廊下・玄関を「避難路」ととらえると…?
null靴以外にも、子どもの外遊び用のおもちゃ、ボールやバットなどのスポーツ用品、ゴミの日に出そうと置いておいた資源ごみなどなど……。玄関周りは、物が多くごちゃごちゃしていることが意外と多い場所です。
「災害時、火災や倒壊のリスクがある場合はすみやかに避難する必要があります。そのとき、部屋から玄関までの通路が、倒れた家具や物でさえぎられていたら、避難に時間がかかってしまい大変危険。各部屋から玄関までのルートは確保しておくことが肝心です」と辻さん(以下「」内 辻さん)。
玄関マットは撤去がおすすめ
「玄関マットに滑り止めシートを敷いてあったとしても、とっさのときに足を引っかけたりすれば転倒の原因に。できればない方がいいアイテムです」
靴は最低限の数以外はしまう
「履き慣れた靴を1人1足だけ出しておくのはOK。家族の人数分よりも多くの靴が出ていませんか?」
傘・靴ベラなどもしまう
「もし陶製の傘立てが玄関で倒れて割れたら、大きなリスクに。傘自体も、強い揺れでは横に飛んでくることだってあります。傘や靴ベラは棚の中にしまいましょう」
非常用持ち出し袋は玄関収納に
「持ち出し用のリュックなどを玄関から遠く離れた場所に置くのでは意味がありません。とっさのときに手に取りやすいよう、できたら玄関収納に置くのがベストです。スペースの都合上難しいという場合でも、できるだけ玄関の近く、避難する際の通り道に収納するようにしましょう」
飾るものはしっかり固定
「とはいえ玄関が殺風景すぎるのも……という場合は、置くものをしっかり固定します。耐震ジェルマット、滑り止めシートなどを挟んで、揺れても落ちにくくなるよう工夫します」
玄関には非常用ライトを
「夜間の被災だけでなく、マンションなど玄関に窓がない場合は、停電すると昼間でも真っ暗になってしまいます。こちらは普段はコンセントにさしておく充電式のライトで、停電したら自動で点灯、取り外して懐中電灯のようにも使用できるものです」
明かりがあるだけで不安感がぐっと減りますね。
靴の下にも滑り止め
「地震の際、靴箱の中で靴が動き回ると、勢いで靴箱が開いてしまうことも。靴の下にも滑り止めを敷くことでリスクを減らせます。靴箱用のシートは、滑り止めだけでなく防臭、防カビなどの加工がされているものが多く、靴の保管の面でも掃除の面でもメリットがあります」
「玄関は大切な避難路」という考え方にはなるほど!とうなずきました。片付いている、物が少ないというのは、見た目がすっきりして快適というだけでなく、災害時に身を守ることにもつながるんですね。家族にも共有して、協力してもらいながら過ごしていければと思いました!
国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。
帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
「地震・台風時に動けるガイド: 大事な人を護る災害対策」(発行:メディカル・ケア・サービス/発売:Gakken)、「レスキューナースが教えるプチプラ防災」「プチプラで『地震に強い部屋づくり』」(ともに扶桑社)など著書多数。