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フライパンで「ふっくらアジの塩焼き」!丁寧な下処理がポイントです【パパッと魚料理#5】

健康のためにも週に何度かは魚料理にしたいけど、魚焼きグリルを使うと後片付けも大変だし、なかなか手を出せない。そんな人も多いのではないでしょうか。

「もっと気軽に魚を毎日の献立に取り入れてほしい!」というわけで、料理家の神田えり子さんに、手軽にフライパンで作る「魚料理のコツ」を教えてもらう連載です。

アジは手頃な価格で、栄養価も高い食材。数あるレシピの中でも、塩焼きは下処理さえできれば、意外と簡単でおすすめです。おまけで「薬味たっぷりだし茶漬け」へのアレンジレシピも。

外はこんがり、中はふっくら「アジの塩焼き」

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フライパンで作る「魚料理のコツ」シリーズの第5回。今回は「アジの塩焼き」をご紹介します。

コツを押さえて外はこんがり、中はふっくらと焼き上げ、アジの旨味をシンプルに味わいましょう。塩焼きには15cmほどの長さの「真アジ」が向いています。

今回使ったフライパンはこちら

直径26cmのテフロン加工のフライパンを使用します。普通サイズのアジなら2尾いっぺんに焼くことができます。

 

【材料】(2人分)

  • アジ 2尾(1尾150〜200gくらいのもの)
  • 塩 小さじ1(6g)
  • 大根おろし 適量
  • レモンなどの柑橘 適宜
  • 青じそ 適宜
  • しょうゆやポン酢しょうゆ 適宜

【コツ1】ゼイゴ→ウロコの順で下処理する

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まずは、アジをさっと洗い、包丁も濡らしておきます。この一手間で、包丁に付いたウロコが後から洗い流しやすくなります。

この後、皮付きの魚を調理するときは「ウロコ取り」をしますが、アジの場合は先に「ゼイゴ取り」をします。「ゼイゴ」とは、尾から腹の中央にある5cm程度長さの硬い部分のこと。付いたままだと、口当たりが悪く、食べづらいので包丁を寝かせて尾から中央に向けて薄く切り取ります。

このとき、刃をほんの少し上向きにすると身をたくさん削ることが避けられます。ゼイゴは頭の方までカーブして続いていますが、特に硬く、まっすぐ付いている部分だけ取れば十分です。

その後、尾側から頭側に包丁の背をあてて動かし、背や腹の下も忘れずに、全体に付いたウロコを取ります。ゼイゴを残したままウロコを取ると、ゼイゴがとても硬いため包丁を傷めてしまうことがあります。下処理はゼイゴ→ウロコの順にするのがおすすめです。

また、ウロコは飛び散ることもあるので、気になる方はまな板の下に新聞紙を敷くなどすれば安心です。ウロコ取りをしたら真水でさっと洗います。ため水でも、流水でも構いません。

【コツ2】エラを取って臭み軽減

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今回のように頭付きで調理する場合、頭の下にあるエラには汚れが溜まっていて、臭みの原因になるので、取り除きます。

エラぶたを持ち上げ、引っ張れば取り出せます。

その後、まな板に腹を手前にして、右利きの人は頭を右に、左利きの人は頭を左に置きます。

頭の付け根に、包丁を寝かせて刃先を入れ、腹の穴(肛門)のあたりまで切り込みを入れます。

中のワタを刃先でかき出したら、中骨の周りの黒っぽい血合いを刃先でこそげ取ります。

血合いは完全には取れないので、さっとで構いません。こうすると、苦味だけでなく生臭みも取れ、より食べやすくなります。

ワタを取ったら、あらかじめペーパーで汚れを拭き取ってから、できれば3%の濃度の塩水(水500mlに対し塩大さじ1程度を入れて溶かす)でしっかり洗った後、さらに真水でさっと洗います。

切り込みを入れた後は真水で洗うよりも、塩水の方が魚が傷みにくく、身崩れもしにくくなります。

洗ったら、外側も内側もしっかりとペーパーで拭き取ってください。

尾頭付きの魚は、頭が左、腹が手前に盛り付けることを考慮して、上になる面にだけ深さ5mmほどの切り込みを入れます。飾り包丁とも呼ばれ、斜めに1~3本、または「×」の形に入れ、火通りと見た目を良くします。

これで下処理の完了です。

数尾下処理するときは同時進行で!

