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「シナジー」の意味と使い方をおさらい!よくあるNG例も解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#75】

“シナジー”という言葉は、どのような場面で使われているのでしょうか。今回は“シナジー”の意味や使い方について解説していきます。

“シナジー”について解説していただいたのは、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「シナジー」の意味とは?

「シナジー」の意味とは?

まず最初に『デジタル大辞泉』(小学館)、『日本大百科全書』(小学館)に掲載されている“シナジー”の意味をご紹介します。

<デジタル大辞泉>
1 筋肉などの共動作用。または、薬品などの相乗作用。
2 経営戦略で、各部門の相乗作用を活用した効果として利益を生みだすこと。
<日本大百科全書>
元来は、全体的効果に寄与する共同・協力・合成の作用(たとえば1+1→3のようになる作用)をさす一般語。1960年代から経営学用語となり、特定生産資源の多面的利用によるシナジー効果の追求が、経営戦略について問題にされるようになった

ビジネスシーンでは「シナジー」はどんな意味で使われている?

ビジネスシーンでは「シナジー」はどんな意味で使われている?

“シナジー”は、経営戦略において、事業や経営資源を結びつけることで生まれる相乗効果の意味で使われています。

経営資源とは、企業、設備、技術、人材、情報など。こうしたものを、組み合わせることで、1つ1つが本来持っていた価値の合計よりも大きな価値が生まれるさまを指して使います。

1+1が2以上になるような相乗効果を“シナジー効果”という言葉で表すこともあります。

「シナジー」はどんなシーンで使う?

「シナジー」はどんなシーンで使う?

“シナジー”という言葉は、異なる経営資源を結びつけることで得られる相乗効果について論ずるときに使われています。

企業のホームページやプレスリリースなどを通じて、統合や協働について言及するときにも使われる言葉です。

「シナジー」の使い方の注意点は? よく見かける間違った使い方

「シナジー」の使い方の注意点は? よく見かける間違った使い方

“シナジー”の使い方の注意点は、以下の2点です。

(1)「絆」や「結びつき」と同義ではない

“シナジー”は、結びつくことで相乗効果が生まれるさまを表す語。単に“絆”や“結びつき”と同義ではありません。

【NG例文】

・当社とA社は、強いシナジーで結ばれています。

→シナジーは、結びつきの強さを表す言葉ではない。この場合には、“絆”“結びつき”といった言葉を使う。

(2)「作用」「影響」と同義ではない

シナジーは、2つの経営資源を組み合わせることで生まれる効果を表す語です。ある事柄が与える影響のことを表す言葉ではありません。

【要注意例文】

・当社には円安のシナジーはなかった。

「シナジー」の例文は?

「シナジー」の例文は?

“シナジー”の例文を通じて、使い方をイメージしていきましょう。

・B社との統合における最大のシナジー効果はコストの削減だ。

・流通に強みを持つA社との協業によってシナジー効果が期待できる。

・御社の技術と当社の生産設備を活用することで、素晴らしいシナジーが期待できます。

・このシナジーはA部とB部の積極的な協力によって初めて実現できます。

「シナジー」の類語・関連語は?

「シナジー」の類語・関連語は?

続いて“シナジー”の類語や関連語をご紹介します。

(1)「相乗効果」

複数の要因が重なって、個々が持つ和以上のものが生まれること。

【例文】

・M&Aによる相乗効果が大きな狙いだ。

(2)「共創」

国語辞典に掲載されている言葉ではありませんが、近年、企業のホームページやカタログなどで、“共創”という言葉がよく使われています。相互に影響し合う者同士が連携して新たな価値を作り上げていくことを意味するケースが多いようです。類似の意味で“共奏”といった言葉もしばしば見受けられます。

【例文】

・パートナーとの共創により、新たな価値を生み出したい。

「シナジー」の対義語「アナジー」とは?

「シナジー」の対義語「アナジー」とは?

シナジーの対義語には“アナジー”と言う言葉があり、経営上の相互マイナス作用のことを意味します。異なる経営資源を活用しようとすることで、かえってマイナス効果が生まれてしまうことを指します。

【例文】

A社とB社の統合後の社員の士気の低下は、アナジー効果と認めざるを得ない。

 

今回は、国語講師の吉田裕子さんに“シナジー”について解説していただきました。

しばしば耳にする言葉ですので、使い方を覚えておきましょう。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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