「御の字」の意味と読み方は?
「御の字」の意味と読み方は?“御の字”の読み方は“おんのじ”。「おおいにありがたい」「しめたものだ」という意味です。
尊敬語の“御”という字をつけるほど、大切に扱うべきという意から、感謝したいほどよい結果が出たときに使う言葉です。
もともと江戸時代の遊里語ということもあり、“俗語”(
「御の字」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方
「御の字」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方“御の字”の本来の意味は「おおいにありがたい」。
しかし、平成30年度に文化庁が行った『国語に関する世論調査』では、49.9%が“御の字”の意味として本来の意味とは異なる「一応、納得できる」を選択しています。
以下のような表現をした場合、話者が「とても満足している」のか「一応、納得している」のか、伝わりにくいケースが想定されます。
【要注意例文】
・今回のテストでは、100点満点中65点取れれば、御の字だ。
→「65点取れればありがたい」なのか「65点取れたら一応納得」なのか伝わりにくい。この場合「今回はテスト勉強をしていないので」などの前置きがあると、真意が伝わりやすい。
「御の字」の例文は?
null“御の字”を用いた例文をご紹介します。いずれも「おおいにありがたい」の意です。
・今回の勉強量なら、95点以上とれたら御の字だ。
・その金額で了承を得られたら、御の字だ。
・なかなか買い手のなかった物件をその金額で買い取ってもらえるなら御の字だ。
場合によっては伝わりにくい可能性があるので、以下の言い換え表現も参考にしてください。
「御の字」の言い換え表現は?
null“御の字”と類似の意味を持つ表現をご紹介します。
(1)「万々歳」
“万々歳”(読み方:ばんばんざい)は、“万歳”を強めていう語。めでたく、喜ばしいこと。
【例文】
・彼の実力を踏まえると、その結果は万々歳だ。
(2)「十分すぎる」
期待以上の結果や、実力以上の結果が得られたときなどに用いる表現です。
【例文】
・初回でその点数なら、十分すぎる結果だと思います。
「御の字」の対義語は?
null“御の字”の対の意味を含む言葉をご紹介します。
(1)「不満足」
“不満足”(読み方:ふまんぞく)は、満足しないこと。
【例文】
・今回の試験は、不満足な出来だった。
(2)「不服」
“不服”(読み方:ふふく)は、納得できずに不満に思うこと。
【例文】
・彼女は、その結果を見て不服そうな顔をしていた。
以上、国語講師の吉田裕子さんに“御の字”の本来の意味について解説していただきました。
“御の字”はもともと“遊里語”でしたが、江戸時代中期には“
取材・文/北川和子
【参考】
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。