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「しかし」を言い換えるなら?ビジネスシーンでも使える、柔らかい言い方は【オトナ女子の言葉選び#16】

「しかし」は、会話やメールの中で頻出する接続詞です。場面に応じた言い換え表現を覚えておきましょう。

『明日の自信になる教養4 池上 彰 責任編集 思いが伝わる語彙学』(KADOKAWA)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに「しかし」の言い換え表現について教えていただきました。

「しかし」の意味は?

「しかし」の意味は?

しかし」は、前の句・文を受けて、その内容に反する内容を述べる際に使う接続詞です。逆接だけでなく「しかし、今日はいい天気ですね」というような形で、前の話題とは異なる話題に切り替えるときにも用います。

「しかし」を言い換えたほうがいいのはどんなとき?注意点は?

「しかし」を言い換えたほうがいいのはどんなとき?注意点は?

「しかし」は、書き言葉でも話し言葉でも使うことができますが、会話の中で使うと少々硬い印象を与えます。別の言葉に言い換えたほうがいいのは、以下のような場面です。

(1)相手の意見に反論するとき

相手と異なる意見を述べる際に「しかし」を使うと、相手との関係性や口調によっては、相手の意見を頭ごなしに否定したり、強く反発したりしているような印象を与える可能性があります。特に、目上の相手に向かって「しかし」を使って反論する際には注意が必要です。

【こんな使い方に注意!】

上司A「今回はこのプランを採用しようと思う。いいと思わないか?」
部下B「しかし、そのプランにはリスクがあります。再考してください」

(2)メールや手紙の中で、逆接の表現が続くとき

「しかし」は、ビジネスメールの中やプレゼンテーションの中でも使える逆接の接続詞です。「しかし」一辺倒にならぬよう、言い換え表現をいくつか覚えておくといいかもしれません。

【こんな使い方に注意!】

「本日は会議を予定していました。しかし、延期の予定です。しかし、まだ日程は決まっていません」

相手と異なる意見を述べるときの「しかし」の言い換え表現

相手と異なる意見を述べるときの「しかし」の言い換え表現

相手と異なる意見を述べるときに、頭ごなしに否定するのではなく、相手の意見をいったん受け止めることで、話し合いが続けやすくなります。

【お考えはもっともながら】

◆例文:お考えはもっともながら、その計画は一部修正の必要があります。

【それはもっともですが】

◆例文:それはもっともですが、現場の声とは少し異なっています。

【確かにそうですが】

◆例文:確かにそうですが、全てを実行に移すのは難しいと思います。

【一方で、こういう考えもあります】

◆例文:良い案だと思いますが、一方でこういう考えもあります。

日常会話で使える「しかし」の言い換え表現

日常会話で使える「しかし」の言い換え表現

書き言葉でもよく使われている「しかし」を日常会話で使うと、やや硬い印象になります。会話の中で使いやすい口語的な言いかえ表現を紹介します。

【とはいえ】

◆例文:とはいえ、その数値は最新の状況を反映していません。

【しかしながら】

◆例文:しかしながら、今回の失敗を彼女だけの責任にしてはいけないと思います。

【ですが】

◆例文:ですが、中途採用者の受け入れ体制がまだ整っていません。

文章中で使える「逆接の接続詞」

文章中で使える「逆接の接続詞」

ビジネスメールの中で使う逆接の接続詞が「しかし」一辺倒にならないよう、いくつかの言い換え表現を覚えておきましょう。

【しかしながら】

◆例文:商品を受領いたしました。しかしながら、不足の品がありましたので報告申し上げます。

【けれども】

◆例文:彼は入社2年目です。けれども、既に課内で頼られる存在になっています。

【~にも関わらず(~にも拘らず)】

◆例文:これまで何度かお伝えしたにも関わらず、再び同様のことが起こったことは遺憾です。

「反対意見」を相手に伝えるコツ

「反対意見」を相手に伝えるコツ

話し合いの場では、相手と異なる意見を述べなければならない場面もあるでしょう。

相手と率直に議論する関係性ができあがっている場合には、反対意見を交わしながら議論を深めることができるかもしれません。しかし、互いに意見と人を切り離して考えられる相手ばかりではありませんよね。

相手の経験値や関係性によっては、異論・反論の伝え方の工夫が必要です。相手の意見を頭ごなしに否定せず、相手の言葉を受け止める言葉を添えたり、提案、解決の言葉につなげたりすることで、議論が深まりやすくなります。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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