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正解率28%!「憮然」は不機嫌という意味ではない…本来の意味は?【間違いやすい日本語#15】

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“憮然”という言葉の意味を勘違いしている方がとても多いようです。今回は“憮然”の意味や、使い方の注意点についての解説をお届けします。

解説していただいたのは、『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「憮然」の意味は?

“憮然”という言葉の本来の意味は「1」「2」どちらだと思いますか?

  1. 失望してぼんやりとしている様子
  2. 腹を立てている様子

正解は「1」。“憮然”は、失望して、ぼんやりする様子を表す副詞意外なできごとや思い通りにならない展開でがっかりしたり、落ち込んだりしている様子を表す際に使う言葉です。

しかし「国語に関する世論調査」の正解率は28.1%と低迷しています。

56.7%が「2」の「腹を立てている様子」を選択しており、不機嫌な様子を表す際に使われる場面が多くなっています。

諸説ありますが “ぶすっと” “ぶつぶつ”“ぶうぶう”などの、不機嫌な様子を表す副詞と響きが似ていることから、不機嫌さを連想させるのではないかと推測されます。

ちなみに、平成30年度の調査においては、“憮然”の意味について、「腹を立てている様子」と選択した割合は平成19年度の70.8%から2割減少し、正解率が11%上昇してています。

勘違いして覚えている人が多い反面、再び本来の意味が認識され始めている傾向も見られます。

「憮然」の例文は?

続いて“憮然”を使った例文をご紹介します。

【「憮然」(意味:失望して呆然とした様子)の例文】

・不合格を知った彼は、憮然とした様子で悲しそうだった。

・取引先から急に契約を打ち切られ、憮然とした様子だった。

本来は、「失望して呆然とした様子」を表す言葉ですが、日常会話においては、不機嫌な様子を表す際に「間違いを指摘したところ、憮然とした態度になった」という使い方をしているケースが非常に多くなっています。

「憮然」の使い方の注意点は?

相手が“憮然”という言葉を使っていた場合、どのような意味で使っているのか文脈から推測する必要があります。

また、先述したように“怒った様子”として認識している人が多く、以下のような文脈で使うと、真意が伝わらない可能性があります。

【要注意例文】

・こんな状況だけど、あまり憮然としないでね。

失望している相手を励ます際に使う言葉としては、適切ではない

「憮然」を言い換えると?類語は?

“憮然”の本来の意味と類似の意味を持つ言葉をご紹介します。誤解を避けるためには、以下のような表現を選んだほうが伝わりやすいかもしれません。

(1)「力を落とす」

失望すること、落胆することを意味する慣用句。

【例文】

・期待した結果を得られず、力を落とした

(2)「気落ちする」

がっかりして、気力を失うこと。

【例文】

・彼女が楽しみにしていたイベントが中止になり、気落ちしていないか心配だ。

(3)「ふさぎこむ」

がっかりして、すっかり元気を失うこと。

【例文】

・彼は、プレゼンテーションがうまくいかなかったので、ふさぎこんでいる。

(4)「気が滅入る」

気力を失い、ふさぎこむこと。

【例文】

・あの時は、悲しいことが重なってすっかり気が滅入っていた。

(5)「意気消沈」

“意気消沈”(読み方:いきしょうちん)は、元気がなくなり、沈み込むこと。

【例文】

・社長は、期待の若手社員が退社の意志を示してから、意気消沈しています。

 

以上、今回は“憮然”の言葉の意味や使い方の注意点をご紹介しました。

“がっかり”の意味で使っても“ぶすっと”と解釈される可能性のある言葉です。使い方に注意して、コミュニケーションの齟齬がないように気を付けたいですね。

 

取材・文/北川和子

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【参考】

平成 30 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

プロフィール

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)。東京大学卒業。

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