子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

限定御朱印を頒布する神社も!6月30日の「夏越の祓」で半年の厄払いを

もうすぐ2023年も折り返し。12月31日のことを「大晦日」といいますが、夏の「晦日」にあたる6月の晦日、6月30日には、大祓の神事「夏越の祓」(なごしのはらえ)が行われます。

その由来や神事について、群馬県の前橋市にある産泰(さんたい)神社の神職である鯉登(こいと)敬紀さんに伺いました。

「夏越の祓」は次の半年間の災厄を避けることを目的に行う神事

null

「大祓(おおはらえ)」とは、日本では古代・中世から行われている神事儀礼の一つ。6月と12月の晦日(最終日)や、新しい天皇陛下がご即位される祭の大嘗祭などの重要な神事の際に、宮中や神社で行われます。そのなかでも6月30日に行われる大祓を「夏越の祓」といいます。

大祓は、人が知らず知らずのうちに犯した罪や穢れを除去し、清らかな心身に立ち返ることによって、次の半年間の災厄を避けることを目的として行われる神事です。

「夏越の祓」は名越、六月(みなづき)祓、荒和(あらにご)の祓とも呼ばれ、毎年6月30日に行われます。夏越の祓では、参拝者が人形に自身の罪や穢れを移し、茅の輪(ちのわ)をくぐることで自身を祓い清めます。

茅の輪は『備後国風土記』に見られる、蘇民将来(そみんしょうらい)の逸話に由来するものです。素戔嗚尊(スサノオノミコト)が女神の元に行く際、巨旦将来(こたんしょうらい・弟)という富家に宿を断られ、その兄の蘇民が貧しいながらも快く宿を貸しました。素戔嗚尊は蘇民に小さな茅(ちがや)の輪を渡し、疫病が流行ったときに災いが及ばないようにしました。蘇民はその言いつけを守り、疫病の災害から逃れたということです。

古来より日本では茅は魔よけの力があると考えられており、夏の暑い時期は疫病が流行ることが多かったため、茅の輪をくぐるようになったといわれています。

正式には6月30日に執り行われ、神社によっては旧暦で神事を行う場合もあります。時間は神社によって様々ですので、参列される方は事前に各神社にお問い合わせ下さい。

産泰神社では、茅の輪は本殿に向かって少し離れた正面に設置されています。

茅の輪は竹を重ねたものに茅を巻きつけて作られたもの

null

茅の輪は割竹を束ねたものや、竹をあぶって曲げて円形にしたものに、茅を巻き付けて制作。茅の輪は竹や木で固定し、紙垂を付けて完成します。

茅の輪の設置時期は神社によって様々です。大祓の儀式も、多くの神社は暦通りに行いますが、中には旧暦で神事を行う神社もあります。最近では儀式後もしばらく設置している神社や、旧暦の6月晦日(8月中旬ごろ)まで設置している神社もあります。

茅の輪は正面に向かって左→右→左の順番に回ります。これは神職がお祓いに使用する大麻(おおぬさ)の動きに即したものだといわれています。

まず茅の輪に前に立ち、軽く一礼をします。神歌「水無月の夏越祓をする人は、千歳の命のぶというなり」を唱え茅の輪をくぐり、左側を回り正面で一礼をします。次に同様の流れで茅の輪をくぐり、右側を回り正面で一礼をします。次に最初と同様に茅の輪をくぐり、左側を回り正面で一礼をします。

最後に茅の輪をくぐり本殿へ進み、拝礼をします。

間違ってしまった場合は、一旦気持ちを落ち着け、正しいまわり方で再度茅の輪くぐりをしましょう。

なお、神社や地域によってはくぐり方や神歌が異なる場合もあります。神社の案内に合わせてお参りするようにしましょう。

茅の輪は神殿に正対する側から入ります。

人形(ひとがた)に自身の罪や穢れを移し、お焚き上げでお祓いを

null

人形にお祓いを受ける人の名前を書きます。

夏越の祓の儀式では、人形(ひとがた)に自身の罪や穢を移してお焚き上げをします。産泰神社でも6月初めより人形を頒布しています。はじめに人形に名前を書き、身体をなでます。その後、人形に息を吹きかけ災いを移します。この人形を神社にお納めします。

納めた人形は、6月30日の大祓式ののち、半年間のうちに犯した罪穢とともにお焚き上げをしてもらえます。

人形にはお祓いを受けたい人の名前と年齢を書くのが一般的ですが、神社ごとに異なる場合も。人形を拝受できる場所にある指示に従いましょう。

夏越の祓限定の御朱印の頒布の実施も

null

最近では、夏越の祓に合わせて御朱印の用意がある神社も少なくありません。産泰神社でも、大祓の期間限定の御朱印を頒布しているそうです。

茅の輪をデザインにあしらった産泰神社の夏越の祓限定の御朱印。

2023年の残り半分を心新たに迎えるために、お時間のある方は夏越の祓に行ってみるのはいかがでしょうか?

【取材協力】

産泰神社 https://www.santai-jinja.jp/

所在地:群馬県前橋市下大屋町569

電話番号:027-268-1161

受付時間:9:00〜16:30

北本祐子
北本祐子

大阪生まれ。IT系出版社に勤務後、「女性にもITをもっと分かりやすく伝えたい!」とIT系編集・ライターとして独立したはずが、生来の好奇心の強さとフットワークの軽さから、気が付けばトレンドライターとして幅広いジャンルを取材・執筆するように。商業施設や店舗の出店や話題の新商品など、時流にまつわるできごとをさまざまな切り口で伝えています。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載