「揶揄」の意味とは?
null“揶揄”の読み方は“やゆ”。意味は“からかうこと”です。
“からかう”は、冷やかしたりして相手を困らせておもしろがるという意味ですが、“揶揄”はより明確な悪意や皮肉を連想させる言葉です。
「揶揄」はどんなときに使われている?
nullビジネスシーンにおいて“揶揄”という言葉は、第三者に対する嫌味やからかいの言動を非難するときに使われています。近年は、性別・人種・国籍・宗教・容姿などを笑いの対象にすることに対し、非常に厳しい眼差しが向けられています。立場が異なる相手、少数者を悪意をもって、もしくは無神経にからかうような言動を“揶揄”と呼び非難することもあります。
“揶揄”は主に書き言葉で使われる言葉です。日常会話では“皮肉”“からかい”“悪口”“侮辱”など、別の言い方に置き換える場面のほうが多いかもしれません。
ちなみに、親しい仲間内の軽い冗談に対しては、“揶揄”という言葉を使うことはほとんどありません。
【例文】
・たとえ冗談であっても人の容姿を揶揄するような発言は、到底受け入れることができません。
「揶揄」の使い方の注意点は?
null“揶揄”は、書き言葉で使われることが多い言葉ですが、難読漢字の熟語なので受け手が読み取ることができない可能性もあります。そのため、読み方を併記したり、ルビを振るなどの対応をしているケースも見受けられます。
また、揶揄の“揄”と、比喩の“喩”を混同し、表記を間違えているケースもありますので、ご注意ください。
「揶揄」の例文は?
null“揶揄”の例文をご紹介します。
・飲み会の場で同僚を揶揄するような言動は慎むべきだ。
・外見を揶揄するような表現は今の時代、許されません。
・会議では他社を揶揄する発言が見られた。
・上司に同僚を揶揄されて残念に思った。
・まじめな発言する社員を揶揄するようなことはやめてください。
「揶揄」を言い換えると?類語は?
null続いて“揶揄”の言い換え表現や類語をご紹介します。
(1)「嘲笑」
“嘲笑”はあざわらうこと。社会からの冷ややかなリアクションを指して使われることもあります。
【例文】
・時代錯誤なプロモーション方法は、世間の嘲笑を買っている。
(2)「愚弄」
“愚弄”は、人をあなどりばかにすること。ビジネスシーンではあまり使われていませんが、まれに相手を強く非難するときに使うことがあります。
【例文】
・今回の一連の対応は、弊社を愚弄するものと言わざるを得ません。
(3)「皮肉」
“皮肉”は、相手の欠点・弱点などを遠回しに非難したりからかったりする言葉。
【例文】
・彼の発言は若干皮肉が混じっていたようです。
(4)「当て擦り」(あてこすり)
あてつけがましく非難すること。皮肉を言うこと。
【例文】
・仕入先を切り替えた件で、A社の担当者に当て擦りを言われました。
(5)「風刺」
何かほかのものに例えるなどして、遠まわしに批判すること。文章や絵を通じて社会や特定の人物の弱点・欠陥を“風刺”という形で表現することがあります。
【例文】
・今日の社会を痛烈に風刺した作品ですね。
今回は、吉田裕子さんに“揶揄(やゆ)”の使い方を解説して頂きました。
“揶揄”や“いじり”に対して、社会の眼差しは厳しくなっています。今後も折に触れて登場するキーワードだと思いますので意味を覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。