「ブラッシュアップ」の意味とは?
nullまず最初に、国語辞典に掲載されている“ブラッシュアップ”の意味をご紹介します。
『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)みがき上げること。学問などの再勉強や鈍った腕や技のみがき直し。
また、一定のレベルに達した状態からさらにみがきをかけること。
「留学で英語をブラッシュアップする」
ビジネス用語として主に使われるのは?
ビジネスシーンにおいては、国語辞典の「一定のレベルに達した状態からさらに磨きをかけること」という意味で使われています。
資料制作やスキル向上に対して、使います。
ちなみに、英語の“brush up”は、(忘れかけている知識・技能などを)“磨きなおす”
「ブラッシュアップ」はどんなときに使うといい?
nullビジネスシーンにおいては、例えば以下のような場面で使われています。
・研修や勉強を通じてスキルを磨くとき
・資料や制作物の完成度を高めるとき
私生活シーンではどんなときに使う?
私生活においても、習い事やトレーニングを通じて特定のスキルを磨くことを指して“ブラッシュアップ”という言葉を使うことがあります。
「ブラッシュアップ」の注意点は?よくある間違い例は?
null先述したように“ブラッシュアップ”は“
【NG例文】
・全くの初心者ですが、スペイン語のブラッシュアップによって、仕事の幅を広げていきたいと思います。
→まだ身に着けていないスキルに対して“ブラッシュアップ”は使わない。
「ブラッシュアップ」は英語の「brush up」とどう違う?
英語の“brush up”は“(忘れていた語学・スキルなどを)磨き直す”という意味を持つ言葉。一方で、日本語の“ブラッシュアップ”は英語の“improve”(改良する)、“refine”(上達させる)という単語に近くなっています。
「ブラッシュアップ」の例文は?
null“ブラッシュアップ”を使った例文を通じて、使い方をイメージしましょう。
・英語学習は大学受験以来ですが、毎日少しずつ英語に触れて語学力をブラッシュアップしていきたいと思います。
・語学力をブラッシュアップして、キャリアアップを目指したい。
・企画案をブラッシュアップして、より完成度を高めましょう。
・プレゼン資料を全体的にブラッシュアップしたことで、伝わりやすくなりました。
「ブラッシュアップ」の類語・関連語は?「スキルアップ」との違いは?
null“ブラッシュアップ”の関連語や類語をご紹介します。“ブラッシュアップ”の意味の違いにも着目してみましょう。
(1)「スキルアップ」
“スキルアップ”は訓練や学習、資格取得によって“腕前・技能・仕事の能力を向上させる”の意。もともとあるスキルに“磨きをかける”
【例文】
・新たな資格を取得するなど、
(2)「洗練」
物を洗ったり練ったりして、仕上げるように、磨きをかけてよりあかぬけたものにすること。
【例文】
・画像を差し替えたことで、より洗練されたデザインになりましたね。
(3)「推敲」
“推敲”は、文章の字句、表現をよりよくするために書き直したり、練り直したりすること。
【例文】
・推敲を重ねて、ようやく研修課題の論文が完成しました。
(4)「磨きをかける」
スキル、文章、規格書、書類全般などをよりよくすること。“ブラッシュアップ”と同様に使います。
【例文】
・彼のプレゼンスキルは、最近、ますます磨きがかかっていますね。
(5)「カイゼン」
“カイゼン”とカタカナ表記をすると、効率を高め、ムダを省く生産方式の意になります。日本の製造業から生まれた言葉で海外の製造現場でも“kaizen”が使われている現場があります。
【例文】
・海外の工場にカイゼンを導入したことで、生産ロスが減少した。
以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに“ブラッシュアップ”の意味や使い方を解説していただきました。
ただ単に”スキルを身に着ける”という意味ではなく、“もともとある程度身についているスキル”に対して使うことの多い言葉ですので、使い方を覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。