日ごろから地域に寄り添い、「お隣さん」のような存在に
nullトイレットペーパーや洗剤、農園芸用品、DIYやキャンプなど趣味のグッズ、ペット用品、水、薬や食品など。日ごろから、最寄りのホームセンターにお世話になっている子育て世代は多いはず。
私たちが頼りにする一方で、ホームセンターも地域の人たちに必要とされることが大事と『カインズ』は考えているそう。だからこそ、オンラインショッピングが珍しくなくなった今でも、その多くはリアル店舗を大切に。地域の安心安全を守る存在を目指しているのだとか。
「その一つとして私たちが取り組んでいるのが『くみまち構想』です。これは、日頃から地域の困りごとやニーズに、それぞれの地域で働く『カインズ』の従業員が丁寧に耳を傾け、地域の皆さまに必要としていただく。そして、学校や商店街、自治体などとも連携して、ハブになれたらという考えです」(以下「」全て、『カインズ』広報・宮田健義さん)
困りごとがあった場合に「お隣さん」のように頼ってもらえるよう、地域とのよりよい関係性をつくることは、多くのホームセンターが大事にしているポイント。中でも『カインズ』は、防災・災害対策に注目し、災害関連の協定を締結するなど、全国の自治体とさまざまな取り組みを進めているそうです。
ホームセンターには「もしも」への備えがそろっている
null2011年3月に発生した東日本大震災で『カインズ』の店舗も従業員も甚大な被害を受けたといいます。それに加え、これまでの地域の困りごとに寄り添ってきた経験をいかし、現在では幅広い防災への備えをしているそう。
これらの他にも、スマホ充電の場の提供、駐車場での行政支援物資の配給(場の提供)、雇用創出、AEDの設置など。こうした備えは、全国各地のホームセンターでも見かけます。この機会に、最寄りのホームセンターをチェックしておくと安心ですね。
非常食は最低でも3日分、できれば7日分の備えを
null今年は関東大震災から100年目ということもあり、多くの人たちが改めて災害対策を考え直すきっかけになっている、と宮田さん。
「それぞれのライフスタイル、考えに合わせて準備していただければよいですが、基本となるのが非常食は最低でも3日分、できれば7日分の備えをしておくこと。ライフラインが復旧し、国からの支援物資が届くまでには3日かかるといわれています。地域や状況によってはさらにかかる可能性もあるので、可能であれば1週間程度自走できるとよいですね」
一人分の食品備蓄例
これらは一人分で用意しておきたい備蓄食品の例です。家族の人数や年齢、好みなどに合わせてアレンジしてみましょう。
- 飲料水 9リットル(1日3リットル)
- 保存缶 2食
- ごはん(アルファ米) 5食分
- 即席麺 2食
- レトルト食品 7食分
おすすめ防災対策&グッズ
null2023年2月の調査によると、防災備蓄品を準備していないという人の割合は、全体のおよそ3割を占めるそうです。備蓄していない理由のトップは「どんなものを買っていいかわからない」が34.8%で最多。次いで「置く場所がない」という声も。
「まずはかたちからでよいので、少しずつ備えてみましょう」
1:乳幼児・子どもがいる場合の非常時持ち出しリスト
子育て世代が備えるべきは、子どものもの。大人なら我慢できることも子どもは難しい場合も多く、乳幼児ならなおのこと。
「食べなれているおやつはローリングストックで切らさない工夫を。また、食べなれているおやつでも、保存期間の長いタイプも備蓄におすすめです。避難時は何もしない時間が長いので、お気に入りのおもちゃも災害時の持ち出しリストに入れましょう」
- 水(軟水)
- 粉ミルク、哺乳瓶、離乳食(ベビーフード)
- 子ども用のおやつ
- 抱っこ紐
- おむつ
- おもちゃ
- 母子手帳のコピー
2:一人ひとつ「防災バッグ」
食べ物や水以外に、何を準備したらよいのか迷う場合は「防災バッグ」を準備しましょう。
「第一次避難に必要な避難所で役立つ商品を集めた防災バッグは、一人ひとつ準備して、いつでも持ち出しやすい場所に置いておくと安心です」
3:普段から日持ちする食べ物と水をローリングストックする
レトルト食品や缶詰など、普段の食事にも活躍する食品をストックしておくのも防災対策の一つ。万が一のときにも慌てずにすみますし、食べなれていることでこころが安らぐという一面も。賞味期限が早い順に食べながら、ストックしながら、ローリングストックしておきましょう。
また、宮田さん曰く、やはり非常食はあると便利だそうです。
