普通のつっぱり棒では、全く地震対策には意味がない
null「つっぱり棒」を主力とする日用品メーカー『平安伸銅工業』。その三代目代表取締役である竹内香予子さんは、つっぱり棒のスペシャリスト「つっぱり棒博士」「つっぱり防災士」として、正しい使い方や活用術などをさまざまなメディアで情報を発信しています。
今回は竹内さんに、つっぱり棒の防災への活用法をうかがいました。
「まず最初に、普通のつっぱり棒を取り付けても全く効果はありません。地震対策には、それ専用に作られた商品を使用してください」(以下「」内、竹内氏)
耐震用でない、普通のつっぱり棒でも地震対策ができると勘違いしている方も多く、とても心配だと話す竹内さん。
「普通のつっぱり棒は、揺れとともにスコーンと抜けてしまいます。どれだけ力強くつっぱっていただいても、地震対策にはならないのです」
実際の耐震性能検証レポート動画にもわかるように、防災用には専用のつっぱり棒を使うべきなのです。
防災用つっぱり棒「耐震ポール(家具転倒防止ポール)」は家具のどこに取り付ける?
null平安伸銅工業からは、「耐震ポール」という地震対策専用のつっぱり棒が発売されています。
耐震ポールも、通常のつっぱり棒と同様に、取り付け方を正しく行わなければ効果は発揮されません。
「耐震ポールは、家具の前倒れを防止するのに効果が出るものです。取り付ける際には、必ず1つの家具に対して2つセットで取り付けるようになっています。壁側に接した部分に取り付けすることによって、家具の転倒を防止することにつながります。
ですが、間違って家具の前側、扉がついている側に取り付けられても、効果は半減してしまうのです」
他にも、真ん中に1本だけ取り付けたりする方もいるとのことですが、それも間違った使用法です。しっかりと家具の後ろ側に2本取り付けて、耐震ポールが実力を発揮できるようにしましょう。
家具を置く場所にも注意が必要
nullまた、耐震ポールは、“壁に密着して設置された家具の前倒れを防止する商品”として作られているんだとか。
「例えば、空間を仕切るような形で、部屋の真ん中に置かれているような家具となると、効果が半減してしまいます」
全く効果がない訳ではないものの、最大の効果は得られないと言います。
「万が一家具が倒れたとしても、致命傷にならないような位置に家具を設置することは大切です。絶対に倒れないという保証はないのです。
例えば、寝る場所の頭の側には、大きな家具は置かないとか、避難経路を塞ぐような場所には大きい家具を置かないとか……。そのような、基本的な対策をした上で、耐震ポールなどで家具固定をしていただけたらと思います」
耐震ポールをつっぱる場所もチェックしよう
null普通のつっぱり棒を設置する際に、つっぱる相手である壁にも強度が必要なことを、以前の記事でご説明いただきました。
それは耐震ポールでも同じだと言います。
「つっぱる天井側にも注意が必要です。下地がある強度の高い場所につけなくては、揺れと同時に天井を突き破ってしまいます。
それが難しい場合には、家具の上部と同等の大きさの、当て板を天井と耐震ポールとの間に挟むといいです」
そうすることで、当て板のどこかが野縁(下地)に接するため、強度を増すことができるのです。
「さらに『耐震ストッパー(家具転倒防止マット)』を併用すれば、より効果が得られます」
【まとめ】地震対策につっぱり棒は使える?
null・地震対策専用の「耐震ポール」等のつっぱり棒を使うこと
・普通のつっぱり棒を使っても、全く効果がない
・家具の設置場所も、万が一倒れても安全なところにしよう
・耐震ポールは強度のある天井に設置しよう。もしくは当て板で補強を
・耐震ポールと耐震ストッパーを併用するとさらに効果UP
竹内香予子(たけうちかよこ)さん
つっぱり棒業界のトップシェアメーカー「平安伸銅工業」の三代目代表取締役。
つっぱり棒博士、整理収納アドバイザー、つっぱり防災士としても活躍。
さまざまなメディアでつっぱり棒の魅力を発信。
若い世代やインテリア好きなユーザーを意識して開発した「ラブリコ」や「ドローアライン」など、これまでのつっぱり棒の常識を覆す商品でも注目されている。
【取材協力】
DCM DIY place、平安伸銅工業
秋田生まれ。高校卒業後ドイツの大学の舞踊科へ。以後、海外を10年以上放浪し、現在は東京在住。ライターの他、ヨガインストラクターや振付家などもしている。