今回は、厳選された中古・リノベーション物件を紹介するサービス「cowcamo(カウカモ)」を運営する『ツクルバ』の村島智美さんに聞いたお話を、前後編の2回でお届けします。前編では、リノベーションマンションの魅力や購入時の注意点についてご紹介。
立地や価格…「リノベーションマンション」を選ぶ良さって?
null中古マンションであっても、古さを感じさせず、新築のような設備が導入されていることも多いリノベーションマンション。村島さんに、プロならではの視点でリノベーションマンションの魅力を伺いました。
「リノベーションが済んでいるので、見た状態のお部屋をそのまま購入できる点が大きなメリットだと思います。中古住宅を購入して自分たちでリノベーションをするとなると、すぐには入居できず、改修後に“イメージと違った……”なんてことが起こらないとも言い切れません。
また自身でリノベーションする場合と違って、購入後すぐに入居できるので、もともと住んでいる自宅の賃料と、(リノベーション工事中の)新居のローンを二重で支払う期間も生じません」(以下「」内、村島さん)
また、新築物件と比較しても、価格や選択肢の豊富さ、立地の良さ……など、さまざまなメリットがあるのだそう。
「新築物件の供給数は、減少傾向にあります。中古住宅のほうが圧倒的に数が多く、立地が良い物件も多いんです。なにより魅力的なのは、価格。リノベーションマンションの価格にはリノベーションにかかった費用が乗ってはいますが、それでも新築物件と比べれば安価です」
「リノベーションマンション」を購入するときの注意点
nullリノベーションされているとはいえ、中古住宅には変わりがないリノベーションマンション。耐震性や劣化状況は、気になるところではないでしょうか。
耐震性については、建築確認日(設計図面の審査が通って、建築主に建築確認通知書が発行された日のこと)で判断できます。建築確認日が「旧耐震基準(1981年5月31日以前)」か「新耐震基準(1981年6月1日以降)」かが一つの基準に。
ただ、村島さんは「建築確認日だけで耐震性を測ることはできない」といいます。
「私たちがよくお伝えさせていただくのは“地盤や構造も総合的に見ましょう”ということです。地盤の強さや土地の成り立ちについては、ハザードマップなどで確認できます。また、構造については、1階が駐車場など空洞になっているピロティー構造や多方面から揺れが伝わるL字やコの字の形より、正方形や長方形のマンションのほうが揺れに強いと言われています」
建築時期や地盤、構造とともに目を向けたいのが、マンションの管理状態です。最近では「マンションは管理を買え」という言葉も聞かれますが、管理状態は、実際に住んだときの快適性やその後の資産価値にも大きく影響してくる重要な要素なのだとか。
「コンクリートの寿命は、諸説ありますが、適切なメンテナンスをしていれば100年以上もつと言われていたりもします。ただ、マンションを構成しているのはコンクリートだけではありません。
外壁にヒビが入った状態を放置していれば、雨水が浸入して鉄筋が錆びてもろくなってしまいます。また配管設備やエレベーターなどは、コンクリートのように長寿命ではありません。
適切なタイミングで適切にメンテナンスされていなければ、快適性や安全性は損なわれてしまいます」
マンションの共用部や管理状態は、リノベーションで変えることはできません。これまでの修繕履歴や今後の修繕計画などについては、マンションを仲介する不動産会社が調べてくれるとのこと。適正に維持・管理されているのか、ヒアリングしてみましょう。
また、眺望や日当たり、周辺環境などもリノベーションで変えることのできない部分ですので、自分の価値観に合っているのかよく確認しておきたいポイントです。
共用部については、とくに駐輪場や駐車場をよく見るべきなのだとか。車や自転車を見れば、マンションに住む方の家族構成や年齢層がおおよそわかります。若い世帯が多いマンションは空室が少なく、管理に積極的な方も多い傾向にあることも。同年代の世帯が多ければ、価値観も合いやすいかもしれません。
マンションの維持・管理は、住人が協力して行っていくもの。立地や価格、部屋の中だけでなく、共用部や管理状態にも目を向けてみましょう。
【まとめ・リノベーションマンション購入時の注意点】