「非常食は、できれば水がなくても食べられるものを中心に。購入時に水やお湯は必要か、温める必要はなど、確認もしておくとよいです。アウトドアがお好きな方は、登山用の食品や道具なども役立ちますね」
非常食+非常食でおいしいメインディッシュ
「お湯か水を注ぐだけで簡単に作れるごはんと、そのままでも温めてもおいしいレトルトカレーがあれば、メインディッシュが出来あがります」
非常食にひと工夫でおやつも作れる
「長期保存ができるパンに、チョコレートやキャラメルのシロップをかけるだけで、おいしいおやつになります。パンはそのまま食べれば軽食にもなりますし、お子さんもよろこばれると思います」
4:防災用品を入れた収納ケースを点在させる
日頃から生活用品や衣類などをしまっておく収納ケースは、ローリングストックや防災用品の収納にもおすすめ。また、収納方法にもちょっとしたコツがあるそうです。
「1箇所にまとめておく方もいらっしゃいますが、浸水した・倒壊したなどで立ち入れなくなった際に、一箇所にしか保管がない場合、そこが被災すると何もなくなってしまいます。可能であれば、場所に応じたサイズ、形の収納ケースを活用して、複数箇所に防災用品を準備しておきましょう」
「また、車で被災したことを想定して、車の中にも防災用品を積んでおくこともおすすめします。被災時は、状況によって車中泊をするなど車が避難所のようになる場合があります」
5:家具の転倒・飛び出し対策をしておく
棚や冷蔵庫、テレビなど、震災が起こると大型家電が倒れる場合があります。近頃では、インテリアの邪魔をしない、目立ちにくいタイプも豊富です。
「家具の下に敷くだけで安定感を生み出せるパットや耐震マットは、棚やテレビの転倒防止におすすめです。また、家具や天井を傷付けずに、ジャッキの力で固定できる転倒防止ポールも、大型家具や長時間過ごすことの多い居間・寝室などの家具の固定に使うと安心でしょう。ねじや釘は使わないので、賃貸の場合でもお使いいただけます。
あとは、赤ちゃんが開戸を開けて中のものを出すいたずら予防にもなるキャビネットロックは、防災にもおすすめ。食器棚の開戸に取り付けると、中のものが飛び出すのを防ぎます」
6:一人当たり1日20リットルの水を確保できるようにしておく
洗面、手洗い、歯磨きなど、飲み水以外にも水は様々な機会に使い、その量は一人当たり1日に約20リットルにもなるそうです。
「ポリタンクはかさばりますが、折りたたみ式なら、備えに入れておいても邪魔になりにくいです」
7:トイレの備えもお忘れなく
「意外と見落としがちなのが、トイレへの備えです。一般的に、排尿の回数は、1日に5~7回くらいと言われています。たとえば4人家族で1日避難する場合、30回分の非常用トイレがあれば安心して過ごせるでしょう。仮設トイレがくるまでをしのぐためにも、用意しておくのをおすすめします」
宮田さんによると、地震を始め、浸水時もトイレが使えなくなる可能性が高いのだとか。
「とくにタワーマンションは問題になりました。大雨で床下浸水している場合、下水道や浄化槽、1階の床下 にある排水管の中は満水です。その際に、水洗トイレに水を流すと汚水は行き場がなく、どこかから溢れます。その有力候補が下階の便器なんです。とくに1階の便器はリスクが高く、汚水が便器から跳ね出すこともあります」
8:3日程度しのげるモバイルバッテリーは必須!
ライフラインが止まる可能性もありますし、必要な情報を得るためにもスマホは欠かせません。
「モバイルバッテリーも、一人ひとつあると安心です。こちらはスマートフォン3回分フル充電できる大容量なのに薄型で持ち運びしやすい仕様で、残量が一目でわかるLEDインジケータ付きです」
9:心身が健やかでいるためにも眠りを確保
避難所では毛布などが配布される場合も多いですが、熊本の震災では毛布が不足した事例も。自分のことは自分でが基本です。
「短期宿泊に活躍する簡易寝袋があると、よりよいでしょう。すでにある寝具と合わせると、冬場などは防寒効果も期待できます」
防災とひと口にいっても様々で、家族の数だけ備えの数があるといっても過言ではありません。だからこそ、まずは基本的なことを知ることも大事。今回、宮田さんから教わったアイディアやグッズは、きっと活躍するものばかり。この機会に見直して、備えてみませんか?
宮田さん、ありがとうございました!
【取材協力】
カインズ
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote