キウイフルーツの酵素がコラーゲンやたんぱく質を分解し、皮膚や骨の細胞に働きかける
null長寿化している日本ですが、健康寿命を考えると10年程度は誰かのお世話になって生きるという現実もあります。高齢者の骨折の原因になる「骨粗しょう症」は、骨密度が減ったり、骨質が低下することで骨がもろくなり骨折しやすくなる病気。閉経後の女性が気を付けなければいけない病気でもあります。
骨代謝のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回る状態が続くことで起こる「骨粗しょう症」。近頃は骨形成を促す成分「活性型コラーゲンペプチド」の存在が注目されています。この「活性型コラーゲンペプチド」は酵素によってゼラチン(コラーゲン)が分解されてできたもので、骨芽細胞の働きを活発にし、骨形成を促す可能性があるとされています。
城西大学薬学部医療栄養学科(管理栄養士養成課程)の真野博先生によると、そのままでは硬くて食べられないコラーゲンを含む食材をキウイの酵素であらかじめ切断し、コラーゲンペプチド化することで体内に吸収されやすく、皮膚のハリをアップしたり、骨密度を高めたりする作用があるとのこと。
グリーンキウイに多く含まれる酵素「アクチニジン」が食品中のゼラチン(コラーゲン)を分解することで、活性型コラーゲンペプチドが作られ、骨芽細胞を活発にし、骨形成を促す可能性があるという研究結果も出ています。
アクチニジン、ビタミンCがコラーゲン活性化に役立つ
nullキウイそのものに直接骨にアプローチする栄養素はありませんが、食品との組み合わせで骨芽細胞を活性化させる成分を生成することができる、というわけ。
実際に日常で活用するとしたら……、コラーゲン(ゼラチン)を含む食品とグリーンキウイを一緒に摂取すること。輪切り、もしくはすりおろしたグリーンキウイと一緒に30分つけて料理するだけでいいそうです。これでコラーゲンを低分子化(コラーゲンペプチドに代謝)するのです。
体内でコラーゲンを作り出す過程で欠かせない栄養素・ビタミンCも豊富に含むキウイフルーツは、その面でも有効。グリーンキウイ1個で1日のビタミンC摂取量の約70%をクリアします。
コラーゲンを豊富に含む食べ物と一緒にキウイを
null実際にコラーゲンを豊富に含む食べ物は……
食肉類:牛や豚のゼラチン(牛や豚の皮や骨から作られるゼラチン)、鶏皮、豚足、牛すじ、鶏軟骨
魚介類:魚由来のゼラチン(魚の皮やうろこから作られるゼラチン)、フカヒレ、ウナギ、サメの軟骨、貝、イカ、タコ、ナマコ、アワビ
骨を強くするレシピ
null実際に真似できる「骨を強くするレシピ」をご紹介します。今回の食材・鮭は、特に皮はコラーゲン含有量が多く、ビタミンDも豊富な美容食材です。調理過程でキウイの皮をむきますが、その皮もしっかり活用して「アクチニジン」の力を余すところなく使います。
キウイと鮭のエスカベッシュ
【材料】
- 鮭の切り身…2切れ
- グリーンキウイ…1個
- 小麦粉…小さじ1
- オリーブオイル…小さじ1
- 塩…小さじ1/3
- こしょう…少々
マリネ
- 玉ねぎ…50g
- パプリカ…50g
- 塩…小さじ1/2
- 酢…大さじ3
- 水…大さじ2
- はちみつ…小さじ1/2
【作り方】
- キウイの皮をむき、皮は果皮側を鮭全体を覆うように貼り付け、ラップで包み30分冷蔵庫で寝かせる。キウイの実の部分は5ミリ程度の半月切りにして、ラップに包んで冷蔵庫に置いておく。
- マリネ野菜を作る。玉ねぎは薄いくし切り、パプリカは5ミリ程度の千切りにする。小鍋に、水、酢、塩、はちみつを入れてひと煮立ちさせ、玉ねぎとパプリカを加え軽く煮てから、火を止めてそのまま冷ます。
- 1の鮭からキウイの皮を外し、塩こしょうを振り、薄く小麦粉をまぶす。
- フライパンにオリーブオイルと鮭を入れ、中弱火で焼く。途中油が出てくる場合はペーパーで油を拭う。
- 焼き上がった鮭に2のマリネと1のキウイを合わせたものを乗せる。
筆者はちょっとだけ具材をアレンジして作ってみましたが、簡単にできました!
キウイは皮にも栄養があるとはいえ、グリーンキウイの皮はちょっと食べづらい……そんな皮がこのようにたんぱく質を分解するのに役立つとは!
なお、キウイは加熱するより生食のほうが栄養素を最大限に摂取できます。なので、このレシピのようにマリネやサルサ的に最後にプラスするのがおすすめ。カルパッチョに使うのも良いそうです。
グリーンキウイの皮をピタピタと貼るのは、お肉でもできそうです。ぜひ試してみてくださいね!
骨密度を高くするには、運動もお忘れなく
null食べものから骨ケアをしたら、しっかり運動もお忘れなく。
「骨は運動などの負荷に応じて、骨量や構造の変化を起こします」と語る、城西大学経営学部マネジメント総合学科の石倉恵介先生。システマティックレビューによれば、閉経後の女性の腰椎の骨密度が、ウォーキング、ジョギング、エアロビクス、太極拳などの有酸素運動によって、平均1.79%上昇したそうです。
運動はいつ始めても効果があるのですが、青年期までの骨量増加は重要なので、子育て中の親御さんは今すぐにでもお子さんに運動習慣をつけるといいかもしれません。
「できる範囲で、継続してやりましょう」(石倉先生)
運動後の体たんぱく質合成は少なくとも48時間は継続するそう。つまり月、水、金といったように間隔をあけて週3回の運動で骨粗しょう症が予防できるということ。いつまでも歩ける骨をキープするためにも、骨密度を高める食事習慣と運動習慣を取り入れたいものですね。