「また」の意味は?
「また」の意味は?“また”(漢字表記:又)は、複数の意味がある言葉です。
【接続詞の「また」の意味】
(1)さらに
◆例文:この商品は手頃だ。また、品質もいい。
【副詞の「また」の意味】
(2)もう一度
◆例文:また同じ失敗をしてしまった。
(3)同様に
◆例文:晴れの日も好きですが、雨の日もまたいいものです。
(4)ほかに/別のとき
※「またの」の形で連体詞と説明する辞書もあります。
◆例文:またの機会をお待ちしております。
他にもいくつか意味がありますが、“また”の意味を深く掘り下げると、その解説で終わってしまうほどの多義語ですので、今回は主要な意味をご紹介しました。
続いて、今回の記事の主旨である、“また”の言い換え表現の話題に移りたいと思います。
どんなときに「また」を言い換える?言い換えの注意点は?
どんなときに「また」を言い換える?言い換えの注意点は?“また”の言い換え表現が必要となるのは、以下のようなシーンです。
(1)「また」が多用されている
“また”は、とても便利な接続詞・副詞です。会話のつなぎや、文章の中で、繰り返し使ってしまう人も少なくないようです。
◆要注意表現:今日は、ありがとうございました。また、おみやげもいただきありがとうございました。また、おもてなしもありがとうございました。またお目にかかれる日を楽しみにしています。
→書き言葉の中で、何度も“また”が使われているので、別の表現に置き換えたほうが良いときもある。
(2)「また」の真意が伝わりにくい
副詞の“また”には、“もう一度”と“別のときに”の意味があります。あいまいな表現を避けた方が良いときには、より意図が伝わりやすい着実な単語を選んだほうがいいこともあるでしょう。
◆要注意表現:また電話いたします。
→“何日の何時ころ”など、具体的な情報が必要な場合もある。
以上のことを踏まえて、“また”の言い換え表現をご紹介します。
接続詞の「また」の言い換え表現
接続詞の「また」の言い換え表現まず、接続詞の“また”(“さらに”の意)の言い換え表現をご紹介します。
【そのうえ】
“それに加えて”の意味を持つ接続詞です。
◆例文:雨が降ってきた。そのうえ雷も鳴り出した。
【さらに】
物事が加わって、重なる様子を表す副詞。
◆例文:彼は英語が堪能だ。さらにドイツ語も話すことができる。
【加えて】
追加して説明することがある際に使います。
◆例文:忘れ物をした。それに加えて遅刻もしてしまった。
【おまけに】
“その上に”“さらに”の意。
◆例文:このパンは、安い。おまけにおいしい。
【しかも】
“なおその上に”の意。前に触れたことにさらに他のことが加わることを表す。
◆例文:そのお店は、雰囲気がいい。しかも、味がいい。
【あまつさえ】
“そのうえ”“おまけに”の意。やや古風な表現で、
◆例文:彼は、悪びれることもなく、あまつさえこちらを責めたててきた。
「再び」の意味の副詞「また」の言い換え
「再び」の意味の副詞「また」の言い換え「また来ます」のように、“再び”の意味で使われる“また”の言い換え表現をご紹介します。
【もう一度】
もう一回の意。
◆例文:もう一度、トライしてみます。
【再び】
“もう一回”の意味。“また”“もう一度”に比べて、やや堅い響きのある言葉です。
◆例文:再びそのチャンスが巡ってくることを待っています。
「他に」の意味の副詞「また」の言い換え表現
「他に」の意味の副詞「また」の言い換え表現「またの機会」のように、“別のとき”の意味で使われる“また”の言い換え表現をご紹介します。
【次回】
“次のとき”の意。
◆例文:今回のような勉強会を次回も開催予定です。
【改めて】
“別の機会に”の意。
◆例文:午後に、改めて電話いたします。
「同様に」の意味の副詞「また」の言い換え
「同様に」の意味の副詞「また」の言い換え「晴れの日はいい。雨の日もまたいい」のように“同様に”の意味の“また”の言い換え表現をご紹介します。
【同様に】
“同じように”の意味。
◆例文:例年、この単元でつまづく生徒がいます。同様に今年もかなりの生徒が苦労しているようです。
【やはり】
“やはり”も“また”と同様に、いくつかの意味がある副詞ですが、“他と同じく”の意味があります。
◆例文:やはり部長もこの件に反対なのですね。
あいまいなニュアンスを誤解なく伝えるコツ
あいまいなニュアンスを誤解なく伝えるコツ「またご飯でも行きましょう」「また電話します」のように、日常のコミュニケーションでは、“また”の曖昧さが重宝することもあります。
“もう一度”なのか“別の機会に”なのか、複数の意味に解釈されることで、不都合が生じることもあります。
その場合には、誤解されにくい別の表現を使ったり、具体的な日時を添えるなどの工夫をして、円滑なコミュニケーションにつなげてほしいと思います。
取材・文/北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。