「隠さない」「詰め替えない」でストレスを軽減!
null洗濯、入浴、洗顔などを行う洗面所は、できるだけ気持ちよく快適にスッキリ使いたい場所。でも、洗剤やシャンプー、歯ブラシなどをいろいろストックしていたり、メイク道具や整髪料がランダムに置かれていたり、実は何かとゴチャつきやすい。
私もストックがあるのを忘れて購入してしまった詰め替え用のシャンプーが3つもある!とか、よくあります……。逆に、中身の見えないおしゃれなボトルに詰め替えて、残量が分からなくてストックがもう無かった!という人もいるかもしれません。
水谷さんは、7才(長女)、5才(長男)、3才(次男)の3 の子どもたちと夫の5人暮らし。家族みんなが使う場所だからこそ「誰でも分かる」ことが大事だと話します。
「戸棚や鏡裏を開けたら、どこに何があるかひと目で分かるように、できるだけ隠さないようにしています。ケースは半透明なものを使い、残量がパッと分かるようにして、洗剤もあえて詰め替えません。
洗面所は朝バタバタしながら使うことも多いので、ワンアクションで簡単に取り出して戻せるなど、ストレスなく使える工夫もしています」(以下「」内、水谷さん)
一体どんな収納法なのでしょうか? 早速、教えてもらいましょう!
1:ワンアクションで取り出せる
null家族が多いのでみんなで使う洗面所は、忙しい朝でもパパッと身支度できるように、「ワンアクション」で取り出せる工夫を。サッと使える心地よさを優先しています。
◆コンタクトレンズはバラバラにしておく
コンタクトレンズは、最初に1回分ずつバラバラにして、半透明のケースに入れておきます。これで忙しい朝でも、サッと1つずつ取り出せて便利! 確かに、毎日1個ずつ切り離すのって、実は地味にストレスですよね。
◆歯ブラシは「小物ラック」に立てて収納
「うちは5人家族なので、歯ブラシを横に並べると、結構スペースを取ってしまうんです」と水谷さん。
そこで、『無印良品』の小物ラックに歯ブラシを縦に並べてコンパクトに収納。省スペースにできるうえ、透明でよく見えるからワンアクションで取り出せて、出し入れもラクになったそう。
2:むやみに「詰め替えない」
null最近のムーブメントとして、生活感のないシンプルなボトルに詰め替えるのが流行っていますが、「詰め替えることが、我が家にとって本当に必要かどうか、しっかり見極めて」と、水谷さん。
「私は『無印良品』の商品開発の経験から、パッケージは企業努力の賜物だと感じています。各社の技術を結集して作られたパッケージは、残量がひと目で分かったり、液ダレしにくかったり、手にフィットしやすかったり、とにかく使いやすさを追求して作られています。
ですから、わざわざ詰め替えるよりも、そのまま使った方が実は便利かもしれません。まずは”詰め替えるための目的”は何か? 表面的にきれいに見せるだけでなく、”使いやすい理由”があるかどうか、しっかり考えることが大切です。見た目だけで詰め替えてしまうと、逆に使いづらくなってしまうかもしれません」
◆ 洗剤は詰め替えない方が使いやすい
水谷さんは、洗濯用の液体洗剤は詰め替えない派。パッケージに使用量がきちんと書いてあり、液ダレせずにワンプッシュで使えて、「このまま使った方が快適!」とのこと。
「洗剤のパッケージはとっても優秀なので、私はあえて詰め替えません。ジェルボールの洗剤は半透明のケースにまとめて入れて、残量がひと目で分かるように。これで“もう無かった!”と焦ることもありません。ふたがカチッとしっかり閉まらないケースを選び、ワンアクションでサッと取り出せるようにしています」
3:家族と相談して決める
null家族みんなで使う場所だからこそ、自分ひとりで決めずに家族の意見も聞いてみると、新しいアイディアに驚くことも。
「私は片付けのプロなので、収納のガイドラインを理解していますが、でもそれが、はたしてうちの家族にフィットするかは分からない。だから、この収納法がいい!と勝手に自分ひとりで決めつけず、普段から積極的に家族に聞いて、子どもや夫の意見を尊重するようにしています。
