「ちらし寿司」は味&食材のバランスが命!
null家族や友人が集まるときにぴったりなちらし寿司は、酢飯に具材を混ぜるだけで完成するうれしい一品です。小林家では、まさるさんが刺身好きなので「海鮮ちらし寿司」が定番とのこと。ちょっとしたコツでグンとおいしさがアップします。
「ちらし寿司は、味や具材のバランスが大事。うちでは、刺身を漬けにして酢飯に混ぜ込むため、寿司酢の味付けを少し控えめにして、味が濃くなりすぎないよう調整しています。刺身を漬けすぎると食感が悪くなってしまうので、漬ける時間は15分がベスト。
錦糸卵は卵焼き用の四角いフライパンを使うと、丸い部分がなくキレイに切り揃えることができるので、とっても便利です。具材は基本、好みのものでOK。食感や色味を考えながら、好きな具材を盛り付けてみてください」(まさみさん)。
それでは早速、作り方を見てみましょう!
【材料】(4人分)
[酢飯]
米・・・2合
水・・・360ml
酢・・・70ml
砂糖・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/2
白いりごま・・・大さじ2
[海鮮漬け]
好みの刺身(まぐろ、白身魚、甘えび、サーモンなど)・・・200g
しょうゆ・・・大さじ1
みりん・・・大さじ1/2
[錦糸卵]
卵・・・2個
砂糖・・・小さじ2
塩・・・少量
油・・・少量
きゅうり・・・1本
貝割れ菜・・・1/2パック
刻みのり・・・適量
いくら(しょうゆ漬け)・・・60g
【作り方】
(1)ごはんを炊く
米は洗ってザルにあげ、30分ほど置いてから、炊飯器に入れます。米と同量の水(360ml)を入れ、炊飯器で普通に炊いてください。
(2)寿司酢を作る
ボウルに酢、砂糖、塩を入れてよく混ぜ合わせ、寿司酢を作ります。
「砂糖や塩は溶けにくいので、寿司酢は早めに作っておくと◎。米を炊いている間に寿司酢を混ぜておきましょう。
今回は刺身を漬けにするので、寿司酢の味はあえて控えめに設定しています。具材と混ざり合ったときに、ちょうどいいバランスになりますよ。普段の寿司酢はもう少し味が濃い目です」(まさみさん)。
(3)具材を切る
貝割れ菜は根を切ってから3等分に、きゅうりは1cm角に切ります。
「香味野菜の青じそやみょうがを入れてもいいアクセントに。具材はお好みで楽しんでください」(まさみさん)。
(4)刺身を漬ける
今回使った刺身は、鯛、甘えび、まぐろ、サーモン。甘えびは尻尾を取って半分に切り、刺身は食べやすく半分に切ります。刺身にしょうゆ、みりんを回しかけ、軽く混ぜ合わせたらラップをして、冷蔵室で15分漬けてください。
「刺身は好みのものでOKです。長く漬けると食感が悪くなってしまうので、漬け時間は15分を厳守して!」(まさみさん)。
15分経ったらザルにあげ、漬け汁は寿司飯に使うのでそのまま取っておきましょう。
(5)錦糸卵を作る
ボウルに卵を割り、砂糖、塩を入れてよく混ぜ合わせます。卵焼き用のフライパンに油を熱し、卵液の半量を流し入れ、表面が盛り上がってきたら、箸で空気を潰します。手前に箸を入れてひっくり返し、裏側をさっと焼いたら、まな板の上に取り出します。同様にもう1枚焼き、粗熱が取れたら3等分にして、細切りにします。
「錦糸卵を作るときは、四角い卵焼き用のフライパンを使うと、端まで四角くなるのでキレイな形に仕上がりますよ」(まさみさん)。
(6)刺身をザルにあげる
15分経ったら刺身を一度取り出し、ザルにあげます。漬け汁は取っておき、刺身はラップをして、再度冷蔵室に入れてください。これでもう漬け過ぎる心配がありません。
(7)酢飯を作る
ごはんが炊けたら飯台に移し入れ、しゃもじに寿司酢をかけながら全体に回しかけ、ごはんを切るように混ぜ合わせます。
「うちわであおがなくていいのか?」と、まさるさんが尋ねると、「やらない方が上手にできる場合もあるよ」と、まさみさん。
「ごはんを混ぜながらあおぐと、混ぜ過ぎて粘りが出てしまうので、実は注意が必要。ある程度ごはんがほぐれたら飯台の中で広げ、湯気が出なくなるまでそのまま置いておきます。湯気が出なくなったらごはんを返し、これを何度か繰り返して。こうした方が、ごはんがベチャッと潰れません」(まさみさん)。
人肌くらいまで冷めたら、白いりごまを加えて混ぜ合わせます。
(8)具材を混ぜる
きゅうり、貝割れ菜、刺身を半量ずつ入れ、刺身の漬け汁を回しかけ、全体を切るように混ぜます。混ぜたら刻みのり、錦糸卵を広げ、残りのきゅうり、刺身をのせ、いくらと残りの貝割れ菜をトッピングします。
(9)できあがり!
すべて盛り付けたら、海鮮ちらし寿司の完成です。「豪華だな!」とまさるさんもご満悦。
ドンと華やかに盛り付けられた海鮮ちらし寿司は、目にも鮮やか。食べてみると、漬けにした刺身が絶品! 酢飯に刺身を漬けた汁が加わって、ちょうどいい味わいに。さらに、ほんのり甘めの錦糸卵、パリパリのきゅうり、プチプチのいくらのバランスもよく、ひと口食べると口いっぱいに幸せな共演を堪能できます。
色とりどりの具材がとっても華やかで、食卓に出したら歓声が上がること間違いなし。年末年始に家族が集まるとき、お客さんを招いてのホームパーティー、子どもたちの誕生日など、ハレの日のごちそうにぜひ作ってみてください。
取材・文/岸綾香
【取材協力】
小林まさみ
料理研究家。結婚後、会社勤めをしながら調理師学校に通い、料理研究家を目指し、料理愛好家 平野レミさんのアシスタントなどを経て、独立。誰でも作りやすく、家庭的なアイディアあふれるレシピにファンが多く、テレビや雑誌、書籍、企業のレシピ開発、料理教室など、幅広く活躍。自身のオンラインショップ『台所用品と食「暮らしの仲間」』では、おすすめの台所用品や各地から厳選した食材、小林まさるの瓶詰め『まさる漬け』などを販売。料理本は『切りおき』(小学館)など著書多数。Instagram@kobayashimasami.masaru
小林まさる
昭和8年生まれ。小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務める。78才でシニア料理研究家として活躍。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満点の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)など。88才からスタートした公式YouTube『小林まさる88チャンネル』も好評。