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「揚げ足を取る」正しい使い方できてますか?本来の意味は?【間違いやすい日本語#31】

「揚げ足を取る」を間違って使っているケースが見受けられます。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに「揚げ足を取る」の意味や使い方について解説していただきました。

「揚げ足を取る」の意味は?

「揚げ足を取る」の意味は?

揚げ足を取る」は、相手の言い間違いや言葉じりをとらえて、責めたり皮肉を言ったり、からかったりすること

語源は、柔道や相撲で、相手が自分に技をかけるためにあげた足をとらえて、倒すこと。そこから転じて、相手のちょっとした言い間違いを責める様子を表すようになりました。

“揚げ足取り”と名詞的に使われることもあります。

以下のように、批判的な文脈で使われます。

・彼は、問題の本質を理解しようとせず、揚げ足を取るようなことばかり言う。

「揚げ足を取る」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

「揚げ足を取る」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

「揚げ足を取る」の注意点は以下の2つです。

(1)「行動」に対しては使わない

「揚げ足を取る」は、言い間違いやちょっとした言葉じりを責めることです。

しかし、過去に行われた文化庁の『国語に関する世論調査』では、31.0%が誤った回答の「失敗ややり損ないを見て責めたりからかったりする」を選択しています。

相手の行動や考え方などについて使うのは、誤りです。

【NG例文】

・会議進行の段取りが悪いと揚げ足を取られた

→発言でなく、行為に対して使うのは誤り。

(2)ポジティブな文脈では使わない

相手の小さな言い間違いを責める「揚げ足を取る」は、正々堂々と批判するやり方とは異なるため、ネガティブな文脈で使われることの多い表現です。

「細かいところによく気づく」「几帳面な」などと同義ではありませんので、ご注意ください。

【NG例文】

・彼は、揚げ足を取るのが得意なので、とても心強いですよ。

「揚げ足を取る」は、ほめ言葉では用いない

「揚げ足を取る」の例文は?

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「揚げ足を取る」を用いた例文をご紹介します。

・彼女は人の揚げ足を取ってばかりいるので、けむたがられる。

・相手の揚げ足を取るような無理な論破はやめよう。

揚げ足を取るような指摘に終始すると、議論は進まない。

・インターネットの匿名サイトでは、著名人の揚げ足を取って楽しむ人もいる。

・会議が脱線してしまうので、つまらないことで揚げ足を取らないでください。

「揚げ足を取る」を言い換えると?類語は?

「揚げ足を取る」を言い換えると?類語は?

「揚げ足を取る」と類似の意味を持つ表現をご紹介します。

(1)「言葉じりをとらえる」

「言葉じり(言葉尻)をとらえる」は、相手の小さな言い間違いにつけこんで攻撃すること。

【例文】

言葉じりをとらえて非難する人がいると、会議が長引く。

(2)「重箱の隅をつつく」

細かいことにまで口うるさく言うことを表すことわざ。類似のことわざに「重箱の隅を楊枝でほじくる」もあります。

【例文】

・質疑応答の時間には、重箱の隅をつつくような発言が飛び交った。

(3)「枝葉末節にこだわる」

「枝葉末節(読み:しようまっせつ)にこだわる」は、物事の本質から外れた、ささいなことにこだわること。

【例文】

枝葉末節にこだわらず、問題の本質を見極めてください。

(4)「あげつらう」(論う)

ささいな点を細かく取り立てて、批判すること。

【例文】

・部下の意見をあげつらうばかりで、前向きな助言をしない上司に不満が募っている。

 

以上、国語講師の吉田裕子さんに「揚げ足を取る」の意味や使い方について解説していただきました。

「揚げ足を取る」はただ単に非難するのではなく、相手の言葉じりをとらえて責めることを表す言葉です。

正しい意味を覚えておきましょう。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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