複数尾を扱うときは、ここまで解説した下処理のそれぞれの工程で、全ての魚の分をまとめて行うのがおすすめです。

これを一尾ずつ下処理が完了するまで行うと、包丁やまな板の汚れが気になって洗う手間が増えたり、魚の置き場に困ったりします。ゼイゴを取るときは全ての魚の分を取る、次にウロコ取りを全てする……といったように進めると、効率よく処理できます。

頭を落としたいときは

26cm以上のフライパンならだいたいの真アジなら頭付きのまま入りますが、頭を落としたいときは、ゼイゴとウロコを取った後、胸ビレを持ち上げて斜めに包丁を入れます。このときエラも一緒に取れます。あとは、上記と同じようにワタを取って下処理をしてください。

【コツ3】塩は1尾に小さじ1/2!焼く10〜15分前にふる

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下処理が終わったら、塩をふります。一般的な真アジは1尾150〜200g程度。1尾につき、1%強の小さじ1/2(約3g)程度を全体にふります。

塩焼きはちょっとしっかり目の塩加減の方がおすすめですが、好みで調整してください。ただし、あまり多いと身がパサつく原因にもなるので気をつけてくださいね。

塩をふったら10〜15分ほど置きます。暑いとき以外は、室温で問題ありません。

すると、塩の浸透圧でうっすら水分がにじみ出てきます。この水分と一緒に臭みも出てくるので、塩を拭き取ってしまわない程度に、ペーパーで優しくトントンと拭き取ってください。

今回は塩味を効かせたいので、もし塩をたくさん拭き取ったようなら、軽くふり直してください。

塩は味付けだけでなく、こうした臭み取り、そして表面のタンパク質を固めて焼いた時にパリッとさせる作用があります。

【コツ4】フライパン用ホイルを使用すれば皮がくっつかない!

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今回はテフロン加工のフライパンを使用するので、そのままでもくっつきにくいのですが、さらに安心なフライパン用ホイルを使用します。

焼くときだけでなく、アジの塩焼きのような脂が出やすいものでも、あとの洗い物がささっと済む点でも楽ちんです。

フライパン用ホイルを使わない場合は、サラダ油を小さじ2程度ひいて焼いてください。

【コツ5】表8分/裏5分、蓋なし!触らずじっくり!

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フライパン用ホイルをひいたら、盛り付け時に上になる面から焼いていきます。先に焼く面の方が均一な焼き色が付きやすいためです。

下処理で切り込みを入れた面を伏せて並べてください。

火をつけるのは、並べてからでOK! 中火で30秒ほど加熱してフライパンが温まってきたら、弱めの中火で8分を目安に焼きます。

焼き色が付いたら裏返し、更に5分ほど焼いて火を通します。皮をパリっと仕上げるため、蓋はしません。何度も触ると皮が剥がれたり、身が崩れる原因になるので、ひっくり返すのは一度だけ! じっくりと焼きましょう。

火が通ったら、頭が左になるように盛り付け、大根おろし、好みでレモンなど好みの柑橘、大葉と一緒に盛り付けます。

皮がパリッとして、中はふっくら。箸が止まりません! 好みでしょうゆやポン酢しょうゆをかけて召し上がってください。

身をほぐしてアレンジ「薬味たっぷりアジのだし茶漬け」

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焼いたアジの身をほぐし、だし茶漬けにしてアレンジしても。薬味をたっぷり添えれば香り高く、絶品です。

【材料】(2膳分)

  • 温かいごはん 2膳分
  • アジのほぐし身 約1尾分
    <薬味>
  • みょうが(千切り) 1個
  • 青じそ(千切り) 6枚
  • しょうが(千切り) 15g
  • ごま 適量
  • わさび 適量
    <だし>
  • 熱湯 300ml
  • 白だし 大さじ2※または、だし汁300mlに酒小さじ2を入れてあたため、薄口醤油小さじ1、塩少々で味をととのえたものでも。

【作り方】

(1)温かいごはんを茶碗によそい、アジのほぐし身と薬味をのせる。
(2)熱湯に白だしを入れて混ぜ、(1)にかける。

 

アジは下処理さえできれば、実は扱いやすい魚。さらに、フライパンなら後片付けもラクなので、思っているよりずっと気軽に調理できます。

スーパーでおいしそうなアジを見かけたら、ぜひ今回の塩焼きを試してみてくださいね!

神田えり子
神田えり子

料理家・フードエッセイスト。
大学卒業後、広告代理店で営業として勤務。大手料理教室講師を経て、兵庫県宝塚市にて料理教室主宰。その後拠点を東京に移し、料理家活動を開始。旬の野菜を使ったおばんざいを得意とする。

レシピ開発、フード関連のエッセイやコラムの執筆のほか、イベントやテレビショッピング、企業Instagramへの出演、司会進行など幅広く活動。

KEITA・服部みどりとともに料理家ユニット<C (クレッシェンドシー) のメンバー。食品メーカーへのレシピ提供、食イベント対応なども行う。

著書「カラダよろこぶ オイルおにぎり」(辰巳出版)
Instagram:@erikocookingsalon
ブログ:https://eriko-kanda.com/

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