「予定調和」の意味とは?
null本来、“予定調和”は哲学用語。簡単に説明すると、神があらかじめ定めていた調和によって世界の秩序が整っているという原理を表します。
国語辞典の中には、
つまり、一時期イレギュラーなことが起こっても、
ビジネスシーンでは「予定調和」はどんなときに使うといい?
nullビジネスシーンにおいて、新鮮味に欠ける展開を“予定調和”という言葉で表すことがあります。
会議やプレゼンテーションの進行、社内人事などにおいて、
私生活においては、映画・ドラマなどのストーリーの感想を述べるときに、型にはまった予想通りの展開を“予定調和”という言葉で形容することもあるでしょう。
「予定調和」の使い方の注意点は?気を付けたい表現は?
null“予定調和”という言葉に、物事が予定通りに一件落着するようなイメージを持っている人が見受けられます。現代の日本語では、“予定調和”はあまり良い意味で使われることはないので、以下のような使い方には注意が必要です。
【要注意例文】
・今日の会議が予定調和で終わって、安心したんじゃないですか?
→皮肉や批判の気持ちをこめて使われることが多い言葉なので、ポジティブな意味で使った場合、本意が伝わらない可能性がある。
「予定調和」の例文は?
null“予定調和”の例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・会議は予定調和のうちに終わった。
・予定調和の話し合いの流れにうんざりとした。
・その映画は予定調和的な展開で想像より面白くなかった。
「予定調和」を言い換えると?類語は?
null先述したように“予定調和”は複雑な哲学用語であるため、同義語はありませんが、近い言葉をあげるとしたら、“お決まり” “想定内” 和製英語の“ノーサプライズ”といった言葉があげられます。
「予定調和」の対義語は?
null日本語には“予定調和”と完全に対の関係にある言葉はありませんが、対の要素が含まれている言葉を紹介します。
(1)「想定外」
思い描いていなかった状況となったときに使う言葉です。
【例文】
・今回のトラブルは想定外だった。
(2)「サプライズ」
“サプライズ”は、驚き、意外なこと。良くも悪くも予想していなかった事態が起こったときに使う言葉です。
【例文】
・業績が停滞する今、サプライズ人事が期待されている。
(3)「番狂わせ」
予想外のできごとで物事が順序通りに進まなくなること。予定調和では済まなかったときに使うことがあります。
【例文】
・彼がリーダーに抜擢されたのは、大きな番狂わせだった。
(4)「奇手を放つ」
人が予想していない奇抜な手段や方法を実行すること。予定調和を崩すときの手段となることも。
【例文】
・業績の回復のためにA社は奇手を放った。
(5)「波乱含み」
大きな変化や事件が起きそうな様子であること。
【例文】
・大手の決算が続々と発表され、波乱含みの展開となった。
今回は国語講師の吉田裕子さんに“予定調和”の意味や使い方を解説していただきました。
“型通り”“いつも通り”の展開について、少々皮肉をこめて使うことの多い言葉です。プライベートの会話でもしばしば登場する言葉だと思いますので、覚えておきましょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。