「小職」の意味とは?どんなときに使う?目上の相手にも使える?
null“小職”は、官職についている人が自分のことを謙遜して言う語。
“官職”とは、国の機関において一定の職務と責任を持った公務員がつく地位のことです。
つまり、厳密にいうと、“小職”とはある程度の地位についた国家公務員が自分をへりくだって使う言葉なのですが、現在ではそれ以外の公務員の方が使っているケースも見受けられます。
目上の相手にも使うことができます。主に書き言葉で使われる言葉です。
「小職」は女性も使える?
null一昔前には国家公務員に占める女性の割合が今よりも少なかったこと、男性の一人称“小生”と語感が似ていることから、“小職”という言葉に男性的なイメージが伴うようです。
しかし、“小職”は男女ともに使うことができる言葉です。
「小職」は私生活でも使う?
null“小職”は職務中に使用する言葉です。私生活ではメールでも会話でも使う機会はありません。
「小職」の注意点は?会社員は使わない?
null一般企業に勤める人は“私”“僕”の代わりに“小職”を使うことはありません。
男性が自分をへりくだっていう“小生”と“小職”を混同しやすいようですので、ご注意ください。
「小職」の例文は?
null“小職”の例文をご紹介します。
・小職までご連絡をお願いします。
・小職が打ち合わせに伺います。
・ご記入いただいた書類は小職までお送りください。
「小職」を言い換えると?
null続いて“小職”の言い換え表現をご紹介します。
“小職”は官職につく人が使う一人称であるため、使う人が限定されています。同等の意味を持った言葉はありませんが、類似の意味を持っている言葉は以下のようなものがあります。
(1)「当方」
“こちら”“自分の方”のこと。へりくだった言葉ではありませんが、“私たち”“私”の代わりに使われることがあります。
【例文】
・不明点がございましたら当方までご連絡ください。
(2)「私共」
“私共”(わたくしども)の“共”(ども)は、へりくだった気持ちを表す言葉。“手前共”(手前ども)などの言い方もあります。
【例文】
・私共にご依頼頂ければ、問題点の解決をサポートできると思います。
(3)「当職」
“この職業”“この職務”のこと。へりくだった表現ではありません。一般企業や公務員の人が使うことはほとんどありませんが、特定の資格が必要な“士業”と呼ばれるような職種においては自分のことを指す言葉として“当職”が使われることもあります。
【例文】
・書類は当職までご提出ください
(4)「下名」
自分のことをへりくだっていう語。目上の相手へのメールなどの文章の中で、一人称の“私”を使うのに抵抗があるときに“下名”を使うこともあります。とはいえ、現在はあまり使われていない言葉ですので、相手に意味が伝わらないこともあるかもしれません。
【例文】
・何かございましたら下名までご連絡のほどお願い申し上げます。
今回は“小職”の使い方について、国語講師の吉田裕子さんに解説して頂きました。
日本語には自分のことを謙遜して言う言葉がいくつもありますが、“小職”という言葉があることも覚えておいてくださいね。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。