クルクル回して取り付けるのは間違い!
null“つっぱり棒”“つっぱり棚”などの収納用品を開発している平安伸銅工業。その三代目代表取締役であり、つっぱり棒博士、整理収納アドバイザーとしても活躍している竹内香予子さんにお話をうかがいました。
まず、つっぱり棒には種類が2種類あるとのこと。100円均一ショップなどでも見かける、比較的リーズナブルで取り付けやすい「ばね式」、そしてホームセンターなどに売っており、より耐荷重を重視した「ジャッキ式」です。
ばね式はクルクルと回しながら壁に取り付けるイメージですが……これがなんと、間違った方法だと言うのです!
「クルクル回して取り付けるやり方だと、圧着力が足りず充分に力を発揮できません。何かの弾みで、簡単に落ちてきてしまうでしょう。NGなやり方です」(以下「」内、竹内香予子さん)
「正しくは、取り付ける幅よりも数センチ長く伸ばし、伸ばした方のパイプを壁に当てて、ばねを押し縮めながら水平に取り付けるんです」
このように取り付けることで、ばね式の本来の強度が発揮できるのだとか。
ジャッキ式は貫通するまで締めよう
null続いてジャッキ式の正しい取り付け方を教えていただきました。ジャッキ式は、まず長さ固定ネジを緩め、細い方のパイプを突っ張る面まで引き出し、固定ネジを締めます。ここで気をつけたいポイントが……。
「長さ固定ネジを、ネジがしっかりと貫通するまで締めるのが重要です。これが結構固いので、少し固さを感じたところで締めるのをやめてしまう方もいます。
貫通する前に締めるのをやめてしまうと、しっかりと固定されず、落ちてくる原因に。必ず貫通させましょう」
貫通させたあとは、パイプの端のグリップを回して突っ張ります。
「物を乗せる振動でジャッキは少しずつ緩んできます。月に1回くらいジャッキをチェックして締め直すのが理想的です」
つっぱり棒の実力を過信しないで!
null竹内さん曰く、つっぱり棒が本来持っている以上の実力を求めている方も多いのだとか。特にばね式は、基本的には軽い物だけ載せるべきとのこと。
「つっぱり棒の実力を過信している方は多いです。例えば、ばね式に洗濯物を載せたり、コートハンガーがわりにしたりするのは、本来の実力以上を求めていることになります」
そのような重い物を載せる場合には、ジャッキ式を使うのがおすすめ。さらに洗濯物のような重たい衣類は、ジャッキ式の中でも、できるだけ太い物をチョイスして欲しいとのことです。
「他にも、耐荷重1kg程度のつっぱり棒に“1kgなら傘3本くらいかな……”と考えて乗せてしまうのも、つっぱり棒の実力以上の行為です。乗せるときの振動も加わってきますし、お子さんがいる家庭では、お子さんが引っ張ったりする可能性も考慮しないといけません。余白がない状態で使うのではなく、余裕を持たせて使って欲しいですね」
例えば、ばね式の耐荷重1kg程度のつっぱり棒に対しては、ストック用のトイレットペーパー、ランチョンマット、靴下を入れた軽いカゴ……などが適しているといいます。
つっぱる場所にも注意が必要!
nullつっぱり棒を取り付ける時には「壁に垂直」「床と並行」そして「キャップをしっかり壁に当てる」ことが鉄則。しかし、突っ張った壁が弱いと、歪んでしまったりすることも……。
「日本の住宅は、壁の裏に支えとなる木材が設置されています。その木材がある場所に突っ張るようにしましょう。裏に何もない壁の場合、突っ張る力によって壁が歪んでしまうこともあります」
壁をコンコンと叩くと、音の違いで支えがあるかどうか分かるとのこと。市販の下地センサーを使って調べることも可能だといいます。
また、壁の素材も重要ポイントなのだとか。壁面の凸凹が大きい素材の場合は、キャップと設置面との間に隙間ができるため、摩擦力が低下して強度が落ちてしまうとのこと。
「他にも、凹凸の模様がある壁紙の場合は、突っ張る力によって、凹んでしまうこともあります。そんな時は、当て板をして力を分散させると、少しは凹みが軽減されます」
漆喰や土壁も、突っ張る力に負けて割れたりすることがあるので、設置面としては選ばない方がよいそうです。
【まとめ】つっぱり棒の正しい使い方
null- ばね式をクルクル回して取り付けるのはNG
- ジャッキ式は固定ネジを貫通させる
- バネ式にはなるべく軽い物を、重い物はジャッキ式を
- つっぱり棒の実力を過信しない
- 「壁に垂直」「床と並行」「キャップをしっかり壁に当てる」のは鉄則
- 裏に支えがある、強い壁を設置面に選ぼう
意外と間違えがちな、つっぱり棒の取り付け方。用途に合った物を選んで正しい方法で設置し、これからはつっぱり棒を落とさないようにしましょう!
竹内香予子(たけうちかよこ)さん
つっぱり棒博士。整理収納アドバイザー。
つっぱり棒業界のトップシェアメーカー「平安伸銅工業」の三代目代表取締役。さまざまなメディアでつっぱり棒の魅力を発信している。若い世代やインテリア好きなユーザーを意識して開発した「ラブリコ」や「ドローアライン」など、これまでのつっぱり棒の常識を覆す商品でも注目されている。
取材協力/DCM
秋田生まれ。高校卒業後ドイツの大学の舞踊科へ。以後、海外を10年以上放浪し、現在は東京在住。ライターの他、ヨガインストラクターや振付家などもしている。