子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「映え」を意識する人にモヤモヤするのはなぜ?SNS時代「写真優先」は当たり前でしょうか

旅行先やレストランで、食事や風景よりもスマホのカメラに夢中な人をよく見かけます。「インスタ映え」「SNS映え」という言葉がすっかり定着した今では、そんな光景を当たり前のように見かけるようになりました。

一方で、「せっかくの体験を“画面越し”にしてしまうのはもったいない」「マナーが気になる」という声も。今回『kufura』では、20~60代の男女354人に「“映え”を意識する人へのモヤモヤ」について聞いたところ、さまざまな声が寄せられました。

観光地やレストランで撮影をする人たち、どう思う?

null

まず、観光地やレストランなどで動画や写真を撮っているインフルエンサーやインスタグラマー、ユーチューバーについて、どう思うかを聞きました。

周囲に迷惑をかけなければOK

マナーやルールを守り、周りに多大な迷惑をかけなればよい」(53歳男性/その他)
常識の範囲の撮り方なら気にならない」(67歳男性/その他)
騒いだりして、他人に迷惑をかけていなければ、問題なし」(47歳男性/総務・人事・事務)
周りの迷惑になっているときは不快感があるが、そうでなければ勝手にすればよいと思う」(53歳男性/その他)
彼らの仕事をしているだけなので、特に周りに迷惑をかけてなければ、格別気になりません」(60歳男性/学生・フリーター)

最も多かったのは、「マナーを守れば構わない」という意見でした。“SNS映え”は、すっかり一般的な文化になり、他人が撮影している光景にも慣れたという人が多いようです。ただし、その前提には節度や配慮があるということ。思いやりを欠いた行動には、やはり厳しい目が向けられます。

せっかくなら現地を楽しんでほしい

スマホで撮るのに一生懸命になりすぎないで、もっと現地を楽しんだらいいのにと思う」(53歳女性/その他)
写真撮るより食べて楽しめよ! 動画撮るより生で観て感動しろよ!」(54歳女性/その他)
撮影に夢中で周囲に目が行ってない様子の時、心配になる」(40歳女性/その他)
写真ばっかり撮って本当に楽しんでいるんだろうか疑問に思う」(49歳男性/その他)

撮影に集中しすぎて、その場の体験をおろそかにしているように見える……そんな“もったいなさ”を指摘する声も目立ちます。旅や食事は「その瞬間を味わうこと」が本来の醍醐味。スマホ越しでは伝わらない感動もありますよね。

美しい風景をカメラに収めたいという気持ちはわかります。

不快、恥ずかしいと感じる

何が楽しいのか分からない」(41歳女性/主婦)
自分の事しか頭にないんだなーと感じる」(38歳男性/その他)
承認欲求の塊だなと思う」(30歳女性/その他)
迷惑極まりない。せめて閉店後や店の休日などに店の人と話し合って撮影してほしい」(60歳女性/主婦)

「恥ずかしくないのかなと思う」「過剰な演出に感じる」といった意見も。“見せるため”の行動が過ぎると、周囲からは冷めた目で見られてしまうようです。そのような価値観の違いが、モヤモヤを生む一因になっているのかもしれません。

ワイングラス、高級料理ばかりをアップする人は何を承認してもらいたいのでしょう?

情報発信としては価値がある

インフルエンサーの写真投稿が、自分が画像検索した際に参考になるので気にしない」(52歳男性/公務員)
地元の観光地や隠れた名店を紹介することで、観光客や経済効果を生みだし、地域の魅力を広める力になっている」(68歳男性/研究・開発)

一方で、「役に立つ」「地域の魅力を広げてくれる」とポジティブに見る意見もありました。撮影がマナーを守って行われるなら、経済的にも文化的にもプラスだと感じる人も多いようです。

Instagramでレストランや旅先の情報を収集するのは今や当たり前。

多くの人が挙げていたのは、「迷惑をかけなければ自由」という意見。しかし「スマホ越しではなく、その瞬間を味わってほしい」という本音もありました。

では、自分自身の“映え意識”については、どう感じているのでしょうか? 次のアンケートでは、自身の撮影スタイルについて聞いてみました。

【あなたはどこまで“映え”を意識しますか?】

徹底的にこだわりたい・・・3.1%(11人)
記録として撮れればいい・・・22.3%(79人)
人に見せられるくらいで十分・・・25.1%(89人)
まったく気にしない・・・34.2%(121人)
撮りたくない派・・・13.6%(48人)
その他・・・1.7%(6人)

最も多かったのは「まったく気にしない」(34.2%)でした。「人に見せる」よりも「自分の記録」として撮影している人が多数で、SNS全盛の時代でも“映え優先”は少数派という結果に。

「徹底的にこだわりたい」と答えたのはわずか3.1%と、全体的には“誰かに見せるための撮影”よりも、“思い出を残すための撮影”を重視する傾向が見られます。
また、「撮りたくない派」も13.6%と一定数存在し、撮影そのものに疲れを感じる人も少なくないようです。

では、実際に“映え意識”の強い同行者が目の前にいたら、どう感じるのでしょうか。続いてのアンケートでは、リアルな場面での本音を探ってみました。

同行者が“映え”撮影をしていたらどう思う?

null

同行者がレストランや観光地でSNS用に写真をがっつり撮影していたら……それを見て、どう思うのでしょうか。

迷惑をかけなければ構わない

あまり長時間でなければ本人の意思を尊重する」(36歳男性/学生・フリーター)
常識の範囲だと思える程度なら問題ない。それ以上だとやめてほしいと思う」(53歳女性/主婦)
他人に迷惑をかけていないなら、多少は目をつむる」(35歳女性/その他)
マナーやプライバシーを守っていれば特に何も思わない」(30歳女性/その他)

「ほどほどならOK」とする寛容派が中心となりました。SNSでの撮影を時代の流れとして受け入れる人が多い一方、「長時間」「マナー違反」などはやはりNGラインのようです。共に過ごす時間を台無しにするような撮影には否定的で、マナーを守ったうえで楽しんでほしいという願いが感じられます。

食事や体験を大切にしてほしい

温かいものが冷たくなるようなら、やめて欲しいです」(41歳女性/営業・販売)
食事中は食事を楽しんでほしい」(60歳男性/総務・人事・事務)
ごはん冷めちゃうとかは嫌だけど、適度ならいいと思う」(44歳女性/主婦)
スマホでの撮影は程々にしてもっと現地を楽しもうよ」(53歳女性/その他)

食事シーンでの“映え優先”行動に違和感を覚える人が多く、「冷めてしまう」「一緒にいて落ち着かない」といった声もありました。体験を共有するはずの時間が、カメラの前だけの演出に変わってしまうのは、少しモヤっとしますね。

料理はアツアツのうちに撮ることで、素敵な写真に。

恥ずかしい・イラッとする

イラつく。見ないようにする」(55歳女性/主婦)
周りの迷惑になるし、同行者として恥ずかしいので、止めさせる」(61歳男性/会社経営・役員)
写真なら許せるが延々と動画を取るような人とは二度と出かけない」(66歳男性/その他)
注意はしないけど少しひいてしまう」(40歳女性/その他)

周囲の目が気になり、自分までマナー違反に見られそうで居心地が悪いという意見も。
「動画を撮り続ける」「店内で立ち回る」といった行動は特に嫌われやすく、一緒にいたくないレベルに感じる人もいました。過剰な撮影は、人間関係にまで影響を及ぼすことがあるようです。

理解はできるが節度を求めたい

現代的な行為なのだろうと許容する。もちろん迷惑をかけていなければだが」(36歳男性/学生・フリーター)
勝手にすればいいと思う。以前はあまりよく思わない人がいたように思うけど、いまはそんなことはないと思う。お店側は宣伝になるからいいと思う。本人もそういうことが楽しいのであれば、わずかながら経済を活性化させる意味でもいいと思う」(66歳男性/その他)

SNSでの発信自体を否定せず、現代の文化として受け入れる人も多く見られました。ただし、周りへ迷惑をかけることや撮影が目的になってしまうことへの懸念は強く、“映え”がメインになると、本質を見失うとの指摘もありました。

「クスクス……〇〇ちゃんまた映え写真アップしてるよ」って思われてる可能性も!?

SNSが生活の一部となった今、“映え”を求める行動は特別なものではありません。しかし、大切なのはやはり“マナー”と“思いやり”です。写真を撮るのも楽しみのひとつではありますが、“映え”を追うあまり、大切な瞬間を逃さないようにしたいですね。

ナカムラミカ
ナカムラミカ

エディター/ライター。大学在学時からライターとして活動、気付けばもうすぐフリーライター歴20年。webサイトや書籍の編集・ライティングなどを担当。料理と暮らしまわりの手仕事が趣味。根っからのインドア派だが、3児の母となりアウトドアの楽しさにも目覚めたところ。

 

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載