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はがきが1枚22円も値上げ…それでも「年賀状」を出す人が4割!その理由には温度差ある回答が

今年も残すところあとわずか。日本には長らく新年の挨拶として「年賀状」を送る風習があり、今くらいがちょうどその準備に追われる時期でした。しかし年賀状は2003年におよそ44億枚の発行部数を記録したのがピークとなり、近年は毎年減少の一途をたどっています。さらに今年は10月より郵便料金が値上げされ、年賀はがきは63円から85円に。ますます“年賀状離れ”に拍車がかかることが予想されているのです。

そこで今回『kufura』では20代から60代の男女465人にアンケート調査を実施。2025年の年賀状事情について伺いました。

当然?それとも意外? “出さない”派がついに“出す”派を上回る結果に

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この状況の中で年賀状を出す人はどのくらいいるのでしょうか? そこで「2025年の年賀状を、1枚でも出す予定はありますか?」とアンケートを実施したところ、結果は以下の通りとなりました。

出す……39.1%(182人)

今回から出さない……6.9%(32人)

以前から出していない……44.9%(209人)

未定……9.0%(42人)

「出さない」派が「出す」派を上回りました。年賀状を出すことが当たり前だった時代を長く過ごした人はこの結果に驚くかもしれませんが、年賀状離れが加速した世代の人は「当然」と考えるかもしれません。そのあたりは世代間ギャップが大きいような気がしますが、実際のところはどうなのでしょうか?

そこで今回「出す」と回答した182人を対象に、今年年賀はがき代が値上げすることを踏まえた上で、その理由についてアンケート調査を実施しています。

はがき代が値上がりしても年賀状を出す理由は?

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1:手書き、写真、キャラクター…年賀状ならではの良さがあるから

SNS全盛の現代において、相手に何かを伝える手段としての“郵便”は、かなりの手間とコストがかかると言わざるを得ません。それでもあえて年賀状という手段をとることにこだわる人は、そこに特別な価値を見出しているケースが多いようです。

「毎年、好きなキャラクターの年賀状を買うのが恒例。それが楽しみの1つになっている」(42歳/女性/総務・人事・事務)

「年賀状のやり取りを楽しみにしています。手書きは温かみがあります」(53歳/女性/その他)

「年賀状をやり取りするのが好きだから」(40歳/男性/その他)

「写真付きで年賀状を送ってくれる友人には、ちゃんと送りたいです」(43歳/女性/主婦)

もちろん写真やキャラクターなどは、SNSでも送ることができます。しかし紙に印刷された年賀状だと、それがひとつの“作品”になる。そんな感覚を持つ人は少なからずいるのでしょう。そして何よりも「手書き」だけは、SNSにはない価値といえます。

2:年賀状でしかつながりがない人がいるから

現代社会はメールやSNSでしかつながっていない人も多いと思います。しかし古くからの親戚や友人、恩師といった何年も会っていない人の場合は年賀状だけのつながりとなりがちです。

「年賀状でしかつながっていない人がいるため」(49歳/男性/学生・フリーター)

「年賀状でしか繋がっていない人もおり、やめてしまうと縁も切れてしまうから」(56歳/男性/その他)

「本当はやめたいが、年賀状でしかつながっていないから」(58歳/男性/研究・開発)

「日ごろ音信のない人でも、年賀状でどうしているかがわかるから」(43歳/男性/営業・販売)

身近な人ならLINEやSNSなどでいつでもつながることができますが、何年もご無沙汰の人は、なかなかそれも難しい。そういった人は年賀状の距離感がちょうどいいのかもしれません。

3:生存確認のため

前述の「年賀状でしかつながりがない」という理由にも通じていますが、高齢世代を中心に年賀状が生存確認の手段になっているという人が多くいました。

「年賀状で無事を確認する方々が少なからずいます」(59歳/女性/主婦)

「年賀状でだけしか繋がっていない人たちに、生存確認の意味も込めて」(43歳/女性/主婦)

「毎年出しているのに、急に出さなくなると受け取る側が心配する」(66歳/男性/その他)

「生きている証の連絡手段。元気で暮らしてますの報告もかねて毎年やっている」(67歳/男性/その他)

年齢を重ねると喪中はがきではじめて訃報を知ったり、知らずに年賀状を出して寒中見舞いにより知るといったことも多くあります。そう考えるとやはり、年賀状文化は失くしてはいけないのかもしれません。

4:本当はやめたいけれど、付き合いがあるのでやめられない

本当はやめたいけれど、仕事関連や親戚といったつながりがある人との年賀状は、なかなかやめられない。やめることで相手に嫌な気持ちにさせる可能性が少しでもあるなら、とりあえず続ける。そんな意見もいくつかありました。

「辞めたいけど、義理や恩義がある人達がいて、メールでは済ませられないので……」(55歳/女性/主婦)

「仕事関係では決まった相手と毎年やりとりしているので、やめたくてもやめられない」(55歳/男性/総務・人事・事務)

「旦那の職場の方には出さないといけないからやめられない」(52歳/女性/主婦)

「出さないと親戚のジジババがうるさい」(47歳/女性/主婦)

特に目上の人に対しては、こちらから年賀状を出すのをやめにくいものです。ただ先方ももしかしたら「やめたくてもやめられない」と思っている可能性も。どちらが言い出すか、難しい問題です。

5:出す枚数が少ないので、負担が少ないため

出す枚数が多ければ多いほど年賀はがきの値上がりは痛い出費となります。しかし、そもそも出す枚数が少ない人は、それほど大きな出費とはならないようです。さらに書く手間も少なくて済むので、やめるという選択にならないようです。

「あまり枚数は出さないので、変わらず出したいです」(40歳/女性/その他)

「友達と親戚にしか出さない為、金額があまりかからない」(41歳/女性/主婦)

「関東に行った際に会って話したい友達1名にのみに書いています。出す理由は接点を持ち続けていたいからです」(45歳/女性/その他)

「1人だけしか出さないので、やめる理由がありません」(44歳/男性/学生・フリーター)

1枚だけとはいえ、そのためだけに年賀状を用意してポストに投函するのは、なかなかの手間だと思います。それでも年賀状を書くのは、その人にとってはとても大切な存在なのでしょう。

 

アラフォー以降の昭和世代は同級生の住所や電話番号が当たり前のように共有され、メールもSNSもなかった時代を生きてきました。だからこそ年賀状を送るのは自然な流れでしたが、現代は個人情報保護のために住所は共有されず、伝えたいことがあればSNSを使うのが主流。年賀状を送るという感覚がないのは仕方がないことかもしれません。

それでもなんとなく年賀状がなくなるのは寂しい。そう感じるのは筆者が昭和世代だからだと思いますが、その価値観を若い世代に押し付けるのも違う気がします。そう考えると年賀状は同じ価値観を持った本当に送るべき人を厳選し、負担にならない程度に数枚送るのが正解なのかもしれません。

 

【参考】

令和元年版 国土交通白書

高山恵
高山恵

東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。

執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。

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