1 :耐震基準に適合しているか「建築確認日」をチェック
2:「地盤(ハザードマップ)」や「構造(正方形や長方形が強い)」を調べておく
3:マンションの管理状態を「修繕履歴」や「修繕計画」などでヒアリング
(その他)住人の皆さんの年齢や傾向も把握しておくと安心材料に
リノベーションマンションは大きく2つに分かれる
nullリノベーションマンションは、次の2つに大別されるといいます。
1:不動産業者が、個人の方から買い取った物件をリノベーションし、再販するケース。
2:個人の方がリノベーションした自宅を売却するケース。
それぞれについて説明していただきました。
「あくまで傾向の話ですが、不動産業者が売主のリノベーション済物件は、多くの方に選ばれやすい、一般的な間取りや内装になっていることが多い印象です。それに比べて、個人の方が売主の物件は自分の暮らしにあった内装や間取りを取り入れているので、個性的なものが多いですね」
両者の違いは内装や間取りなど、目に見えるものだけではなく、保証や住宅ローン減税で受けられる控除額にも及ぶ、というのも理解しておきたい点です。
「不動産業者が再販するリノベーション物件は、売主である不動産業者が2年以上『契約不適合責任』を負わなければならないと義務付けられています。契約不適合責任とは、契約内容に適合していない不具合などに対し、修繕などの責任を負うことです。物件によっては、別途、設備保証などが付帯されていることもあります。
一方、個人の方が売却するリノベーション物件は、契約不適合責任の範囲は限定され、かつその期間が3カ月程度になるのが一般的です」
加えて、不動産業者が再販するリノベーション物件は、一定の条件を満たせば、住宅ローン減税においても新築と同等の控除が受けられるというメリットも。
リノベーション物件の購入を考えるときには、物件の魅力はもちろん、保証や修繕について、またローン減税などについてもよく考慮した上で決めたいものです。
「良いリノベーション物件が見つからない!」いうときに検討したい定額リノベーション
null最近ではリノベーションマンションの数は増えているといいます。ただ、特定の学区の中で家探しをしていたり、親との近居を希望していたりするなど、限られたエリアの中で探すとなると、希望する条件の物件がなかなか見つからないことも。
そんなときの選択肢の1つとして、村島さんが『定額リノベーションパッケージ“ライフカタログ リノベーション&リビン”』を紹介してくれました。
このパッケージは、村島さんたちの会社ツクルバが提案する、定額リノベーションパッケージのサービスです。7つのスタイルの中からテーストを選んで、フルリノベーションをオーダーする、という流れ。基本的な要素は規格されているとはいえ、デザインや間取りは、自由に選択できるそう。
「もちろん、ご自身で1からリノベーションプランを検討する方法もありますが、中には“自分でプランを検討するのが難しい”“何から考えればいいかわからない”という方もいらっしゃいます。
定額リノベーションは、その名の通り“定額”ですので、㎡あたりの単価が決まっています。オーダーリノベーションでは“やりたいことを積み上げていったら費用がオーバーした!”“最後まで総額いくらになるのか分からなくて不安だった!”ということも起こりがち。定額であれば費用の心配をせず、フルオーダーより手間や時間をかけずにリノベーションしていただくことができます」
用意されているスタイルは、こちらにある全7つ。自分の好みやライフスタイルにあったリノベーションが選べるのは嬉しいポイントです。
「マンションの構造や管理規約などによっては、希望のリノベーションができない場合もあります。カウカモでは、ご購入前からコーディネーターがサポートさせていただきますので、希望のリノベーション内容が叶いそうかを確認しながら物件を選んでいただけます(カウカモの定額リノベーションは、カウカモで扱っている物件を購入される方限定のサービスです)」
中古住宅を選んで購入、自らリノベーションを実施することを検討されている方は、希望する改修ができるかを判断するため、購入前にリノベーション業者などに見てもらうといいかもしれません。
後編では、引き続き村島さんに「理想の物件と出会うために必要なこと」をお伺いします。
取材・文/亀梨奈美