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「キャパシティ」の意味と使い方をおさらい!例文も解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#69】

“キャパシティ”という言葉は、ビジネスシーンで頻繁に使われる言葉です。今回は“キャパシティ”の言葉の意味や使い方について掘り下げていきます。

解説していただいたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「キャパシティ」の意味とは?

「キャパシティ」の意味とは?

まず最初に国語辞典に掲載されている“キャパシティ”の意味をご紹介します。

<日本国語大辞典(小学館)>
〔名〕{英}capacity キャパシチー 受容力。収容力。また、物事を受け入れて処理する力。容量。

英語の“capacity”と同様に、日本語の“キャパシティ”も収容能力できる能力”という意味を持っています。

国語辞典には掲載されていませんが、くだけた日常会話では“キャパ”と略して使う場面も見受けられます。

ビジネスシーンではどんなときに使われている?例文は?

ビジネスシーンではどんなときに使われている?例文は?

ビジネスの現場では、“キャパシティ”は以下のような場面で使われています。例文とともにご覧ください。

(1)「収容能力・容量」について言及するとき

建物や会場などが収容できる人数、コンピューターシステムが保存できる容量などを指して使います。

【例文】

・感染症対策のため、会場のキャパシティを制限しております。

(2) 「生産力」「能力」について

組織や個人の仕事の処理能力やスピードのことを指して使うこともあります。

【例文】

・この仕事は、私のキャパシティを超えています。

・現在の人員ではその業務はキャパシティが足りず請負えません。

・当社の工場のキャパシティを上回る注文が入っています。

(3)仕事を受けられる余裕を確認するとき

本来の“許容範囲”という意味から派生して、現在抱えている仕事を踏まえて「今、どのくらいの余裕があるのか」ということを確認するために“キャパシティ”という言葉を使うことがあります。部下や後輩に仕事を依頼する際にもよく使われる言葉です。

【例文】

・部下のキャパシティを把握しておくことは上司の仕事のひとつだ。

・(話し言葉で)新しい仕事を依頼したいんだけど、今のキャパシティはどう?

(4)(「キャパオーバー」という形で)余裕がないとき

くだけた日常会話では、余裕がない状態を“キャパオーバー”という和製英語で表すこともあります。

【例文】

・部下がキャパオーバーになっていないか注意して仕事を割り振るべきだ。

・育児と仕事の両立で、キャパオーバーになったら相談してください。

「キャパシティ」の使い方の注意点は?よくある間違った使い方は?

「キャパシティ」の使い方の注意点は?よくある間違った使い方は?

“キャパシティ”は本来、収容人数や受容力という意味を持つ言葉ですが、人格的な器の大きさを形容するために使われるケースが見受けられます。“器”“度量”と同義ではありませんので、注意が必要です。

【要注意表現】

・私には彼女を許せるほどのキャパシティはない。

・彼は、人の上に立つ者として、大きなキャパシティを備えている。

→仕事の能力ではなく、人格について形容する場合には、“度量”“器量”“器”などの言葉を使ったほうがよい。

「キャパシティ」の類語・関連語は?

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続いて、“キャパシティ”の類語や関連語をご紹介します。

(1)「許容範囲」

「ここまではよい」と認めて受け入れられる範囲のこと。ビジネスシーンでは、受けることができる仕事の質・量、許すことができる度合いなどを指して使うことがあります。

【例文】

・これまで可能な限りご要望に応えてきたつもりですが、今回の件は許容範囲を超えています。

(2)「収容能力」

一定の場所におさめることができる人の数や、物の容量のこと。

【例文】

・ その会場の収容能力も加味して判断しなければならない。

(3)「力量」

人の能力の大きさの度合いのこと。“キャパシティ”は、仕事の量や余裕を含めた状況確認のために使われていますが、“力量”は能力の程度を表す言葉です。

【例文】

・管理職としての力量が問われる課題に直面している。

(4)「リソース」

組織として割くことができる時間・仕事の容量を“リソース”という言い方で使うことがあります。

【例文】

・今の人的リソースを考えると、新規受託は現実的ではない。

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“キャパシティ”という言葉について解説していただきました。

“キャパシティ”は、幅広い場面で使われている言葉なので、ぜひ使い方を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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