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「TPOをわきまえる」ってどんなふるまいのこと?激変するオフィスファッション事情にどう適応する?

【「なんだか品がいい」と言われる女性のビジネスマナー】12回目は、服装のTPOについて。
ビジネスシーンでは、場面に応じて服装や言葉遣いを使い分ける必要性があります。そうしたふるまいは「TPOをわきまえる」という言葉で表されますが、近年オフィスカジュアルが進んで難しくなっているのが“服装のTPO”ではないでしょうか。

今回、職場の“TPO”について解説頂いたのは、『働き方のセブンマナー』(講談社)、『新しいビジネスマナーの基本』(高橋書店)などの著書を持ち、ライフスタイリストとして多方面で活躍されている北條久美子さんです。

「TPO」って何?海外でも通じる言葉?

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まず最初に“TPO”の意味を知っておきましょう。TPOは、3つの単語の頭文字を並べた略語です。

T・・・TIME【時間】

P・・・PLACE【場所】

O・・・またはOCCASION【場合】(またはOPPORTUNITY【機会】)

TPOは、日本で生み出された和製英語なので、英語圏では意味は通じません。

「TPOをわきまえる」というのはどんなふるまいのこと?なぜ大切?

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職場の研修などで「TPOをわきまえてください」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

これは、時・場所・場面に応じた服装や言葉遣いをすることを指します。

例えば、取引先との会話と友達との会話では、言葉遣いが異なりますよね。

取引先に対しては敬語を使って話すことで相手を尊重している姿勢が伝わり、コミュニケーションを円滑に進めることにつながります。仮に、友達と話すときのような言葉遣いをした場合、礼を欠いた馴れ馴れしい印象を与え、相手を不快な気持ちにさせてしまうでしょう。

“TPOをわきまえた言葉遣い”は、仕事をするうえで人間関係の構築にもかかわることだと言えます。

難しくなる「服装のTPO」は?

私がビジネスマナーを定点観測している中で、大きな変化を遂げていると感じているのが“服装のTPO”です。

近年、職場におけるドレスコードの多様化が進んでいます。ジーンズやスニーカーを許容する職場が増え、“装い方”が個人の裁量に委ねられる部分が大きくなっています。

とはいえ、「自分が好きな服ならなんでも着てもいい」というわけではありません。

職場には自分1人だけでなく一緒に働く相手がいます。同僚や取引先の相手に安心感や落ち着きを与えるような服装を選ぶことが大切です。

「何を着るか」よりも「どう着るか」を意識してその日のコーディネートを決めていきましょう。

「TPOをわきまえた身だしなみ」具体例を解説

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TPO 身だしなみ職場で“TPOをわきまえた服装”をするために覚えておきたいのが、「オシャレは自分のため、身だしなみは相手のため」ということです。

自分が着たい服を着るのではなく、職場や業界の雰囲気を把握したうえで清潔感のある装いを心がけることが大切です。

様々な場面を想像しながら、どのような服装を心がけたらいいのか、チェックしみましょう。

【場面別の服装選びのポイント】

(1)初対面の相手とあいさつ

初対面の相手であれば、清潔感のあるきちんとした印象を心がけます。ジャケットを持参し、相手の会社の雰囲気を見て必要に応じて羽織るようにします。

(2)1日中内勤

内勤時間が長い日には、体温調整がしやすい羽織物を持っておくと便利。座っている時間が長くなる日には、圧迫感のあるタイトなパンツよりも、やや余裕のあるボトムスを選んだほうが快適に仕事ができるのではないでしょうか。また、シワになりにくい服を選んでおくと安心です。

(3)テレワークでオンライン会議

オンライン会議のときのメイクや装いは、意外と相手からチェックされています。スクリーン越しの顔を明るく見せるためには、白基調の服がおすすめ。首元の詰まった服よりも、少しだけデコルテの見える服を選ぶと、顔がスッキリと見えます。

(4)会食

会食を楽しみにしていたことが相手に伝わるような装いが理想的です。ランチ会食ではいつもよりも明るい色を着るなどして、雰囲気を少し変えてみてもいいでしょう。夜の酒席では座敷などで立ったり座ったりすることも多いですし、解放的な気持ちになりやすいので、胸元が大きく開いたトップスや短いスカートは避けるようにします。

(5)同期会

気の置けない仲間と楽しい時間を過ごすのであれば、参加前にメイクをいつもより華やかな印象にしてもいいかもしれませんね。

今回は、北條久美子さんに“職場のTPO”について解説して頂きました。

仕事は、ともに働く相手がいるからできること。相手のことを思い浮かべながら、言葉遣いや身だしなみを使い分けることができたら、信頼関係の構築にも役立ちそうですね。

【取材協力】

北條 久美子

東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやコミュニケーション、キャリアの研修・セミナ―を行い、顧問として企業の人材育成や教育体系の構築にも携わる。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト。睡眠マネジメントやマインドフルネスなどをワークに取り入れ、自分らしく、かつ生き方(ライフスタイル)を美しくすることを自らも目指し、それを広める場作りに力を入れる。著書に『ビジネスマナーの解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『働き方のセブンマナー』(講談社)ほか。

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