薄く叩いた肉に香草パン粉をまぶしてカリッと揚げる
nullイタリア料理のひとつである「ミラノ風カツレツ」とは、そもそもどういった料理なのでしょうか?
「イタリアでは仔牛の肉を薄く叩いて伸ばし、ハーブや粉チーズを混ぜたパン粉をまぶして、カリッと揚げたカツのことを言います。日本では仔牛肉は手に入りにくいので、とんかつ用の豚ロース肉で作ることが多いですね。薄く叩いてから揚げるので、カリッとサクサクの食感。パン粉自体に味がついているので、レモンをギュッと搾って食べると絶品ですよ!」(以下「」内、小野さん)
日本のとんかつとはひと味違って、一体どんな味わいなのか気になりますね! 早速作り方をチェックしてみましょう。
【材料】(1人分)
豚肩ロース肉(とんかつ用)・・・1枚(150g)
塩・・・少量
こしょう・・・少量
薄力粉・・・大さじ1
卵・・・1個
パン粉・・・50g
粉チーズ・・・大さじ1
バジル(乾燥)・・・小さじ1
揚げ油・・・適量
バター・・・大さじ1
葉野菜・・・適量
ミニトマト・・・適量
レモン・・・適量
【作り方】
(1)豚肉を叩いて薄く伸ばす
「豚肉は、厚切りのとんかつ用肩ロース肉がおすすめ」と小野さん。まな板に豚肉を置いたら、豚肉の上にラップをかけ、麺棒で叩いて1.5倍くらいの大きさにします。麺棒がない人は、空き瓶にラップを巻いて叩いてもOKです。
(2)豚肉の筋を切る
薄く伸ばしたら、豚肉の筋切りをします。基本、白い脂のところに包丁で切れ目を入れればOK。裏面も同様に行います。
「筋切りをしないと、揚げたときに豚肉が丸まってしまいます。筋切りをしておくと、平らでキレイに揚がりますよ」
筋切りをしたら、両面に塩、こしょうを振ります。レモンを搾ってシンプルにいただくので、下味はしっかりめにつけておきましょう。
(3)パン粉をつける
薄力粉→卵→パン粉の順で衣をつけます。小麦粉は薄力粉以外でも何でもOK。卵はフォークを使って溶いておきます。パン粉には粉チーズと乾燥バジルを混ぜておきます。
「今回はバジルを使いましたが、ローズマリーやオレガノなど、好みの乾燥ハーブを使ってください。手で軽くもんでパン粉を潰すようにして、全体を混ぜ合わせておきましょう」
準備ができたら豚肉の両面に薄力粉を付け、余分な粉をはたいて落としてから、卵液を両面に付けます。ギュッと押してパン粉をしっかり付けてください。
(4)格子状の模様を入れる
パン粉をしっかり付けたら、揚げる前に包丁の背を押し付け、豚肉の表面に格子状の模様を両面に入れます。
「これがカリッと揚げるポイント! 格子状の模様を入れると、豚肉に早く火が通り、油の切れもよくなってカリッと揚げることができます」
(5)豚肉を揚げる
今回はフライパンで少ない油で揚げ焼きにします。フライパンの底が埋まるくらい揚げ油を入れ、強火で熱します。パン粉を少量入れ、軽くシュワーッとなったら油が温まったサイン。豚肉を入れ、中火でカラッと揚げていきます。
「ここでバターも投入。フライパンを軽くゆすって、肉を動かしながら揚げてください。こうすると少ない油でも揚げムラを防ぐことができますよ」
こんがりと焼き色が付いたらひっくり返し、裏面を焼きます。油が少ないので、油が届きにくい豚肉の中央には、スプーンで油をかけてください。
カリッと揚がったら、カツを縦にして油をしっかり切ってから、ペーパーの上にのせて余分な油を取りましょう。
(6)レモンを添えて、できあがり!
野菜を添えた皿にカツを盛り付け、くし形切りにしたレモンを添えます。食べる前にレモンをギュッとたっぷり搾っていただきましょう。
揚げたてを食べてみると、外はカリッ、サクッ。噛み締めると中はジューシー! 粉チーズの塩気とハーブの香りがしっかりパン粉についているので、レモンを搾るとちょうどいい味わい。キリッとしたレモンの酸味で味が引き締まり、サクサクのカツをより一層おいしくしてくれます。これはごはんのおかずにも、ワインのおつまみにもいいですね!
「カツが薄いので、少ない油で揚げられるのもうれしいですね。油は米油やひまわり油を使うと、よりカラッと揚げることができますよ」
今回は1人分の分量ですが、叩いて伸ばしているのでボリュームも満点。家族の人数に合わせて、ぜひ作ってみてください。
次回は、秋冬におすすめの一品を教えてもらいます。
【取材協力】
小野宗隆
軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。
取材・文/岸綾香