作業は簡単なので、年末のおうち時間に作ってみよう!
nullおせち料理に欠かせない「黒豆」ですが、家庭で上手に手作りするのは難しいと思っている人も多いのではないでしょうか。今回は圧力鍋などを使わず、普通の鍋でシンプルに失敗なく作る方法を沼津さんが教えてくれました。
「コトコト黒豆を煮ると、新しい年がやってくるのを感じます。黒豆って難しそうなイメージがありますが、実は作業は至って簡単。おうち時間が増えた今、家事や仕事の合間に鍋の様子を見ながらゆっくり作ってみるのもいいですね。
今回は、兵庫県の丹波の黒豆を使いました。やはり丹波の黒豆は粒が大きくてふっくら。しっとりつややかにおいしく仕上がるので、ちょっと値は張りますがお正月におすすめですよ」(以下「」内、沼津さん)
【材料】(作りやすい分量)
黒豆・・・200g
水・・・1L
グラニュー糖・・・150〜160g
塩・・・小さじ1/4
しょうゆ・・・小さじ2
【作り方】
(1)煮汁を作る
鍋に水1Lを入れ、グラニュー糖、塩、しょうゆを入れます。沸騰するまで強火にかけ、砂糖が溶けてふつふつしてきたら火を止めてください。
「今回、砂糖はグラニュー糖を使っています。グラニュー糖を使うとスッキリした甘さに、上白糖だとしっかりした甘さに仕上がります。甘さ控えめにしていますが、甘いのがお好みの場合は、黒豆と同量の砂糖を入れてください」
(2)黒豆を洗う
ボウルに水を張り、黒豆を入れ、表面の汚れを落とすように優しく洗います。水を捨ててもう一度洗います。その際、ボウルの端から水を入れ、黒豆に当たらないようにしてください。洗い終わったらザルにあげ、水気を切りましょう。
「煮汁を作る前に黒豆を洗ってしまうと、黒豆に傷がついたり、しわが寄りやすくなり失敗の原因になります。黒豆は洗ったらすぐに煮汁に入れたいので、必ず煮汁を先に作っておいてくださいね」
(3)黒豆を半日間漬け込む
水気を切った黒豆を煮汁に入れ、ふたをしてそのまま半日間漬け込みます。
「煮汁は沸騰後、ひと息置いて冷まし、60℃くらいがベストです。半日間しっかり漬け込むことで、この後で煮る時間を短縮できるんですよ」
(4)弱火で3時間煮る
半日間漬け込むと、黒豆が煮汁を吸ってふっくら大きくなっています。それでは、いよいよ煮ていきましょう!
中強火で加熱して、沸騰したら火を弱めます。お玉の背でアクを寄せてすくい取り、ペーパーをかぶせて落としぶたをします。このまま3時間煮てください。
「黒豆が空気に触れるとしわが寄りやすいので、煮ている間に時々鍋の中を確認し、黒豆が煮汁から顔を出していたら、黒豆が浸かるまで水を足してください。完全にふたをすると吹きこぼれやすいので、ふたは少しずらしておいてくださいね」
1時間ずつ、途中で鍋の中身を確認しながら、計3時間煮てください。
(5)途中で水を足す
2時間半経ったあたりで鍋の中を確認したら、煮汁が少なくなっていました。
「黒豆が煮汁から出そうなので、水を足します。黒豆がかぶるまで、鍋肌からゆっくりと水を少量足します。ご自分の鍋の中身を確認しながら、水が少なくなっていたら足してくださいね」
(6)冷蔵室で1日置く
3時間経ったら、黒豆がやわらかくなったかどうかチェックします。やわらかく煮えていたら、そのままふたをして冷めるまで置いてください。
冷めたら保存容器に入れて、冷蔵室で1日置きます。
「黒豆を黒く仕上げるために錆びた釘を入れたり、皮をやわらかくするために重曹を入れたりする場合もありますが、今回は家庭用なのでどちらも入れていません。それでもしっかり漬け込むとだんだん黒い色が濃くなって、ツヤツヤの黒豆になりますよ。1日しっかり漬け込んでくださいね」
(7)できあがり!
冷蔵室で1日置いたら完成です。冷蔵で1週間を目安に食べ切ってください。冷凍保存する場合は1か月が目安。保存袋などに入れて平らにし、煮汁を減らして冷凍すればOKです。
見るからにつややかでおいしそう。一粒食べてみるとふっくらとやわらかくて驚きました! 市販の黒豆は甘さが濃いものもありますが、これは砂糖控えめで甘すぎないので、ほどよい甘味。その分、豆の旨味や風味をしっかりと感じます。気付くと一粒、もう一粒と、ついつい箸が進んでしまうおいしさです。
「私の料理教室でも大好評で、甘すぎないからずっと食べられる、子どもも喜んで食べてくれた、ふっくらツヤツヤの黒豆がこんなに簡単にできてビックリ! などなど、生徒さんからたくさんの感想をいただきました。
余ったら栗きんとんに入れたり、お菓子のトッピングにしたり。抹茶マフィンやホットケーキに混ぜるなど、スイーツとの相性も抜群です」
確かに作業は簡単なので、これなら作れそう! 甘すぎないのでお酒のおつまみにもおすすめです。ぜひ、今年は手作りしてみてくださいね。
次回は、お正月のお楽しみ「数の子」を紹介します。
取材・文/岸綾香
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『野菜丸ごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu