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秋冬に美味しいオススメ野菜は?野菜の目利きに聞く!2024年秋冬の野菜の価格情報

酷暑が続いた夏が終ったものの、なんとなくまだ暑さを引きずるような日も少なくなかった2024年の秋。秋といえば“食欲の秋”と昔から言われていますが、夏の酷暑の影響による野菜の価格高騰も気になります。
今年の秋から冬にかけて、日本の野菜はどのような価格状況になっているのか? そしてどんな野菜を選べばいいのかなど、野菜に関するさまざまな情報についてのお話を、東京大田市場で仲卸業を営む野菜のプロ、本多 諭(ほんだ さとし)さんに伺いました。

2024年の秋野菜、11月中旬ごろから値段は安定する見込み

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2024年の夏から秋にかけて、野菜の価格は全般的に高騰している傾向にありました。その理由はやはり、夏の酷暑。この傾向は同じく酷暑が続いた2023年とほぼ同じ傾向にあるそうですが、その傾向は今後も変わらないのでしょうか?

「野菜の出来は1日の暑さではなく、生育期間トータルの温度の合計に大きく関係します。これを“積算温度”といいますが、10月に入って記憶が下がったこともあり、11月に入ると野菜の価格高騰はだんだんと落ち着いていくと思います。

過去に11月から2月にかけてずっと野菜が高騰していた年もありましたが、その時は10月の終わりごろに大きな台風が直撃したことが影響しました。野菜はどちらかというと夏場の酷暑よりも台風のほうが大きなダメージを負いますが、今年は全国的にそこまで大きな台風はありません。さらに11月は “産地の切り替わり”が行われる時期でもあるので、価格は中旬ごろにはだいぶ値段が下がっているのではないでしょうか?」(以下「」内、本多 論さん)

“産地の切り替わり”とは、時期によって産地を切り替えながら野菜を集荷すること。ほとんどの野菜は春が関東近郊で、夏は東北・北海道といった高冷地。秋になるとまた関東近郊に戻り、冬になると関西から九州、沖縄に切り替わっていくそうです。

「今年は少しそのサイクルが遅れていますが、11月半ばになると関東産の野菜がどんどん出てきます。これから関東から西にかけて極端な冷え込みや積雪がなければ、価格が極端に高騰することがなく野菜が出荷されるはずです」

ちなみに10月末に気象庁より発表された3か月予報によると、2024年冬は11月の平均気温は寒気が弱まる影響により北日本で平年並みか高く、12月と1月の平均気温は全国的にほぼ平年並みだそう。予報通りにいけば、今後それほど野菜の価格は高騰しない可能性が高そうです。

野菜の目利き、本多さんイチオシ! 2024年秋の推し野菜とは?

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ではこれから食べるべきオススメ野菜は、どんなものがあるでしょか? 2024年秋の野菜事情を踏まえ、本多さんに伺いました。

小松菜の旬は9月~12月と言われていますが、実は年間を通じて収穫できるそう。安定して流通しているため、価格面でも栄養面でも優等生なのです。
白菜は鍋料理などで冬の需要期になると価格が高騰してきますが、秋は比較的価格が安定しているそうです。

「おすすめは小松菜と白菜です。葉物野菜は天候によってすごく値段の移り変わりが激しくなる傾向がありますが、特に小松菜は相場の優等生です。栄養素もほうれん草に負けておらず、リーズナブル。しかもほうれん草はシュウ酸が強いので生で食べることに向いていませんが、小松菜はサラダにしても美味しいですよ。例えばツナとあえて、マヨネーズをかけて食べるのがオススメです。

白菜も小松菜と同じく、サラダにしても美味しい野菜です。特に日本の白菜は柔らかくて水分量が多いので、サラダにすごく向いている。ただし繊維質が強いので、生で食べるときは繊維を切るように細かくカットするのがオススメです。そうすると歯ごたえは残って、でも筋っぽくない食感が楽しめます」

ライター高山が自作した「小松菜とツナのサラダ」。子どもがサラダ嫌いなので、今回小松菜は軽くレンチンしております。小松菜とマヨネーズは相性バツグン!

小松菜と白菜のサラダ、これからの季節はパーティーの副菜などにも良さそうです。これから野菜の価格も落ち着く見込みなので、安くなっている小松菜と白菜をみつけたら、ぜひお試しくださいね。

撮影/小倉雄一郎(小学館)

本多 論さん。

【取材協力】

大田市場 大治(だいはる) 本多 諭(ほんださとし)さん

大学卒業後、株式会社紀ノ国屋に入社。2年間正社員として働いた後に、大田市場で野菜の仲卸業を70年以上営む家業の大治(だいはる)に入社。平成28年に代表取締役社長に就任し、「東京野菜」ブランドを推進する東京野菜普及協会の代表理事としても活躍。青果物の流通のプロとして産地の開拓など「質の良い野菜」にこだわり、旬野菜やトレンド野菜についても広い知見をもつ。

株式会社大治

高山恵
高山恵

東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。

執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。

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