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「電池」は工具箱にしまわないで!知っていると安心な「電池の選び方」と「正しい使い方」を聞きました

私たちの生活になくてはならない「電池」ですが、正しい選び方と使い方をご存知ですか? よく知らないまま使っていると、実は思わぬところに危険が潜んでいるかもしれません。そこで改めて、電池の専門家である『電池工業会』の長谷洋志さんに教えていただきました。

電池にもポテンシャルがある

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身近な電池といえば「アルカリ乾電池」です。

「電池」とは、光や熱、化学反応などのエネルギーを電気に変換する装置です。その中でも「化学電池」という電池には、使い切りの「一次電池」と、充電して繰り返し使える「二次電池」など、大きく分けて約40種類もあります。

今回、詳しく聞くのは主に「一次電池」について。リモコンや懐中電灯など、身近な家電製品に入れる「単三電池」や「単四電池」などのアルカリ乾電池です。

国産メーカーのものは、蓄えたエネルギーを無駄なく使えて、より長持ち

筆者が愛用している電池の一つが『無印良品』のアルカリ乾電池。

そもそも「単三電池」といっても、安価なノーブランドのものから国産メーカーのものまで、さまざまあります。見た目には同じように感じますが、何かちがうのでしょうか?

「まず、国産メーカーのものは、JIS規格(ジス/日本産業規格)やIEC規格(アイイーシー/国際電気標準会議)などといった、製品の品質や性能を評価するための試験方法などが定められている規格にのっとって、決められた寸法で作られています。

なおかつ、さまざまな機器で使えるように、材料の反応性を高める技術を開発するなどして、高い技術力が詰め込まれているんです。だから国産メーカーのものは、蓄えたエネルギーを無駄なく使えて、ノーブランドのものより長持ちと言えるでしょう。

安価なものは、短寿命や液漏れのリスクもあることを知っておこう

一方で安価なノーブランドのものは、JIS規格やIEC規格にのっとっていないものもあります。そのため短寿命であったり、液漏れのリスクがあったりするのではないかと考えられます。より長持ちする電池を作るには、適切な材料や工法も必要です。だから異常に安いということは、材料や工法が規格にのっとっていない可能性もあるのでは」(以下「」内、全て『電池工業会』長谷洋志さん)

ただ、安いからだめとは一概には言えない、とも。

「お使いになる方の考え方にもよると思います。ただ、たとえば大切な機器の場合は、やはり信頼できる電池にすることをおすすめします。また、電池の液漏れは、ショートする可能性や皮ふにつくと危ないといった面もあるので、安いものにはリスクがあることも知ってお使いになるとよいでしょう」

電池の正しい使い方

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安心・安全に使うためにも、「電池の正しい使い方」も教えていただきました。

1:電解液がついたらすぐに洗い流す

まずはなるべく早くにきれいな水で洗い流しましょう。画像提供:電池工業会

電池は、正しく使用しないと液漏れを起こすことがあるそうです。

「アルカリ乾電池は、中に電解液と呼ばれるアルカリ性の物質が入っています。これが皮ふにつくと、化学やけどを起こしてしまいます。もし、電池から漏れた液が皮ふや衣服についたら、きれいな水で洗い流しましょう。万が一、目に入った場合は、すぐにきれいな水で洗い流し、医師の診察を受けてください」

また、一度液漏れした電池はショートする可能性があるため、使わないようにしましょう。

2:プラス(+)とマイナス(−)を正しく入れる

プラス極とマイナス極が正しく入っているか、必ず確認を。

プラス(+)とマイナス(−)を逆にすると、筆者は単純に機器が作動しないだけでは?と思っていましたが……。

「使用する機器によっては、プラス(+)とマイナス(−)を逆にしても機器が動作する場合があります。また、オンオフに関わらず電池が充電されるケースも。必ずプラス(+)とマイナス(−)を確認して、正しく入れてください」

3:同じ種類、同じ時期に開封した電池を使う(古いものと混ぜない)

古い電池が新しい電池に引っ張られてくたびれてしまいます。画像提供:電池工業会

使いかけの古い電池と新しい電池を一緒に使うと、古い電池が新しい電池のパワーに引っ張られ、無理やり使うような状態に。古い電池の液漏れにつながるそうです。

「取り替える際は、かならず全ての電池を新しいものに交換してください。同じときに購入した、同じメーカーのものでそろえると安心でしょう」

4:長い期間使わないときは取り出す

長い間使わない場合は、電池を取り出しておきます。
ただし防災用品など、万が一の際に電池が使えないと困ってしまう場合は、新品と一緒に保管を。

スイッチを切っていても、機器の中の電池はわずかな電流が流れて少しずつ消費していく場合があるそうです。

「電池の残量がなくなった後もこの状態が続くと、電池に負担がかかって液漏れが起こりやすくなります。長期間使用しないときは、電池を取り出してください。
取り出した電池は、個別にケースに入れるなどして、ショートしないように注意しましょう。

たとえば、災害用に防災リュックに備えている懐中電灯やヘッドランプなどは、新品の電池をパッケージのまま一緒に袋へ入れるなどして保管しておくといいですね。パッケージのままなら、ショートする心配もありません」

5:入れっぱなしのものは、定期的に電池交換をする

電池が入れっぱなしの機器、案外ありました。リモコン、時計、おもちゃなどなど。

時計やリモコン、ワイヤレスマウスなど、スイッチのない機器に入れっぱなしの場合。つねに弱い電流が流れ、電池が消耗しているそうです。電池の残量がなくなったあともこの状態が続くと、電池に負担がかかって液漏れが起こりやすくなるのだとか。

「機器の動作が不安定だと感じたら、電池の消耗が疑われます。早めに電池交換しましょう。放ったらかしにしていると、いつの間にか液漏れして機器が壊れる可能性もあります。

もしくは、定期的に電池の外観的な変化をチェックするのもおすすめ。たとえば季節の変わり目や、月が変わるごとなど、負担のないペースでOKです」

6:ショートさせない

濡らしたり、衝撃を与えたりしないしないでくださいね。画像提供:電池工業会

「ショート」とは、大きな電流が流れたり、過放電されたりしてしまう状態のこと。液漏れをはじめ、発熱や破裂、さらには発火するおそれも!

「電池をネックレスやヘアピン、コイン、鍵などの金属製品と一緒に持ち運んだり、保管したりしないでください。金属は電気を流すため、電池のプラス極とマイナス極に金属がふれるとショートすることがあります」

筆者は工具箱に電池を保管していましたが、これも危険なんだとか。金属同士ががちゃがちゃ触れることで、傷がついたりショートしたりする可能性があると、長谷さんは言います。

「新品でパックに入っていても、濡れたり、高い場所から落としたり荷重がかかったりするなどして衝撃が加わるのも危険。ショートやさび、変形などのリスクがあります」

今一度、電池の保管方法もチェックしたほうがよさそうです。

7:使い終わったら、すぐに外して捨てる

入れっぱなしになっているケース、ありますよね。

古いおもちゃやカメラなどに、切れた電池を入れっぱなしにしたままにしていませんか? 実はこれも危険なのだとか。

「使い切った電池をそのまま機器に入れておくと、液漏れなどを起こして機器を傷めることになります。使い切ったら電池は取り出して処分してください」

電池を安心・安全に使おう

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信頼できる電池選び、そして正しい使い方を知り、便利な電池をより安心・安全に使いましょう! 次回は、万が一に備えた「電池のストック方法」について、『電池工業会』長谷さんに伺います。

【取材協力】
電池工業会

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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