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お店クオリティの「ベーコンエピ」が1時間で!ポリ袋でこねて汚さず簡単【沼津りえの焼きたてパン#5】

kufuraでは「ちょこっと漬け」シリーズでもおなじみ、料理研究家・沼津りえさんは、パン作りの腕も一流! “ポリ袋でこねてフライパンで焼く”というお手軽さで人気のレシピ本『55分で焼きたてパン』も好評を博しています。

【沼津りえの焼きたてパン】では、こうした“お手軽”なノウハウをいかし、1時間で作れるパンレシピをkufura読者のみなさんにお届けしています。今回は、オーブンを使ってお店クオリティの「ベーコンエピ」を手作りしていきます!

かっこいい「エピ」は切り込みの角度と深さにアリ!

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「エピ」とは、フランス語で“麦の穂”という意味。その名の通り、麦の穂を模した形が特徴のパンです。

“ポリ袋で3分こねるだけ”という生地の作り方はこれまでと同様ですが、焼成にはフライパンではなく、オーブンを使って穂先をよりカリッと焼き上げていきます。

「“かっこいいエピ”に成形するポイントをおさえれば、初めての方でもきっと失敗なくお店のようなエピが作れますよ! 具材は定番のベーコンとチーズでお食事パンに。粒マスタードを効かせると、グッと本格的な味わいとなります。ベーコンの代わりにウインナーを使うのもアリ!」(以下「」内、沼津さん)

オーブンに発酵機能がない場合の発酵方法など、覚えておくと役立つワザも満載です。

【材料】(2本分)

強力粉・・・100g

塩・・・小さじ1/4弱(1g)

砂糖・・・小さじ1強(5g)

ぬるま湯(40℃くらい)・・・60g

油・・・小さじ1強(5g)

ドライイースト・・・小さじ1/3(1g)

ベーコン・・・2枚スライスベーコン1枚を縦半分に切ったもの)

ピザ用チーズ・・・20g

粒マスタード・・・適量

【用意するもの】

ポリ袋・・・1枚

ちなみに、沼津さんのおすすめのポリ袋は、業務用スーパーで購入できる『ポリエチレン袋』。今回は、パン生地作りに10号サイズ(0.025×180×270mm)を使用しました。「適度な厚みがあって、使いやすい大きさ」と、沼津さんのイチオシです。

【作り方】

(1)材料を合わせる

強力粉を入れたポリ袋に、砂糖と塩を加えてなじませます。電子レンジで20秒ほど温めたぬるま湯(目安40℃ほど)に、油とドライイーストを入れて軽く混ぜます。先ほどのポリ袋に、混ぜ合わせた水分を一度に加えます。

「お湯の温度が50℃以上だと、イースト菌が死んでしまい発酵できなくなってしまうので、ぬるま湯の温度には気をつけてください。ドライイーストは、完全にとけきらなくてもOKです」

(2)袋をシャカシャカ1分振る

ポリ袋をくるくる回して素早く口を閉じたら、親指と中指で袋の両角を押さえ、1分間シャカシャカ振ります。

「これは、粉と水分をなじませる“水和”という作業にあたります。振り続けていくと、最初はべちゃっとしていた袋の内側がつるんときれいになり、中もコロコロした状態に変化していきますよ」

(3)両手で1分もむ

次に、両手で1分間生地を揉み込みます。

「パン作りでいう“こねる”作業です。手の平や指先全体を使って、しっかり揉んでいきましょう」

(4)手をグーにして1分こねる

最後は、ポリ袋を台の上に置き、グーにした両手で上からこねていきます。途中で生地が広がってきたら、袋の中で折りたたんでください。

「パン作りでいう“たたく”作業”。しっかりと力を込めて、全体を均一に押していきましょう」

(5)折りたたんで伸ばすを4回くり返す

キッチンバサミなどで、ポリ袋をL字に切って広げます。生地をポリ袋の中央方向に折りたたみ、上からしっかり押さえましょう。これをあと3回繰り返します。

「生地を押して戻ってくるほど弾力が出てきたら、グルテンがしっかりできた証拠。4回やっても生地がべたつく場合は、さらに1~2回ほど繰り返してみてください」

(6)分割して成形する

生地をおおよそ2分割にします。このあと1つずつ生地を伸ばしていくのですが、作業しない方の生地は乾燥を防ぐためにポリ袋の端にくるんでおきましょう。生地を手で押して伸ばしたあと、麺棒を使ってベーコンの長さになるまで楕円形に伸ばします。

