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「ご用命賜る」「ご用命いただく」どちらが正解?意味と使い方を解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#71】

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“ご用命”は、どのような立場の人が使う言葉なのでしょうか。今回は“ご用命”という言葉の意味や使い方をお届けします。

“ご用命”について解説していただいたのは、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「ご用命」の意味は?

用命”の意味は、用事を言いつけること、注文や依頼をすること

多くの場合、尊敬の接頭語“ご”をつけた“ご用命”という形で使われます。注文や依頼を受ける側が、”ご用命をお待ちしております”などと使うからです。

名詞としても使われるほか、「ご用命くださる」「ご用命いただく」「ご用命賜る(たまわる)」というように、動詞の形でも使われています。

「ご用命」はどんなシーンで使う?

“ご用命”は、注文・依頼を受ける立場の人が使う言葉です。

ビジネスシーンにおいては、以下のような場面で使われています。

(1)営業活動において

顧客からの依頼や注文を待ち望んでいることを伝える際に“ご用命”を使うことがあります。これから顧客になってもらいたい見込み客や潜在顧客に訴えかけるときにも使われます。

【例文】

・なんなりとご用命ください。

・私どもにご用命ください。

(2)顧客からの注文・依頼に対して感謝をするとき

得意先から依頼を受けたときに感謝の意を示す際にも使われています。日頃の感謝を伝えるときにも使うことがあります。

【例文】

・この度は、ご用命いただきありがとうございました。

・いつもご用命を賜り、ありがとうございます。

(3)注文・依頼に言及するとき

相手からの依頼について確認したり言及したりするときに使います。

【例文】

ご用命いただいたサンプルをお持ち致しました。

「ご用命」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方

“ご用命”の使い方の注意点は以下の2つです。

(1)依頼する側は「ご用命する」とは言わない

“ご用命”は、仕入先が得意先に対して使う言葉です。依頼をする側が「ご用命します」という言い方をすることはほとんどありません。

【要注意例文】

・御社にご用命したいと考えています。

→“ご用命”は依頼する立場の人が使うことはない。例文の場合は“ご依頼”“お願い”など。

(2)「ご用命を賜る」「ご用命をいただく」どちらが正解?

結論から言うと「ご用命を賜りまして、ありがとうございます」「ご用命をいただき、ありがとうございます」は、いずれも正解。

”賜る””いただく”どちらも謙譲語で、「私(ども)が注文をもらう」という文です。“くださる”という尊敬語を用いるケースも見受けられます。

また、「ご用命を賜る(いただく)」のように「を」を入れる形も、「ご用命賜る(いただく)」のように「を」のない動詞の形もどちらも使われています。

「ご用命」と「ご注文」の違いは?

“用命”と“注文”にはいずれも「依頼する」の意味がありますが、意味は少々異なります。

“注文”は製造・配達などを依頼すること。品質・数量・価格が具体的に決まっている場合に使われるのが一般的です。

一方で、“ご用命”は用事を言いつけることを指します。商品を頼むだけでなく、用事を頼んだり、相談をしたりすることに対しても使われています。

「ご用命」の例文は?

“ご用命”の例文を通じて、使い方をイメージしていきましょう。

ご用命がありましたら何なりとお申し付けください。

・当社にできることがありましたらぜひご用命ください。

ご用命を賜りまして誠にありがとうございます。

・いつも当社にご用命いただきありがとうございます。

「ご用命」の類語や言い換え表現は?

“ご用命”の類語や言い換え表現をご紹介します。

(1)「ご依頼」

要件を人に頼むこと。あらゆる場面で使われており、依頼する側も依頼を受ける側も使うことができる言葉です。

【例文】

ご依頼いただき、ありがとうございます。

ご依頼申し上げたいことがあります。

(2)「ご要望」

求め強く望むこと。依頼だけでなく、そうあってほしいという期待を伝えるときにも使われています。

【例文】

ご要望に添うことができるよう、努力致します。

(3)「ご所望」

“何か”が欲しいと願うこと。具体的な希望や注文に対して使います。

【例文】

ご所望の品をお持ち致しました。

(4)「お申し付けください」

“申し付ける”は、立場が上の人が命令をすること。営業先やお客様に対して使われています。接客の現場でもよく使われる言葉です。

【例文】

・何かございましたら、遠慮なくお申し付けください

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“ご用命”の意味や使い方についてうかがいました。

得意先に対してさまざまな場面で使うことができるので、使い方を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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