『ルル メリー』に初の缶商品が登場。
null2024年のバレンタイン、それまで紙箱のパッケージがメインだった『ルル メリー(※)』から限定で缶商品が登場。「湖畔でみつけた、小さな宝物。」をテーマにした、どこか懐かしいようなノスタルジックな世界観が投影された缶は、唯一無二。今まであまりお菓子缶になかったアート性の高いデザインで、非常に話題となりました。
※“もっと身近で日常的な「ギフト」として楽しんでもらいたい”との願いを込めて作られた、チョコレートブランド『メリーチョコレート』から出たブランド。
“缶だけ”でも買える。『イトーヨーカドー』初の試み
nullそしてこちらも去年のバレンタイン、お菓子缶マニアの間では話題になった『イトーヨーカドー』の試みでした。イラストレーター、西田真菜さんの描き下ろしの「アニマルお菓子クラブ缶」が550円で販売。缶だけ買うこともできましたし、東京・白金発祥の洋菓子店『ラ・メゾン白金』のタブレットチョコレート(1枚194円)をこの缶に入れて買うこともできるというものでした。今年は人気イラストレーター北澤平祐さんのバージョンが発売されています。
実はこの缶、「バブ」や「温泡」のようなタブレット入浴剤を収納するのにぴったりなサイズの缶で、バレンタイン後は“入浴剤入れ”としてとても重宝しました。こういう何かと“シンデレラフィット”する缶に出合えたときって、素敵なお菓子缶との出合いにさらにおまけがついてきたみたいでうれしいですよね!
大好評で受注生産に!『ローソン』×ヒグチユウコ氏コラボ缶
null2024年3月に発売された、コンビニエンスストア『ローソン』と、画家のヒグチユウコさんのコラボ・トランク缶。普段から入手困難なヒグチユウコさんの缶が、コンビニで買えるなんて!と大いに話題となりました。しかし取り扱い店舗が限られているうえに、数も少なかったらしく、多くの人が買えずじまい……。私など、当時商品を目にすることすらできなかったです(笑)。
しかしその声が届いたのでしょうか。6月に受注生産することが発表。無事、私も11月に手にすることができました。缶マニアとしては、“今すぐ欲しい”よりも“必ず手に入れたい”という気持ちの方が強いので、こうした人気ある缶の“受注生産”は非常にうれしく、ありがたい対応でした。
毎年話題になる、「鳩の日」。“サブレー1枚缶セット”も受注生産に。
null毎年8月10日=「鳩の日」に発売される、「鳩サブレ―」で有名な『豊島屋』の限定グッズ。2024年は、創業130周年を記念して、「鳩サブレ―」がぴったり入る専用缶の4個セットが発売されました。もちろん話題となり、百貨店ではかなり早い時間からこの“鳩サブレ―1枚缶”を求め、列ができていたと聞きました。
しかし発売日は灼熱の暑さの8月10日……暑さに弱い私は、すっかり諦め、冷房の効いた部屋でお盆休みを堪能していました(オタク失格ですね。笑)。そこへ“缶仲間”から「オンラインで受注生産受け付けているらしい!」と朗報が入り、涼しい部屋で申し込み完了! 届くまでに2カ月以上かかりましたが、焦ってはいないので、無事手にすることができました。
『KEITA MARUYAMA』30周年記念の“パンダ缶”
null去年、ブランド30周年を迎えた『KEITA MARUYAMA』。ファッションブランドではありますが、いつも素敵なクッキー缶も出しているブランドでもあります。そんな『KEITA MARUYAMA』から去年9月にブランドのアイコン的モチーフであるパンダ型をしたクッキー缶が登場。中には9種類の味も形状も違うひと口サイズのクッキーが入っており、日本の“吹き寄せ”のようで、中もかわいらしいクッキー缶でした。
またお菓子缶ではありませんが、同じく30周年を記念して、雑誌『オトナミューズ』11月号の付録に、「パンダ缶ケース入りステーショナリー おしゃれな17点セット」も登場。こちらもあっという間に書店店頭から消えていました。私はオンラインで探してやっと入手。
ここ数年、雑誌の付録で”缶“がついてくるようになったのも大きな”流れ“だと思っています。
『ゴディバ』のお菓子缶から目が離せない!
