいんですね。
事実を客観的に受け止める。そのことを頭の中で練習して欲しいのです。とはいえ、悩んでいるときにいきなり分析するのは難しいですよね。
例えば会議での資料が準備不足だったら、“私っていつもそうだ。私ってこの仕事は向いてない”というように考えるのは止めましょう。“資料の準備不足だったのかもしれない”と、心の中で一回言いましょう。事実を復唱するのです。
それができたらあとはすごく簡単です。“次回は3日前までに会議で聞かれることを予測しておこう”、“同僚や上長に会議で準備しておくことはありますかと聞いておこう”などと、失敗から何を学べばいいかが分かり、対策できますね」
最後は必ず「よかったこと」で書き終える
「ここで大切なのは、失敗したと思ったときに、自分を責めずに事実を事実のままに受け止めるということです。これが難しいと言われているんですけどね。深入りせず、かといって見て見ぬふりをすることが大事です」
自分を責めずに、事実を事実のままに受け止める……。当たり前のことのようでいて、できていないのかもしれない。つい感情に引きずられてくよくよしてしまう。
「冷静になったときに紙に書き出すこともおすすめです。ポジティブに締めくくることが大事です。ネクストアクションにつなげてほしいのです。必ず“よかった”で書き終えていただきたいですね。
まちがった方向にいくと、歪んだ認知になって連鎖してしまうので、それは注意しましょう。うらみつらみを書き出すと増長してしまいますよ!」
うーん、それは怖い。けどやってしまいそう! 主婦の愚痴に果てがないのは、負の連鎖のせいなのかも……。
気分が乗らないときはどうしたらいい?
プライベートがうまく行かないときは、仕事のやる気が出ないことも……そんな時にできることは?
「気分はむらがあります。例えば朝、旦那さんと喧嘩してむしゃくしゃしている時は、スタバでお気に入りのフレーバーを買ってから出社するなどして、主婦からキャリアウーマンモードにシフトチェンジしましょう。
また、午前中に上司でも同僚でもよいのですが、苦手な人と会議になってしまい、うまくしゃべれる自信がないという時。“朝から苦手な人との会議なんて、無理だわ〜”と思って始めると、認知が行動になるので、結果的にうまくいかなくなります。
ナポレオン・ヒル氏は“思考は現実化する”と言っていますが、行動科学では“ABCモデル”で説明できます。
AはAntecedent(先行条件)。行動を起こすきっかけや環境です。
Bは Behavior(行動)。行為や発言、ふるまいのことです。
CはConsequence(結果)。行動によってもたらされた環境の変化です。
“環境”を変えられなくても、“行動”とともに“結果”は変えることができるのです。
“私はキャリアウーマンにチェンジした。この会議は成功させよう”と思ってほしいんですね。認知をかえてほしいのです。
人とは不思議なもので、認知をするとその通りの行動を生み出します。これが行動科学の考え方です」
そういえば、“失敗するかも”と思っていると、本当に失敗してしまうことがある。逆に“絶対に大丈夫”だと思っていると、たいてい大丈夫だったりする。認知が行動を変えて、結果が変わるのは、そういうことなんだ。
「“次の会議は苦手な上司がいるから気分が乗らない”というときは、感情を切り離すことを練習してほしいです。
気分がのらない時は、気分があがるものを選びましょう。お気に入りのチークやアイシャドウを使うのもいいですね。
素敵な女性には、認知転換が上手な人が多いです。素敵な女性は決してくよくよしなかったり、気分がのらなかったりしないわけではなく、そういうときの認知転換が上手なんだと思いますよ。
“モデリング”と言って、憧れの人の行動を真似することもいいですね。
例えば、子育て中なのにキラキラしている憧れの課長の動作やふるまいを真似しましょう。“グレーのジャケットを着る”ところから真似してもいいのです。
ただし、真似をするのは“できそうなこと”にしてください。真似できなくて自己嫌悪になってしまうのであれば、やめておきましょう」
認知が変わると行動が変わって、結果が変わる。そのことで環境を変えられる……。今、変えられない環境の中で何かにもがいている働く主婦は、まずは“認知”を変えることから始めてみてもいいのかもしれない。
※次回は、「働く主婦が自己肯定感を取り戻す方法」についてご紹介します。
構成・文/kufura編集部 人物撮影/横田紋子(小学館)
【参考】