子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「米酢」と「穀物酢」の違いって?美味しく使い分けるコツから、あと1品!のお手軽レシピも

【食べ物の違い豆知識】を紹介するこちらのシリーズ。46回目は、どこの家庭にもよくある調味料「米酢」と「穀物酢」について。おなじみの調味料だからこそ、違いを知って、上手に使い分けできるようになりたいですよね! そこで、2つの違いを料理研究家・時吉真由美さんに聞きました。

まずは「米酢」と「穀物酢」について調べてみると…

null

米酢

米を原料とした酢。少量のエチルアルコールを添加し酢酸発酵させたものや、米のみを用いた純米酢がある。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

穀物酢

穀物や穀物でんぷんを原料とした酢。醸造酢1リットルにつき原料穀物を40グラム以上使用したもの。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

つまり「米酢」と「穀物酢」の違いって?

米酢は「米」を主原料とした酢。酢1リットルあたりに40g以上の米を使って醸造されたものが「米酢」と定義されています。ちなみに「純米酢」は米のみを原料とした酢です。

一方、「穀物酢」は米、麦、とうもろこしなど、複数の穀物を原料とした酢の総称。つまり、穀物である米で作られた「米酢」もこの中に含まれます。

米酢と穀物酢は、原料だけでなく、味や風味にも違いがあります。

米酢がまろやかでほのかな甘味があるのに対し、穀物酢はキリッとした強い酸味が特徴です。お料理上手な人たちは、こうした味の違いを生かしながら、賢く使い分けているのですね。

農林水産省「醸造酢の日本農林規格」を基に編集部で図化

酢は世界各地で醸造され、味わいもさまざま

null

ぶどう果汁とワインビネガーを煮詰めた「バルサミコ酢」。サラダのドレッシングや、ステーキなどのソースによく使われる。

さらに、時吉さんは他にもさまざまなお酢があると、話してくれました。

「他にも、果物を原料としたお酢が有名ですね。代表的なものは、りんごを使った“りんご酢”や、ぶどうを使った“白ワインビネガー”や“赤ワインビネガー”、“バルサミコ酢”や“シャンパンビネガー”など。特に、白ワインビネガーやバルサミコ酢は、洋食の世界で欠かせないお酢です。

アジア圏では、玄米が原料の“黒酢”や、餅米が原料の中国の“香酢”などが有名です。これらは長期熟成させて作るため、黒褐色をしています。

最近では、砂糖や塩などの調味料が既にブレンドされている“調味酢”や“寿司酢”も一般的に。計量する手間がなく、手軽に料理に使えるので人気がありますね」

「酢」と言っても、これだけ多岐に渡り、それぞれ個性が異なります。では、どのように使い分けるとよいのでしょうか?

米酢は生ものに、穀物酢は加熱してまろやかに

null

米酢と穀物酢の使い分けは、実は意外とシンプル。以下のように大きく2つに分けられます。

米酢→寿司酢や酢の物など。まろやかな酸味を活かし、生で食べる際に使う。

穀物酢→炒め物、煮物など。酸味が強いので加熱するとまろやかになる。

「米酢はまろやかな酸味が上品なので、和食には欠かせません。各醸造所によって味わいも様々なので、好みの味を見つけてください。私は江戸時代から続く京都の老舗『村山造酢株式会社』の“千鳥酢”がお気に入りです。

一方、リーズナブルでコスパがよいのは穀物酢。米酢に比べて酸味が強いですが、加熱して酸味を飛ばせば、まろやかな旨味に変わります。お肉を柔らかくする効果もあるため、豚の角煮や鶏手羽元の煮物などに使うと美味しく仕上がります」

さらに、酢には抗菌・殺菌作用があるため、冷蔵庫がない時代、食材を長持ちさせる知恵としても身近な存在だったそう。

「その際たるものが寿司ですよね。日本の寿司の発達は酢のおかげだと思います。酢には腐敗防止や抗菌・殺菌効果があるため、お歳暮などでいただいたハムの切り口に酢を塗って、ラップをして冷蔵したり、魚の干物に酢を薄く塗ってから保存したり、そういった使い方もできるんですよ」

さらに、疲労回復、食欲増進、血糖値を下げる、脂肪を分解するなど、酢は健康面でも様々な効果が期待でき、まさに万能調味料です。

さっぱり美味! もう1品に便利な「叩ききゅうりの酢漬け」

null

さらに、時吉さんが普段よく作る、「叩ききゅうりの酢漬け」のレシピを教えてくれました。

(1)きゅうり2〜3本を食べやすい大きさに切り(手でポキポキ折っても◎)、保存袋に入れて、麺棒などで軽く叩く。

(2) 好みの酢100ml、砂糖大さじ2、しょうゆ大さじ1、ごま油大さじ1、塩ひとつまみを(1)に加えてよくなじませ、冷蔵庫で30分ほど漬ける(小さめに切った場合は20分ほどでOK)。好みで鷹の爪を入れても。味が染みすぎるのを防ぐため、漬け汁を少しずつ減らしながら冷蔵で3〜4日保存できる。

「炒め物やチャーハンの時など、何かもう1品欲しいなという時にちょうどいい箸休めになります。生で食べるので、マイルドな米酢がおすすめですが、私は酸っぱいのが好きなので、穀物酢で作ることもあります」

野菜を漬ける時に、酢を加えるとさっぱり食べられますね。きゅうり以外にも、長芋やかぶ、にんじんなどもおすすめだそうです。

ぜひ、米酢と穀物酢を上手に使い分けてみてください。きっといつもの料理の幅が広がるはずです!

 

取材・文/岸綾香

時吉真由美
時吉真由美

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表

土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」金のワンスプーン!などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。

Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載