じゃがいもと生クリームだけで作るお手軽グラタン
null沼津さんに新じゃがいもを使ったおすすめレシピを聞いたところ、「思い出の料理がありますよ」と教えてくれたのが、こちらの『グラタン・ドフィノワ』。
「じゃがいもを薄く切って、生クリームを注いで味付けして焼くだけという、とてもシンプルなグラタンです。フランスのドフィネ地方の伝統的な家庭料理なのですが、私が老舗の洋食レストランで修業していた頃、毎日作っていました。
看板メニューのビーフシチューに添える付け合わせだったのですが、これが隠れた名脇役で、肉料理を引き立ててくれて、シンプルなのにとっても甘くて美味しい。じゃがいも本来の素材の旨味を存分に感じる一品です」(以下「」内、沼津さん)
グラタンだと、じゃがいもは下ゆでしておき、ベシャメルソースを作って……と、ひと手間もふた手間もかかるイメージですが、薄く切って焼くだけなんて! 早速、作り方をチェックしましょう。
【材料】(2人分)
じゃがいも・・・中4個(300g)
生クリーム・・・150〜200ml
塩・・・小さじ1/2
こしょう・・・少々
ナツメグ・・・少々
【作り方】
(1)じゃがいもを薄切りにする

皮をむいたじゃがいもを3〜4mmくらいの厚さの薄切りにします。
「生のまま焼くので、薄く切るのがポイントです。きれいに並んだ状態で耐熱容器に入れたいので、切った時の並んでいる状態をキープしてください。今回は煮崩れしないように仕上げたいので、でんぷん質が少なく、サラッとしているメークインを使います。ホクホクした男爵でもOK。お好みのじゃがいもで作ってみてください」
(2)耐熱容器にじゃがいもを並べる

切ったらすぐに耐熱容器に並べてください。トロッと仕上げたいので、でんぷんが流れないよう、今回はじゃがいもは水にさらさず、そのまま焼きます。
(3)生クリームと調味料を入れる

じゃがいもが隠れてひたひたになるまで生クリームをゆっくりと注ぎ、塩、こしょう、ナツメグを振って味付けします。
「生クリームは器に合わせてひたひたになるくらいまで、調整しながら注いでください。生クリームの脂肪分が多いほど、濃厚なグラタンになります。今回は白く仕上げたいので、こしょうはホワイトペッパーを使いました。ナツメグを入れると、グッとフレンチらしい本格的な味わいに仕上がりますよ」
(4)トースターで30分ほど焼く

トースターに入れ、30分ほど焼きます。オーブンの場合は、220℃で25〜30分が焼き時間の目安です。焼き加減はトースターやオーブンによって異なるので、様子を見ながら焼いてください。共にじゃがいもに竹串がスッと通ればOKです。
(5)できあがり!

こんがり焼けたら、熱々をそのままテーブルに運んでいただきましょう。
ひと口食べると、じゃがいもの甘味と旨味が生クリームに包まれて、クリーミーで何とも優しい味わい。シンプルだからこそ、じゃがいも本来の美味しさが際立ちます。そしてこのトロトロのソースもドフィノワならではのご馳走! 普通のグラタンよりもサラッとしたクリーミーなソースが、ビーフシチューや煮込みハンバーグなど、こっくりした濃厚なソースの肉料理によく合いそうです。料理を邪魔しないシンプルな味わいなので、付け合わせにもってこいですね。
「新じゃがで作ると、より濃厚なじゃがいもの旨味を味わうことができます。じゃがいもだけで十分美味しいのですが、カマンベールチーズを間に挟んだり、えびやベーコンを加えてもいいですよ」
早速作ってみたところ、何と言っても簡単で美味しいのが最高! じゃがいも料理って、ゆでたり、レンチンしたり、調理前にある程度加熱することがマストですよね。このひと手間に時間がかかるので、じゃがいも料理ってちょっと面倒なイメージがあるのですが、これは薄切りにするだけだから本当に簡単! あれこれ面倒なことはせず、シンプルに焼くだけなんて……さすがフランスのお母さんたちに愛される料理!
新じゃがの美味しい季節にぴったりのグラタン。ぜひ、じゃがいもと生クリームの力を信じて、試してみてください。
取材・文/岸綾香
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kufuraの連載でおなじみ、大ヒットレシピを連発している沼津りえさんの人気シリーズが書籍化しました! テーマはなんと“ごま油”! 忙しいkufura世代にこそ届けたい、ごま油があればいつもの“家ごはん”がもっと美味しく、ラクになる。そんな沼津さんの想いが詰まった一冊です。

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著/沼津りえ 1,650円(税込)小学館
料理研究家・管理栄養士の沼津りえさんによる“ごま油で「いつものごはん」をもっと楽に、もっと美味しく”するレシピ集。パパッと作れる小鉢、メインになる肉や魚のおかずからごはんや麺まで、全98レシピを掲載。

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『ごま油さえあれば さっぱりもコク旨も、いつもの家ごはん98』(小学館)、『マンガでわかった! ラクしておいしい作りおき』(主婦の友社)、『からだとこころがととのう滋養菓子』(日東書院本社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」