「訴求力」の意味とは?
「訴求力」の意味とは?“訴求力(そきゅうりょく)”は、宣伝や広告を通じて、消費者の「買いたい」「利用したい」という思いを引き出す力のこと。
“訴求”は宣伝・広告で買ってもらえるように消費者にうったえかけること。その働きや勢いを示す“力”をつけて“訴求力”という形で使われています。
「訴求力が高い」「訴求力が低い」というように、消費者に効果的に働きかける程度を示す際に用います。
「訴求力」はどんな場面で使う?
「訴求力」はどんな場面で使う?“訴求力”は、商品をより多く売るためのための重要なキーワードとなっており、宣伝・広告・商品企画などの現場で頻出する言葉です。
商品の魅せ方やPR方法、ターゲットとする購買層などについて議論する際に使われています。
想定される広告の受け手(ターゲット)を“訴求対象(そきゅうたいしょう)”、消費者に訴えかける影響力をいう“訴求効果”、アピールポイントを示す“訴求ポイント”といった言葉も併せて使われています。
「訴求力」の使い方の注意点は?
「訴求力」の使い方の注意点は?“訴求”の使い方の注意点は、以下の2つです。
(1)漢字の変換に注意
“訴求(そきゅう)”と同じ読み方の言葉に“遡求(さかのぼって追及すること)”“遡及(過去にさかのぼること)”といった言葉があります。
漢字変換の際には注意しましょう。
(2)基本的には広告・宣伝分野の用語
しばしば、自己PRや履歴書の内容を評する際に「訴求力が高い」という表現が使われることがあります。その場合、「印象深い」「アピール力がある」という意味で使われているようですが、“訴求力”は基本的に広告や宣伝の現場で使われる言葉です。そうした使い方に違和感を覚える人もいるかもしれません。
「訴求力」の例文は?
「訴求力」の例文は?“訴求力”を用いた例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・この商品が売れたのは、広告の訴求力が高かったからだ。
・訴求力の高い製品づくりを今後の目標にしましょう。
・訴求力を高めるために、広告内容をリニューアルしたいと考えています。
・内容はわかりやすいのですが、訴求力という点ではやや物足りないように感じました。
「訴求力」を言い換えると?関連語や類語は?
「訴求力」を言い換えると?関連語や類語は?“訴求力”と類似した意味を持つ言葉をご紹介します。
(1)「アピール力」
“アピール”には複数の意味がありますが、“人々の関心をひきつける”という意味もあります。
【例文】
・アピール力の高い営業方法を見出した。
(2)「セールスポイント」
“セールスポイント”は、自社の製品を売り込む際に顧客に対して強調する長所。“アピールポイント”という表現もあります。いずれも、和製英語です。
【例文】
・この商品のセールスポイントは、耐久性とデザイン性を両立している点です。
・新商品のアピールポイントを強調して、訴求力を高めたい。
(3)「PR力」
“PR”は、企業などが商品・施策などを広く知ってもらい、理解を高めるための活動。“PR力”は、広く知ってもらうための力を表す際に使います。
【例文】
・A社、B社ともに商品力は高いのですが、PR力には歴然とした差があります。
(4)「シズル感」
以上、国語講師の吉田裕子さんに“訴求力”という言葉について解説していただきました。
宣伝や広告の現場では、定番の表現なので使い方を覚えておきたいですね。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。