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「敬語の使い方のコツ」を知って、言葉遣いをブラッシュアップ!【「なんだか品がいい」と言われる女性のビジネスマナー#13】

皆さんは、敬語の使い方に自信がありますか? ある程度経験を積んだ社員でもビジネス敬語を構成する“尊敬語”“謙譲語”“丁寧語”を完ぺきに使いこなすのは難しいものです。今回は、ビジネスシーンにおける“共通言語”ともいえる、ビジネス敬語のブラッシュアップ方法について解説します。

今回、ビジネス敬語のブラッシュアップ方法について解説頂いたのは、『働き方のセブンマナー』(講談社)、『新しいビジネスマナーの基本』(高橋書店)などの著書を持ち、ライフスタイリストとして多方面で活躍されている北條久美子さんです。

ビジネスシーンでの敬語はなぜ大切?

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ビジネスシーンでは、様々な年代の人たちが共に仕事をしています。

様々な年齢や立場の人たちのコミュニケーションを円滑にする共通言語が、敬語です。

大切な相手には敬語を使って話すことで相手を尊重している姿勢が伝わり、コミュニケーションを円滑に進めることにつながります。逆に、友達と話すときのような“タメ口”を使って話した場合、礼を欠いた馴れ馴れしい印象を与え、相手を不快な気持ちにさせる場合もあるでしょう。

お互い気持ちよく仕事を進めるために、言葉遣いに意識を向けることが大切です。

「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の違いは?

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敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があります。

ご存じの方も多いかもしれませんが、おさらいも兼ねて、それぞれの特性を知っておきましょう。

尊敬語

主語(話の相手や、第三者)を高めることで敬意を示す。相手が主語で、相手がすることを表すときに使う。

謙譲語

主語(自分や自分の所属する組織)を低める、もしくは、目的語を高めることで聞き手への敬意を示す。自分が主語で相手に対しての自分の動作を表すときに使う。

丁寧語

相手に対して丁寧に述べる言葉。「です」「ます」など。

言葉遣いをブラッシュアップするコツ!

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日本語が母国語であっても、習練を要するビジネス敬語。特に若手の社員から聞かれるのが、「謙譲語と尊敬語がうまく使い分けられない」という悩みです。

そこで一つ、覚えておくと役立つのが「自分(自社)が主語の場合は謙譲語、相手(相手の会社)が主語の場合は尊敬語」「動いている人、動く人が主語」というルールです。

また、敬語の使い方で特に苦労する人が多いのが、元の動詞と形を変えて変化する尊敬語・謙譲語の使い方です。

例えば”読む”という動詞は“お読みになる”“読まれる”という形で尊敬語になりますが、中には不規則に変化する動詞もあります。

よく使う動詞ほど不規則に変化するので、重点的に覚えておくといいでしょう。

【よく使う敬語の変換例】

【動詞】 【尊敬語】 【謙譲語】
する なさる・される いたす
言う おっしゃる 申す
見る ご覧になる 拝見する
聞く お聞きになる 拝聴する・うかがう
いる いらっしゃる おる
行く いらっしゃる・おいでになる 参る・うかがう
あげる 賜る 差し上げる
食べる 召し上がる 頂く・頂戴する

ビジネスシーンでよくある「間違い敬語」

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続いて、間違いやすい敬語をチェックしていきましょう。

(1)二重敬語

“召し上がる”一言で尊敬語となるにもかかわらず、“お召し上がりになる”という風に”二重敬語“にしてしまうと誤った使い方がよく聞かれます。

・お召し上がりになる(×)/召し上がる(〇)

・こちらにおかけになられて下さい(×)/こちらにおかけになって下さい(〇)

(2)謙譲語と尊敬語の勘違い

続いて、謙譲語と尊敬語を混同している例です。

・▲▲様でございますね(×)/▲▲様でいらっしゃいますね(〇)

・部長が申されたように…(×)/部長がおっしゃったように(〇)

・お客様が参られました(×)/お客様がいらっしゃいました(〇)

敬語を使わない相手「部下・後輩」への言葉遣いで気を付けたいこと

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『kufura』読者の中には、部下や後輩を持つ立場の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

職場では、敬語を使わずに同僚に依頼やアドバイスをしたりする機会もあると思います。その場合、相手を委縮させないように要点を押さえながらも柔らかな言葉遣いを心がけるようにします。

相手に何か依頼をするときには強い命令口調にならないように、相手の立場を理解しようとつとめながら、“クッション言葉”や“質問形”を取り入れるといいと思います。

【クッション言葉+質問形】

・今、たくさんの案件を抱えていると思うんだけど、あさってA社に持参する見積書の作成をお願いしてもいい?

・終業間近で申し訳ないんだけど、先方に1本メールしておいてもらえるかな。

必要に応じて、その依頼の目的や背景も伝えます。

一方的に「これをやって」という頼むのではなく、「何のために頼んでいるのか」を伝えることで、仕事を受けるほうも気持ちよく受けられますし、仕事の全体的な流れを把握することにもつながります。

「若手社員の言葉遣いの間違い」どこまで指摘する?

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ある程度キャリアを積んでいくと、ちょっと気になってくるのが後輩や部下の言葉遣いです。

相手が間違った敬語表現を気づかず使い続けている場合、社外の相手にも同様の言葉遣いをしている可能性もありますから、気づいたら指摘をするようにします。

そうはいっても「間違っていたら、いつでもその都度指摘」というスタンスでは、指摘する方もされる方も疲れてしまいますので、同僚や同期とリラックスした雰囲気で会話しているときには、少々寛容でありたいものです。

今回は、北條久美子さんに言葉遣いをブラッシュアップするコツについてうかがいました。

正しい言葉遣いは、習練と習慣のたまもの。だからこそ、正しい言葉の使い手は周囲からの信頼もアップします。言葉遣いに自信のない方は、苦手な部分を見つけて、強化していくといいかもしれませんね。


 

【取材協力】

北條 久美子

東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、顧問として企業の人材育成や教育体系の構築にも携わる。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。著書に『ビジネスマナーの解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『働き方のセブンマナー』(講談社)ほか。

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