nullここ数年、目が離せないのが老舗チョコレートブランド『ゴディバ』のオリジナル缶。『ゴディバ』は結構キャラクターとコラボしたりもしますが、それよりもブランドオリジナルの缶が、ここ数年、非常にブラッシュアップされてきていて、発売されるたびに買ってしまうんです。
写真はハロウィンの缶ですが、この前に発売されたうさぎや月がモチーフの「オータムコレクション」の缶もおしゃれでかわいかった……! 今年もこまめにチェックしようと思っているブランドです。
『ムーミン アラビア』から日本限定・数量限定で初のクッキー缶が発売。
null2024年10月には、北欧生まれの「ムーミン」とフィンランドのブランド『アラビア』がタッグを組んだライフスタイルブランド『ムーミン アラビア』から初のクッキー缶が発売されました。缶に使用されたイラストは、トーベ・ヤンソンが1955年に発表したコミックス『やっかいな冬』にインスパイアされたもの。このクッキー缶は、お菓子缶マニアのみならず、「ムーミン」ファンの間でも大きな話題となりました。
ますます人気に拍車がかかる、「はじけるキャンディチョコレート。」。
null2020年のバレンタインシーズンに発売された、純喫茶をテーマにした「はじけるキャンディチョコレート。」シリーズ。初年からものすごい人気を博し、現在もその人気は継続中。数年前から年末になると毎年、美濃和紙を中心にした紙文具製品の製造販売を手掛ける老舗『古川紙工』とのコラボ商品を発売。2024年も11月に販売が開始され、お菓子缶マニアやスイーツマニアだけでなく、文具マニアの間でも人気のある商品となっています。
そしてなんと12月には、あの『アデリアレトロ』とのコラボボックスも発売! 脚付きグラスの柄は、SNSの投票で選ばれた「花だん」を採用。そして「はじけるキャンディチョコレート。」の缶にもちゃんとこの「花だん」のグラスに盛り付けられたクリームソーダが描かれているのです。こういうディテールにこだわった商品は、たまらないですよね。
小ぶりな蝶番缶がじわじわ人気を博した2024年
null昭和の昔は、お菓子缶と言ったら大きいサイズのものが主流でした。今と違い、祖父母と一緒に住んでいる“大家族”が多かったのもありますし、やはり当時は“自家需要”よりも“贈答品”の要素が強かったお菓子缶。“大きければ大きいほどいい”という時代の空気もあったと思います。その空気が変わってきたのが、今から15年ほど前。小ぶりで、1~2人でも食べきれる、かわいらしいサイズのお菓子缶が重宝されるようになってきました。“お菓子缶自家需要時代”の幕開けです。
そして現在はさらに“お菓子缶ミニサイズ化”が進んできており、去年またぐっと手の平にのるような“ミント缶サイズの缶”が増えてきた印象です。“ミント缶サイズの缶”って、持ち運びに便利なので、常備薬を入れたりするのにいいんですよね。今年もまた、多くの“ミント缶サイズ”の缶が登場すると思います。
2024年もやはり強かった“キャラクター缶“。
nullそして昨年も強かったのが、さまざまな“キャラクター缶”。
さくらももこさんによる漫画「コジコジ」と『青山デカーボ』がコラボした「コジコジ缶」は、入荷されるたびに完売するほど。去年11月には、「コジコジ缶2」も発売されるという人気ぶり。
10月には『北陸製菓』から、今年コミック生誕75周年を迎えることを記念して、さまざまな年代の“スヌーピー”が描かれた缶を発売。
世界で唯一のセサミストリートのオフィシャルストア『セサミストリートマーケット』からは、サンシャイン池袋店オープン1周年を記念した、「1st Anniversary クッキーアソート缶」が発売中。
このほかにも、8月に『資生堂パーラー』が『サンリオ』のキャラクターとコラボした缶なども発売されました。今現在販売されているバレンタイン缶も、“ポケモン”に「ちいかわ」、「すみっこぐらし」などの“キャラ缶”があふれていますよね。
2024年12月から、あの「お菓子のミカタ」が月1で東京・西荻窪に登場
nullお菓子缶マニアやスイーツ好きの間では有名な洋菓子店専門のお菓子缶ショップ「お菓子のミカタ」。東京・恵比寿に店舗がありますが、2025年6月には東京・西荻窪にもショップをオープン予定。本オープンまでの間、月に1回「小さなクッキー工場」を開店しています。12月には、『romi-unie』のクリスマス限定缶や、『タマミィーユ』のサブレ缶、『マグノリア』の「宝塚すみれクッキー」缶など、普段はお取り寄せなどをしなければ買えない“レア缶”が取り揃いました。次回の開催は、1月24日~26日。またもレアなお菓子缶が揃いますので、ぜひお出かけください。
こうした“お菓子缶だけのショップ”が成り立つこと自体、いかにお菓子缶ブームが持続しているかを物語っていますよね。
そして2025年。各社、苦労した“へびモチーフ”の缶が登場
nullそして2025年巳年。前年から、さまざまなお菓子ブランド・メーカーさんたちが、「辰はまだしも、“へび”はなかなか“かわいい”に変換しづらく、どんなお菓子缶にしたらいいのか、非常に悩ましいところです」とおっしゃっていたのですが、見事各ブランド・メーカーさん、かわいらしい“巳年缶”を出していらっしゃいました! 写真は『泉屋東京店』の“干支缶”「へびとねこ缶」ですが、イラストレーター・セツサチアキさんのイラストのおかげで、なんともかわいらしい“へび缶”になっています。こちら、オンラインではまさに“瞬殺”の勢いで完売になってしまったようです。
元は“鉄”という硬い素材から生まれるお菓子缶ですが、お菓子屋さんの想いやデザインが加わることで、私たちの心を癒してくれる“柔らかな存在”になってくれると思いませんか。
さ、2025年はどんなお菓子缶に出合えるでしょうか。今から楽しみにしています!
※お菓子缶はすべて著者の私物です。
編集者・フードジャーナリスト。多くの料理本や暮らしの本、キャンプ本を手がける。自著に子どものごはん作りの闘いを描いた『闘う!母ごはん』、『素晴らしきお菓子缶の世界』(共に光文社)がある。 プライベートでは猫2匹&犬1匹と小学生、大学生の女の子の母。ハワイじゃなくてグアムラバー/スターウォーズマニア/アダム・ドライバーファン。Instagram