「返信不要」の意味は？言い換えるときの注意点は？
「返信不要」の意味は？言い換えるときの注意点は？「返信不要です」という表現は「返信をする必要がない」という意味で使われています。ビジネスメールでのコミュニケーションの増加に伴い、急速に広まった表現です。
メールでは、相手とのやりとりを終えるタイミングを見極めるのが難しいケースがあり、必要以上に長く続いてしまうことがあります。顧客対応や営業関係の部署では「相手のメールを最後にしてはいけない」というビジネスマナーを運用している組織もあるようです。
そうした背景もあってか、使用機会が増えていったのが「返信不要です」という表現です。
必要以上にやりとりが長引き、相手に返信の負担をかけることがないよう「ここでいったんやり取りは終わりです」という気遣いで使っている人が多いと思われます。ところが、相手に対する配慮のつもりで使っていても、比較的新しい表現であるために、受け取る側に、突き放したような印象を与えるケースもあるようです。
相手との関係性に応じた言葉遣いができるよう、いくつかの言葉のストックを用意しておきましょう。
「返信不要」をシンプルに言い換えるなら？
「返信不要」をシンプルに言い換えるなら？“返信不要”の言い換え表現には以下のような表現があります。
【［理由を添えて］返信の必要はございません】
語尾の印象を和らげたいときに使う表現です。しばしば文末にカギ括弧をつけて（返信の必要はございません）と添えるケースも見受けられます。
◆例文：さきほど、手元に書類が届きました。ご報告のメールですので、返信の必要はございません。
【お返事は不要です】
漢字を四字続けるのでなく、ひらがなの助詞を織り交ぜることで、
◆例文：退院の連絡ありがとうございます。次に会える日を楽しみにしています。大変な時期だと思いますので、お返事は不要です。ゆっくりお休みください。
「返信不要」をかしこまった場やビジネスシーンで言い換えるなら？
「返信不要」をかしこまった場やビジネスシーンで言い換えるなら？目上の相手に“返信不要”であることを伝えるときには、以下のような言い換え表現があります。
【ご返信には及びません】
相手に返信の手間を取らせたくないときに沿える一言です。返信が不要な理由を添えると印象が柔らかくなります。
◆例文：一言お礼をお伝えしたかっただけですので、ご返信には及びません。今後ともよろしくお願いいたします。
【（本メールには）ご返信いただかなくて結構です】
◆例文：明日の会議で配布予定の資料を送付致します。お時間のある方はお目通しのほどお願いいたします。本メールにはご返信いただかなくて結構です。
【すでに～であれば、ご返信の必要はございません】
返信が不要である理由を一言添えることもあります。
◆さきほどの電話は、ご依頼いただいた書類についてのご連絡でした。すでにお手元に届いているのであれば、ご返信の必要はございません。
「返信不要」であることを誤解なく伝えるには？
「返信不要」であることを誤解なく伝えるには？ビジネスメールで大切なのは、シンプルにわかりやすく伝えることです。
しかし、シンプルさを求めるあまり、相手への配慮や思いやりを削ぎ落してしまうと、受信した相手に違和感を与えてしまうこともあるでしょう。
同じ部署内の同僚や同期など、近い関係性であれば、メールのやりとりの締めくくりに気を遣うことはあまりないかもしれません。一方、やや距離感のある相手や目上の相手に対して返信不要であることを伝える際には、一言理由を添えたり、熟語にひらがなを織り交ぜたり、語尾を変えるなどして印象を柔らかくする工夫をしておきたいものです。
取材・文／北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』（かんき出版）など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』（だいわ文庫）、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』（主婦の友インフォス）。東京大学卒業。
