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「いっぱいいっぱい」を言い換えるなら?忙しさを感じ良く伝えるには?【オトナ女子の言葉選び#4】

「今、いっぱいいっぱいで……」という言い回しがよく使われています。余裕がない状態を表す言葉ですが、“いっぱいいっぱい”を感じ良く伝えるには、どんな言い方があるのでしょうか。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに“いっぱいいっぱい”の言い換え表現について教えていただきました。

「いっぱいいっぱい」の意味は?言い換えたほうがいいときは?

「いっぱいいっぱい」の意味は?言い変えたほうがいいときは?

いっぱいいっぱい”は、限度いっぱいでそれ以上のゆとりがないさま

今抱えている仕事が手いっぱいで、ほかのことをする余力がないとき、心身の状態などが疲れて限界に達しそうなときなどに“いっぱいいっぱい”という言葉で表現することがあります。「キャパ越え」「キャパオーバー」という表現も聞かれます。

互いに気心の知れた間柄なら、“いっぱいいっぱい”の一言で余力や余裕がないことが伝わるかもしれません。とはいえ、ひと言で今の状態を察してもらえるような関係性ばかりではありません。「今、いっぱいいっぱいなんです」と言ったとき、くだけた言葉である分、切迫感が伝わらない可能性もあります。

場合によっては、言い訳がましく響いたり、仕事に対する積極性や真剣味が足りないと受け取られたりするかもしれません。「いっぱいいっぱい」に忙しくなるほど仕事があるという事実を自慢しているように聞こえることもあります。

相手との関係性や状況に応じた言葉を使えるよう、“いっぱいいっぱい”に代わる語彙をいくつかストックしておきましょう。

「いっぱいいっぱい」をカジュアルに、シンプルに言い換えるなら?類語は?

「いっぱいいっぱい」をカジュアルに、シンプルに言い換えるなら?類語は?

自分の許容量が限界に近付いていることをカジュアルに伝える時の表現です。

【余裕がない】

限度がいっぱいになるまでの余白がないこと。仕事量や時間、お金、心身のゆとりが不足してきたときに、広く使われています。

◆例文:今週は余裕がなくて会議の資料作成が手つかずです。

【バタバタしている】

あわただしくて落ち着かない様子を表すことを表すときに使われています。“バタバタ”という一言からいろいろ察してもらえる関係性の中で使われている表現です。

◆例文:ちょっとバタバタしていたので、返信が遅くなりました。

【てんてこまい】

休む暇がなく、ひどく忙しいこと。来客や電話応対、受注など、用事が重なっているときに使います。

◆例文:今日は注文が集中しており、てんてこまいです。

【てんやわんや】

予想外のできごとによって収集がつかず、大勢の人が動き回っている様子のこと。組織やグループのあわただしい雰囲気を伝えるときにも伝えることができます。

◆例文:問い合わせ電話が殺到し、社内がてんやわんやの状態です。

【限界】

これ以上はないというぎりぎりの状態を表します。

◆例文:これまで耐えてきましたが、もう限界です。

かしこまった場やビジネスシーンで「いっぱいいっぱい」を言い換えるなら?

かしこまった場やビジネスシーンで「いっぱいいっぱい」を言い換えるなら?

“いっぱいいっぱい”を硬い言い方にする場合は、以下のような表現があります。

【たてこんでいる】

「たてこむ」は、一時的に複数の用事が重なっていること。恒常的ではなく、一時的に忙しいことを伝えるときに使います。

◆例文:案件がたてこんでおりまして、新規の仕事を引き受けることができません。

【繁忙期】

1年のうちで業務が集中している時期。取引先の人に対して、自社の都合を説明する際に使うことがあります。

◆例文:現在、工場の繁忙期につき、いつもより納期を長めにいただいております。

【切迫した】

追い詰められて、逃げ場のない状態になること。ギリギリの状態を表すときの言葉です。

◆例文:あの部署は、人員不足により切迫した状況になっています。

【切羽詰まった】

物事が差し迫ってどうにもならない状況を表す際に使います。

◆例文:後輩社員が、切羽詰まった様子で相談をしてきた。

「余裕のない状況」を相手にしっかり伝えるには?

「余裕のない状況」を相手にしっかり伝えるには?

日常生活には、忙しい、トラブルを抱えている、余裕がないなど、さまざまな“いっぱいいっぱい”があります。

余裕がないことを伝えるとき“いっぱいいっぱい”“忙しい”“大変”“ギリギリ”などの主観的な表現で伝わる関係性もあるでしょう。

とはいえ、ビジネスシーンでは、忙しくて余裕がないことを強調することで未熟な印象を与える可能性もあります。場面に応じて、主観よりも状況を客観的に説明することで、状況が改善することもあるでしょう。

「いま、私はいっぱいいっぱいで大変なんです」と伝えるだけでなく、何に余裕を削がれているのか、どの程度の時間の猶予がほしいのか、どのようなサポートが必要なのか、具体的な要望や、状況説明や代替案などを添えていくといいでしょう。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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