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「なるほど」を言い換えるなら?失礼にならない相槌は【オトナ女子の言葉選び#10】

「なるほど」という言葉は、相づちを打つときによく使われる言葉です。相づちを打つときの言葉をいくつか覚えておくと、仕事や私生活で役立つかもしれません。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに“なるほど”の言い換え表現について教えていただきました。

「なるほど」の意味は?言い換えるときの注意点は?

「なるほど」の意味は?言い換えるときの注意点は?

なるほど」は、相手の言ったことに対して、納得したり同意したりするときの感嘆詞です。文中で副詞として用いられることもあります。「なるほど」と一語で使ったり「なるほど彼の言う通りでした」などと文章の中で使うこともあります。

本来は、目上の相手に対しても使うことができる言葉ですが、昨今のビジネスマナーでは目上の相手に対して「なるほど」と相づちを打つのが失礼ではないか、という説が聞かれるようになりました。諸説ありますが「相手の意見を上から評価しているように聞こえる」という意見が少しずつ広がっていって“マナー化”されたのではないか、と推測されます。

そうした事情もあってか、近年は「なるほど」を丁寧にするために「なるほどですね」という相づちが使われることもあるようですが「なるほど」の品詞を踏まえると、文法的には誤りです。

相づちが「なるほど」一辺倒になると、少々軽薄な印象を与える可能性もありますので、相づちのバリエーションをいくつか用意しておきましょう。

「なるほど」を日常会話で言い換えるなら?

「なるほど」を日常会話で言い換えるなら?

日常会話における「なるほど」の言い換え表現をご紹介します。

【確かに】

新しいことを知ったり、何か気づきがあったときなどに使います。

◆例文:確かに。言われてみれば、その通りです。

【まさに】

相手の話に納得・同意したときに使います。

◆例文:まさにおっしゃる通りですね。

【そうなんですね】

相手の話に調子を合わせて、相づちを打つ際に使われています。

◆例文:そうなんですね、それは初耳でした。

「なるほど」をかしこまった場やビジネスシーンで言い換えるなら?

「なるほど」をかしこまった場やビジネスシーンで言い換えるなら?

ビジネスシーンでは、話の内容や文脈に合わせて「なるほど」に代わる言葉を選びます。

【おっしゃる通りです】

相手の意見に同意の気持ちを示すときに使います。「おっしゃられる通り」と二重敬語にしないよう留意しましょう。「おっしゃる通りでございます」とも。

◆例文:おっしゃる通りです。ご指摘ありがとうございました。

【その通りでございます】

同意の気持ちを示す表現です。

◆例文:その通りでございます。要点をまとめていただき、ありがとうございます。

【さようですか】

“さよう”は、“そのよう”の意。相手の側の事情を指し示し、うなずくときに使われています。

◆例文:さようですか。それは大変でしたね。

【そんな意見もありましたか】

相手の意見から何か学びや気づきがあったときの言い方です。

◆例文:そんな意見もありましたか。その視点は欠けておりました。

【勉強になります】

自分が知らなかった情報に触れたときに使うことがあります。

◆例文:それは知りませんでした。勉強になります

【目からうろこが落ちる】

相手の話に強く驚いたり、思いもよらないことに気付いたときに使います。

◆例文:目からうろこが落ちました。そんなやり方もあるんですね。

目上の人に「相づち」を打つコツ

目上の人に「相づち」を打つコツ

友人や家族など、対等な立場の相手と話しているときには「うん」「へえ」「そうなんだ」といった相づちを打つことが多いと思いますが、目上の相手の話を聞くときには、もう一段丁寧な「ええ」「はい」などと応答しながら、同意したり得したりしたときには、文脈に合った一言を選びます。

目上の相手の話を聞く際に注意したいのが、相手の話を受けて「すごいですね」「やりますね」などの相づちを多用することです。ほめているつもりでも、軽々しい印象や、相手を上から評価するような印象を与える可能性がありますので、相手との関係性や場面を配慮したほうがいいでしょう。

相づちには語彙力だけではなく、気持ちのこめ方、タイミングなども重要ですが、相手の話に心を傾けて“聞く”ということが大前提です。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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