そうすると、自分では思いつかない意外なアイディアに気付くことも多いんです。一緒に考えることで責任感が芽生え、小さな子どもでも自分で考えるようになり、そこで初めて、自然と続けられる収納法が見えてくるはずです」
◆「ヘアゴム」の収納は長女が提案
長女はヘアゴムを洗面台に置きっぱなしにしてしまうので、いい収納法はないか考えていたという水谷さん。そこで、すぐ下の引き出しにしまうことを提案したところ、返ってきたのは意外な答えだったそう。
「娘は引き出しにしまうよりも、見えている方が使いやすいとのこと。そこで、ヘアゴムは輪ゴム用のマグネットに引っ掛けて収納することに。引っ張るだけでワンアクションで1本ずつ取り出せて、娘も満足しています。
自分で収納法を決めたので、それからは毎日きちんと片付くように。小さな子どもでも責任感が芽生えるので、一緒に考えることが大切なんですね。どうしたら使いやすいかな?と一度立ち止まって考えることで、困った時に工夫する力を育むことにもつながっていると思います」
4:「ズレない」から使いやすい
null忙しい時でもできるだけスムーズに使いたい洗面所。ちょっとしたことかもしれませんが、収納ケースがズレない工夫をしたら、グンと使いやすくなったそう。水谷さんの人気の小ワザを紹介します。
◆メラミンスポンジで手軽にズレ防止
毎日使うメイク用品が入っている引き出しは、半透明の収納ケースで中を仕切っていますが、引き出しを開ける度にケースがガタガタと中で動いてしまうそう。
「そこで、ケースと引き出しのすき間に掃除用のメラミンスポンジを挟んで、ケースを固定。これだけでケースが動かず、使いやすくなりました」
メラミンスポンジは自分で好きな大きさにカットできるので、どんな幅にも合わせられますね!
◆粘着シートでピタッとズレない
綿棒を1本取り出す度に、ケースが動いてプチストレスを感じていた水谷さん。こちらは、底に粘着シートを貼るだけで解決! 片手でラクに取り出せるようになりました。
それぞれの家庭に合わせた収納の「仕組みづくり」を
null最後に、水谷さんの考える「生きた収納」とは何か?お伺いしました。
「誰だって、いつも収納のことだけを考えて暮らしているわけではありません。他にもやりたいことはたくさんありますよね。収納によって日々の効率を上げたいのか、または時間はかかっても、丁寧な収納で見た目よく整えたいのか、何を優先するかは人それぞれです。
そのため、自分にとってやりたいこと、必要なことは一体何か、目的を持って収納の仕組みを考えることが大切です。お母さんだけではなく、家族みんなで自分たちに合ったスタイルを考えていく。そして初めて、生きた収納ルールが生まれるはず。ぜひ、自分たちに合った収納スタイルを見つけてくださいね」
今までたくさんの収納テクを水谷さんに教えてもらいましたが、収納って家族みんなが片付けられるようになる「仕組みづくり」なんですね。
生活スタイルや家族が変われば、それぞれの家庭に合った収納ルールがある。水谷さんのテクを参考にしながら、ぜひ我が家にあった収納法を、家族みんなで楽しみながら探してみてください。
【取材協力】
水谷妙子
整理収納アドバイザー。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、株式会社良品計画で『無印良品』の生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、手掛けた商品は500点を超える。2018年に「家が整うと、家族も整う」というコンセプトのもと、『ものとかぞく』を起業し、雑誌やWeb、テレビなどで活躍。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)など。新刊『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)を2020年11月26日に発売。Instagram @monotokazoku
取材・文/岸綾香