米は「洗わない」が正解!パラパラに美味しく炊き上がる
nullお店で食べると米の食感が絶妙なパエリア。言わずと知れたスペインの代表的な米料理ですね。でも家で作るとベチャッとして、なんだか炊き込みごはんみたいになりがち……。そんな悩みを解決しながら、フライパンひとつで手軽に作る方法を小林まさみさんに教えてもらいました。
「パエリアの米は絶対に洗わないこと。米が水を吸ってベチャッとしてしまいます。洗わずにそのまま炒めることで、米に旨味がしっかり凝縮され、パラッとした仕上がりに。あさりやえびなどの魚介類に加え、ベーコンや鶏肉などの肉も一緒に入れた方が、旨味の相乗効果でより美味しくなります。えびは見た目も豪華になるので、だしがよく出る有頭えびを使うのがおすすめですよ」(まさみさん)
フライパンひとつで作れるのも嬉しいですね! 早速作り方をチェックしてみましょう。
【材料】(4人分)
あさり(砂抜き済み)・・・300g
ベーコン・・・4〜5枚(80g)
赤パプリカ・・・1個
有頭えび・・・4尾(220g)
オリーブオイル・・・大さじ2
玉ねぎ(みじん切り)・・・1/2個(100g)
にんにく(みじん切り)・・・小さじ2
トマト缶・・・1/4缶(100g)
米(洗わない)・・・2合
レモン・・・1/2〜1個
[米を炊く調味液]
サフラン・・・小さじ1/2
水・・・360ml
塩・・・小さじ2/3
こしょう・・・少々
【作り方】
(1)あさりは再度、砂抜きをする

あさりは砂が残らないよう、再度、砂抜きをしておきましょう。水200mlに塩小さじ1(共に分量外)を入れ、海水程度の塩水を作ります。深めのバットなどにあさりを平らに並べ、少し顔を出すくらいまで塩水を注ぎ、アルミ箔をかけて暗くします。室温に1時間置き、砂を吐かせてください。
砂抜きが終わったらザルにあげ、貝同士をこすり合わせながら、流水でよく洗います。洗い終わったら水気を切ってください。
(2)サフランを入れた調味液を作る

サフランを水に入れて混ぜ、色を出しておきます。塩、こしょうも加え、この調味液で後ほどごはんを炊きますよ。
「サフランはクロッカス類のめしべで、1本の花から3本しか採れません。水に入れると黄色くなるので、先にしっかり色を出しておきましょう。カレー粉でも黄色くすることはできますが、味がカレー味になってしまうので、カレー粉を使う場合は、カレーピラフとして楽しんでください」(まさみさん)
「サフランってとても貴重なんだな!」と、まさるさんも驚いていました。
(3)ベーコンとパプリカを切る


ベーコンはみじん切りに。パプリカは半分に切って種とヘタを取り除き、細切りにします。
(4)有頭えびの下ごしらえをする

有頭えびは背中に深めに切り込みを入れ、竹串などで背ワタを取り除きます。一緒にヒゲも切っておきましょう。
「有頭えびの方が、だしがたっぷり出るのでおすすめです。有頭えびが手に入らない場合は、普通のえびにして数を増やしても。えびではなく、だしが出やすい鶏肉を使ってもOKですよ」(まさみさん)
(5)具材を炒める

フライパンにオリーブオイルを入れ、火をつけずに玉ねぎのみじん切り、ベーコンを入れます。強めの中火で炒め、玉ねぎが透き通り、ベーコンの香りが立つまでよく炒めてください。
(6)トマト缶を潰しておく

トマト缶のトマトをよく潰しておきます。マッシャーやすりこぎ棒などで潰してください。
(7)米を炒める

玉ねぎがしんなりして、ベーコンの香りが立ってきたら、米を洗わずにフライパンに入れます。ここで1分くらいかけて、しっかり炒めるのがポイントです。
「米をじっくり炒めた分だけ、水分や旨味がギュッと米に凝縮されて美味しく仕上がりますよ。米にツヤが出るまでしっかり炒めてくださいね」(まさみさん)
(8)米を炊く調味液とトマト缶を入れる

米にツヤが出てきたら、サフランで黄色く染まった調味液を入れます。さらにトマト缶を入れ、全体をなじませます。
(9)具材を並べる

「かっこよく並べてくれよ」とまさるさん。米の上にパプリカをのせ、あさりを散らし、有頭えびをバランスよく並べましょう。
(10)米を弱火で15分炊く

具材を並べたらふたをして、煮立ったら弱火で15分炊きます。
(11)10分蒸らす

15分炊いたら火を止めて、そのまま10分蒸らします。
(12)できあがり!

蒸らし終わったらふたを取り、くし形切りにしたレモンをのせます。レモンは食べる時に搾っていただきましょう。
炊き上がったパエリアが運ばれてくると、思わずスタッフ一同「おーっ!」と歓声が。フライパンでドンと食卓に登場するのもテンションが上がりますね!
ひと口食べると、サフランライスがパラパラと口の中でほどけ、“米のアルデンテ”とでもいうような絶妙な食感! 特にあさりのだしがじんわりとよく染みて、鮮やかな黄色のサフランライスに複雑な旨味がたっぷり詰まっています。キリッと冷やした白ワインを合わせたら、さらに盛り上がりそう!
春は節目の季節なので、歓送迎で集まる機会も多いのではないでしょうか。家族や友人が集まる時のおもてなしにもおすすめなので、ぜひ試してみてください。
取材・文/岸綾香

小林まさみ/料理研究家。結婚後、会社勤めをしながら調理師学校に通い、料理研究家を目指し、料理愛好家 平野レミさんのアシスタントなどを経て、独立。誰でも作りやすく、家庭的なアイディアあふれるレシピにファンが多く、テレビや雑誌、書籍、企業のレシピ開発、料理教室など幅広く活躍。自身のオンラインショップ『台所用品と食「暮らしの仲間」』では、厳選した台所用品や食材を販売。『小林まさみの料理教室 ていねいな献立づくりがわかる本』(山と渓谷社)など著書多数。Instagram:@kobayashimasami.masaru
小林まさる/昭和8年生まれ。料理研究家・小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務め。78才でシニア料理研究家としてデビュー。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満点の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)など。88才からスタートした公式YouTube『小林まさる 88 チャンネル』も好評。