「どうしても生地がべたついて作業しづらい……という場合は、強力粉で打ち粉をするか、ポリ袋上ではなく清潔な台の上で作業してもOKです」

2つとも伸ばし終えたら、生地の中央にベーコンをのせ、チーズを散らします。さらに、粒マスタードをベーコンの片側に塗ります。

粒マスタードを塗った方を手前に向けて置き、巻いていきます。最初の1ロールはキュッと締めながら巻くのがポイント! あとは、海苔巻きのようにクルクルと巻いて、閉じ目を指でつまみながらくっつけます。もう1本も同様に。

「粒マスタードが巻き終わりにくると、滑って巻きづらいので、巻き始めにもってくるようにしましょう。また、単にクルクル巻くとダレた見た目に……。しわのない、かっこいいエピにするためには、最初の1ロール目が肝心! 生地の表面を張らせつつキュッと締めながら巻いていきましょう」

クッキングシートを敷いたオーブンの天板に、巻き終えた生地の閉じ目を下にしてのせます。キッチンバサミの刃先を濡らしながら、穂の形になるよう切り込みを入れ、左右交互に倒していきます。今回は1本につき5カットほど切り込みを入れました。

「切り込みを入れる時は臆さずに、キッチンバサミを天板とほぼ平行になるくらいまで倒して、鋭角にギリギリまで深くカットしましょう! とんがりの先端がカリッと焼けて、見た目もきれいなエピになります」

(7)35分発酵させる

大きな袋に、天板と熱湯(分量外)を入れた器を一緒に入れます。生地に袋がつかないようふんわりとさせてから口を閉じ、35分発酵させます。

「オーブンに発酵機能がある方はそちらを使っていただいてもかまいません。ただ、このあと予熱する時に、出し入れが手間に感じてしまうかも。そこでおすすめなのがこの方法! 生地に潤いを与えつつ温度もキープしてくれます。発酵の間ずっと湯気が出続けるよう、熱湯は最低でも200mlは用意しましょう。口の広い器がベストで、私はどんぶりを使うことが多いですよ」

発酵後はいよいよ焼成です。ガスオーブンなら190℃、電気オーブンなら200℃で予熱しておきます。※ご家庭のオーブンの機種に応じて、予熱が完了する時間を逆算してスイッチを入れましょう。

このあとの焼成では、予熱で温めた庫内の温度が冷めないうちにエピを入れるのがポイント。サッと入れられたらよいのですが、あらかじめ、予熱時の温度をガスならもう+10℃、電気なら+20℃高くすると、焦ることなく表面を香ばしく焼き上げることができます。

(8)オーブンで12〜13分焼く

発酵後、袋から天板を取り出し、ガスオーブンなら190℃、電気オーブンなら200℃で12~13分焼きます。

「発酵が終わった時に、生地の表面に水滴がついているのが理想的! 焼いた時に、より生地の表面をパリッと仕上げてくれるんですよ」

(9)できあがり!

こんがりといい焼き色! お店のような出来栄えのベーコンエピが完成しました!

 

焼き立てをいただくと、目を見開くほどのおいしさ! 表面はパリッとしているのに、中はもっちり柔らかというカリモチ食感。そこへと、ベーコンの旨みやチーズのほどよい塩気が感じられて、頬が落ちっぱなしです。焼き立てベーコンエピはスタッフにより早々になくなりました(笑)。

もし、一度に4本作りたい場合は、材料を倍量にし、ポリ袋で生地作りをする時のシャカシャカ・もみもみ・グーこね作業をそれぞれ少し長めに行ってください。家族内で具材のアレンジを変えてみるのも楽しそうですね。

本当におうちでこんなふうに焼けるの……!? と疑いつつ(沼津さんすみません笑)、パン作り超初心者の筆者がレシピ通りにチャレンジしてみると、1時間ちょいオーバーで作れました! ただ、切り込みがやや浅かったのか、穂の部分の断面が控えめで見た目の華やかさはお手本より足りない感じ。やはり、“切り込みは深く”が大事です!

このポリ袋を使ったパン作りは、手や道具が汚れず、洗い物が少ないのがまたいいところ。麦の穂の形をしたエピはちぎりやすくシェアもしやすいので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。


【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『米粉があれば!パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝えるはじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu  YouTube  管理栄養士  沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」

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