「アドバイス」の意味は?
「アドバイス」の意味は?言い換えるときの注意点は?“アドバイス”の英語の“advice”を由来としたカタカナ語です。助言、忠告の意味で、相手に自分の考えを伝えて導くこと、役に立つ言葉を添えて助けることを表します。「アドバイスする」という形で動詞的に使われることもあります。
どんな場面で「アドバイス」を言い換える?言い換えの注意点は?
どんな場面で「アドバイス」を言い換える?言い換えの注意点は?“アドバイス”は、さまざまなシーンで使われていますが、用いる際には注意や配慮が必要な場面もあります。
アドバイスの言い換えが想定されるシーンは、いくつかあります。
(1)相手にアドバイスを求めるとき
まず1つめは、相手から具体的な助言を望むとき。相手のアドバイスが欠かせない場面もあると思いますが、自分で調べればわかるような事柄を調べずに「アドバイスをいただけますか?」と依頼するのは避けましょう。
相手の経験や専門的知見をもとに助言をもらうことなのだ、と意識したほうがいいかもしれません。相手の負担を考慮に入れ、シチュエーションによっては、相手が答えにくい漠然とした質問を避けたり、別の表現に置き換えるなどの配慮が必要です。
(2)自分からアドバイスをするとき
自分がアドバイスをする側になった場合は、「1つアドバイスをします」というように、自分が主語で使う場面もあるかもしれません。その際は、自分の考えを押し付ける形を避けるために、別の表現を使ったほうがいい場面もあります。
以上のことを踏まえて、言い換え表現をご紹介します。
相手に「アドバイスを求める」ときに使える言い換え表現
相手に「アドバイスを求める」ときに使える言い換え表現目上の相手に助言や意見を求める際の“アドバイス”の言い換え表現には、以下のような表現があります。
【ご意見をうかがいたいです】
報告や相談の際に、目上の相手の考えを聞く際に使います。「
◆例文:先方にこの内容で打診しようと思うのですが、部長のご意見をうかがいたいです。
【ご指導をお願いします】
教えてほしいことがあるときに使う表現です。
◆例文:この書類の作成は初めてですので、作成の注意点についてご指導をお願いします。
【お知恵を拝借】
相手に相談して、打開策や具体的な方法を教えてもらう際に使います。“拝借”は“借りる”をへりくだっていう言葉です。
◆例文:A社との契約内容について、経験豊かなBさんのお知恵を拝借したいです。
【指導を仰ぐ】
目上の相手に教えや助言などを依頼する際に使います。相手の経験をたてることができる表現です。
◆例文:この分野に造詣が深いCさんに指導を仰ぎたいと思い、お時間を頂いた次第です。
【ご教示ください】
“教示”(読み方:きょうじ)は、
◆「ご教示」例文:書類がそろいましたので、申請後の流れについてご教示ください。
◆「ご教授」例文:最新のマーケティングについてご教授いただきたいと思いご連絡致しました。
【お力添えいただけないでしょうか】
協力して欲しいときに幅広く用いる表現です。アドバイスが欲しいときに使うこともあります。
◆例文:部署での経験が浅く、わからない点が多いので、お力添えいただけないでしょうか。
相手に「アドバイスをする」ときに使える言い換え表現
相手に「アドバイスをする」ときに使える言い換え表現相手に忠告や助言をしたいとき、「私からアドバイスをします」とは言いにくい場面もあるのではないでしょうか。
そんなときには、表現を変えたり、配慮の言葉を添えたりして、相手に与える印象を和らげていきます。
言い換え表現をご紹介します。
【念のため共有します】
“念のため”と前置きをして遠回しに指摘をすることがあります。
◆例文:既に修正済かもしれませんが、1点、気になる表現があったので念のため共有します。
【参考までに】
相手に考え方を押し付けることを避け、考える材料程度にして欲しいときに、“参考までに”と前置きして、助言をすることがあります。
◆例文:参考までに、前年の実績を添付しておきます。
【差し出がましいかもしれませんが】
印象をマイルドにする“クッション言葉”の1つ。お節介かもしれないと前置きをして、相手に助言や忠告、
◆例文:差し出がましいかもしれませんが、この方法だと後からトラブルが生じる可能性があります。
【老婆心ながら】
“老婆心”(読み方:ろうばしん)は、必要以上に世話を焼くこと。目下の相手に助言する際、自分の助言をへりくだって言う表現です。
◆例文:老婆心ながら申し上げると、この報告書の内容を微修正する必要があると思います。
アドバイスをもらったときに、何と言う?お礼を言うときは?
アドバイスをもらったときに、何と言う?お礼を言うときは?アドバイスをもらったときに感謝を示す際には、以下のような表現があります。
- ご教示いただきまして、誠にありがとうございます。
- 助言をいただき、感謝いたします。
- 有益な情報をありがとうございました。
- 課長のおかげでうまくいきそうです。
- 早速実践してみます。
「アドバイス」を介したコミュニケーションのコツ
「アドバイス」を介したコミュニケーションのコツアドバイスをもらう際には、相手の経験やキャリアに敬意を示し、相手の時間を“もらっている”という意識を持つことが大切です。特に、目上の相手に対しては、「アドバイスをください」ではなく「アドバイスをいただけないでしょうか」というように、語尾をやわらかくしたり、上記で紹介したような言い換え表現に置き換えることが必要な場面もあります。
一方、アドバイスをする側になった場合は、押し付けがましい言い方ではなく、“クッション言葉”を用いるなどして、相手に真意が伝わる工夫をしましょう。あくまでも“助言”であって業務命令ではないことを心に留めておきたいものです。
取材・文/北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。